城葱さんはコメントはもちろんのこと、写真も上手なので、城もなかの魅力がすごく伝わってきますね。写真を見てるだけであれもこれも食べたくなりました。
そして、こうして城下町のお菓子屋さんとあわせてお城めぐりを楽しむのはとてもいいですね。
2019年の城納めとして、静岡県にいってきました。たくさんの素晴らしい城とともに、そこに根付いた独特の「城もなか」たちに出会ったので、旅日記もかねて、ご紹介させていただきます。
今回、城もなかとのご縁をいただいたのは、浜松城・掛川城・小山城・二俣城の4城です。
お城にもそれぞれ特徴があり、同じ城はないように、各地の城もなかも特徴があり、似たものや同系統の城もなかはあるものの、皆個性が際立っているものです。
浜松城の「城もなか」
ふる里総本家さんの「出世城もなか」
浜松城の城もなかといえば、ふる里総本家さんの「出世城もなか」です。
「出世城もなか」は、外観に特に大きな特徴があり、浜松城の望楼型天守を美しくかたどった皮ですが、3Dモデリングにより、その形を再現しており、城もなかの中でも、細部までシャープで、彫が鮮やかな皮です。
また、石垣と1層目の部分の皮が、大きな空洞を生み出し、たくさんのあんを包み込むことができるような形状をしています。これに対し、望楼型天守の2層3層目は比較的あんを包む量が少なくなります。この違いが「城もなか」を食べる際に食感や印象の違いとなってあられてきます。2層3層目は、皮とあんのバランスが比較的皮が多く、サクサク、パリパリ、香ばしさや苦味、米の風味など皮を中心に楽しめ、1層目と石垣は、あんが格段に多くなりますので、しっとり、ずっしり、粒あんの粒や小豆の皮の食感、甘味などあんを中心に楽しめるという、1城で二度おいしい「城もなか」なのです。
「出世城もなか」は、食べるときに自分で餡をもなかの皮に詰め、挟んで食べる、いわゆる「手作りタイプ」の城もなかでもあり、既にあんがもなかに詰められ挟まれた状態で販売されている「出来合いタイプ」の城もなかでもあり、ふたつのタイプからお好きな方を自分で選んで買うことができます。
「出来合いタイプ」は、気品高く、ひとつずつ厚紙のパッケージに包まれています。葵の御紋がリボンのようにちょこんとあるのが可愛らしいです。なお、この紋が緑と赤の2タイプありますが、中身は同じとのことでした。
「手作りタイプ」は、黒く千両箱のような、何かいいものが入っていそうな箱のパッケージで、中に4つ分の城もなかの皮とあんが包装されて入っています。
どちらのタイプを選ぶかはお好みとなるわけですが、手作りタイプ未体験の方はぜひ手作りタイプをお勧めします。そして手作りタイプ購入の検討のために、(私の考える)「出世城もなか」の手作りタイプの利点をご紹介します。3つほどあると思っています。
一つ目
何といっても、皮がパリッパリの状態でもなかを食べられるというところです。出来合いタイプの城もなかは、作られてからの時間にもよりますが、あんの水分や空気中の水分を吸いやすく、もなかの皮の香ばしくサクサクとした食感はあるものの比較的しっとりしています。そこから比較すると手作りタイプの城もなかの皮は、パリパリ感はイメージ以上で驚くほどです。もなかの皮は元々こんなにパリパリだったんだと感じ、パリパリからサクサク、しっとりした状態に変化したことを知り、城もなかの誕生から食べられるまでの状態変化に思いを馳せることができます。
二つ目
食べる前に、あんを詰める作業がいるため、どの程度のあんが一つのもなかに含まれているのか、実感することができます。「出世城もなか」の皮の特徴である石垣の部分にふんだんにあんを詰められるということを自分の手で感じることができるのです。
三つ目
これは好奇心旺盛な方、人と変わったことをしてみたい方にお勧めの利点ですが、自己流の手作りタイプの城もなかを生み出すことができるという点です。手作りタイプを買うと、4つの皮とふたつ分のあんがパッケージされたあんを2個入手できます。同封されている手作りタイプの食べ方通りに、ひとつ分のあんを、同封の木のへらですくい、ひとつの皮に詰めて食べるという一般的な食べ方をしてもよいですが、自分の好きなように食べ方を試し実験したり、自分の好きなように皮を活用したりすることができます。
例えば、ひとつの皮に、ふたつのあんを挟んでみる“ダブルあん城もなか”、あんの代わりにバニラアイスなどを挟み“出世城アイスもなか”、あんとマーガリンを合わせて挟む“小倉マーガリン城もなか”などなど、食べ方や組み合わせを色々試してみれば、楽しめる要素は無限大です。
ひとつ買うと複数の分の材料が入っているというところが特に「出世城もなか」のよいところで、色々なパターンを試せる格好の城もなかセットです。
(参考例)出世城アイスもなか
(参考例)ダブルあん城もなか
(参考例)小倉マーガリン城もなか
浜松駅のお土産屋「ギフトキヨスク浜松店」にあるふる里総本家さんの店舗(ブース)で買えます。
浜松駅ギフトキヨスク(浜松市中区砂山町6−1 メイワンエキマチ WEST)
営業時間 7:00~21:30 / 年中無休 / 053-458-4323
<直営店>
半田店(浜松市東区半田山5丁目1-1)
営業時間 9:00~18:30 / 年中無休 / 053-432-2030
浜北店(浜松市浜北区平口2664-1)
営業時間 9:30~18:30 / 水曜日定休 / 053-586-6733
志都呂店(浜松市西区志都呂一丁目24‐6)
営業時間 10:00~18:30 / 水曜日定休 /053-449-8588
エキマチ店(浜松市中区砂山町6-1)
営業時間 8:00~21:00 / 年中無休(年末年始営業時間変更) / 053-457-4870
※ 通信販売も始まるようです(2020年1月中旬予定)。
浜松城のその他の城菓子
城もなかのほかに、こんな城菓子もありました。
梅月さんの「布橋の雪」
三方ヶ原で大敗した徳川軍が武田軍を迎え撃つため、浜松城北西の「犀ヶ崖」に白布を張り、雪橋を模した。雪景色の中、布橋に気づかぬ武田軍は「犀ヶ崖」にたくさんの人馬が転落したという、徳川家康の「犀ヶ崖伝説」にちなんだお菓子。
こし餡を煉り込んで蒸し上げた”浮島”と小豆を寒天で固めた”錦玉羹”が、純白の”淡雪”を挟んでいる。梅月さんが50年作り続けられた代表的で歴史的なお菓子。
浜松城天守内の売店にて買うことができました。1本790円(税込)。
浜松城への城攻め
浜松城へは、バスで向かいました。駅前から乗車し、市役所の南で下車。バスはいろんな路線で市役所付近で降りられるので、あまりバスを待つことなくお城まで到達できました。
南側の駐車場のところにあるいろいろな説明看板を見ながら、徐々に天守が近づいてくるようで、心躍る時間でした。
城を囲む石垣に惚れ惚れしながら、ぐるりと回り、天守の中へ。
「続日本100名城」のスタンプを押しつつ、浜松城の御城印と記念のお城コインをゲットしました。最近はお城コインはゴールドだけじゃなくてシルバーもあるんだと新発見もありました(けど、やっぱりゴールドを買ってしまう……)。
御城印ブームの中でもお城コインが地道に発展してくれることを祈るばかりです。
天守の周りは割と人がいて、なかなか人がいない写真を撮ろうとすると時間ばかりを浪費します。
天守の石垣は、上部のオレンジ色の石とグレーの石のコントラストがきれいでした。石垣の石は、個々はとても歪な荒々しい感じなのに、石垣を全体的にみると整然と美しく見える不思議で魅力的な石垣でした。
天守門にある両脇の鏡石もゴツゴツした感じでずんぐり鎮座しているのが面白いと思いました。
お城の周りを散策しながら、いろんな角度で浜松城を堪能し、最後は、茶室松韻亭で一服(その日は立礼式の煎茶でした)。
ちょっと城からは離れていて、行こうと思ってないといけないレベルな距離感の上、看板がわかりにくく、一度迷ってしまいました。とても美しくきちんとしたお茶室だと思うので今後に期待したいです。
掛川城の「城もなか」
掛川城の城もなかは、2つあります。
- コマツ菓子店さんの「城最中」
- 伊藤菓子舗さんの「掛川城もなか」
です。
コマツ菓子店さんの「城最中」
皮は、城もなかの定番型でよく見るタイプの「三層角右寄り型(※)」です。城もなかの安心感というか、城もなかの素朴さ、優しさを感じます。しかし、あんは、つぶあん、抹茶あん、しそあんの三種があります。
※ 三層角右寄り型
三層の天守(櫓)であり、石垣の角が、中央より右側に寄っているもなかの皮の型のひとつ。粒あんの安定感はさることながら、お茶の本場の静岡・掛川の抹茶あんはブランド力を感じざるを得ません。割ってみると白いんげん豆が入った深みのある緑色のあんを見ることができます。抹茶だけでなく、白いんげん豆の存在が、粒あんを食べた時のような食感の変化を、抹茶あんでも感じることができます。
そして珍しいしそあん。しその風味ががっつり感じられるほか、あんが鮮やかで美しく、見た目や色合いで楽しさを感じさせてくれる逸品です。しそあんだけど桜色なので、寒い冬でもなぜか春を感じてしまう城もなかでした。またこちらにも白インゲン豆が入っているので、粒あんのような食感の変化を感じられます。
購入の際には、お店のコマツさんまで足を伸ばせる方は是非。
JR掛川駅から徒歩15分。掛川駅北口から北に進み、ひとつ目の信号(掛川駅前)またはロータリー北の道に出たら左折。1kmちょっと進んで、掛川市立中央小学校が左手にあるので、そこを過ぎると左側に現れます。コマツの白とピンクの看板が目印です。
なお、お店では、箱売りの包装紙が、城好きの目を引きました。まるで水墨画の掛け軸のようなおしゃれで魅力的な包装紙は是非お店でゲットしていただきたい一品です。
ちなみに、掛川駅のお土産屋さん「これっしか処」でも販売していましたが、私が訪ねた際には、つぶあん、抹茶あんのみが販売されていました。
お店のお母さんによると、掛川城の天守が再建される前(1994年以前)から、このお店が「城もなか」を作っておられたとのこと。この城もなかが地域の方々に天守のイメージや天守への希望を膨らませ、掛川のシンボルとなった天守の木造再建に至る一因となっていたかもしれません。脱線しますが、館林城の城もなか、さのやさんの「館林城もなか」は、その代金の一部が天守再建の資金に寄付されるという特徴を持っています。「城もなかで天守がたつ」ということもあながちあり得ない話ではないのかもしれません。
営業時間 9:00~17:00 / 水曜日定休 / 0537-22-6359
伊藤菓子舗さんの「掛川城もなか」
皮が特徴的で、なかなか見ない独特の皮。そして一般的な城もなかに比べ、一回り大きい。食べ応えがあります。
材料や焼き方またはもなか皮の金型の工夫なのでしょうか、もなかの彫り込みがスキっと見え、屋根や窓などの城の外観の細部にも立体的に見えます。特に2層目左側にある出窓部分の飛び出している立体感が強調されて見える皮となっています。
あんは、クルミが混ぜ込んである粒あんで、粒あんの粒だけでなく、よりポリっ、カリっとした固めの食感の変化とクルミの風味が楽しめます。クルミ入りのあんと言ったら、長野県など山の幸として使われているイメージで、掛川のイメージはなかったけど、美味しく味わう工夫とアイディアのひと手間に、感謝です。
伊藤菓子舗さんは、掛川城の城下町、中町商店街にあります(掛川駅から徒歩5分。掛川城を目指し、3つ目の信号左折し50m)。ひときわ店の佇まいも綺麗で明るいので商店街の中でも光って見えます。
明治時代から続く老舗の和菓子屋さんですが、ウォールナット材のような明るい木材で作られているお店の内装も外観は明るく、最近できたばかりのような清潔感や洗練されたデザイン性を感じます。私は、徒歩で訪れましたが、車でも中町駐車場を利用することができるようです。
伊藤菓子舗さんには、城もなかのほかに、小ぶりで食べやすく、黒砂糖を使って黄金色に焼き上げた甘味の凝縮されたどら焼きの「黒黄金」やふわふわの食感も楽しめるカステラ「本かすてら」といった名物菓子もあります。ばら売りでも買えるし、陳列されているときから美味そうな雰囲気を漂わせていて迷わず買ってしまいました。どちらもいい味していたので、お立ち寄りの際には、ぜひ「掛川城もなか」とご一緒にどうぞ。
なお「黒黄金」は、山内一豊が千代の持参金黄金十枚を使って名馬を買い、運を切り開いて掛川城主になったという故事にちなんで作られたお菓子で、縁起物としても愛されているそうです。
営業時間 8:00~19:00 / 水曜日定休 / 0537-22-2496
掛川城への城攻め
掛川駅から徒歩で向かいました。到着したころには、天守閣への入場期限の16:30を過ぎており、中には入れなかったものの、既に夜の帳が降り始めた薄暗い空にライトアップされ輝く天守閣を拝んできました。
何かの撮影か中継が予定されていたようで、スタッフらしき方々が走り回っていました。余計にライトアップされていたのかもしれません。掛川城といえば、この上り階段。天守に向かう気持ちの高鳴りをこの階段が表現しているようです。ぐるりと回って幻想的に佇む天守閣を遠目に見ながら帰路につきました。今度来るときはもっと明るい時間、天守に入れる時間に訪ねたいところです。
小山城の「城もなか」
小山城の城もなかもふたつあります。
- たけうちさんの「城最中」
- 石間舗さんの「城のある町」
です。
たけうちさんの「城最中」
小山城と武田菱が描かれている透明なパッケージで、もなかの皮は「三層角右寄り型」です。
これは、もっともオーソドックスなタイプの城もなかではないかと想像していると、一口かじった瞬間に、その浅はかな考えは打ち破られます。
なんとあんが、白あんと粒あんの2種類が綺麗に2枚のもなかの皮各々につまっているのです。ひとつのもなかでふたつのあんが楽しめ、また同時に口に入れることでができるので、白あんと粒あんのブレンドを味わうこともできるという逸品なのです。城もなかの奥深さ、恐るべし。どこまでも工夫は尽きないものです。
特に写真撮影のため、もなかの合わせ目で半分にしたときに、その2種類のあん詰めへの丁寧で美しい技をみることができました。接触した際にくっつく多少のかけらを除いて、ほとんど混じりもなく、完全にふたつの皮で2種類のあんが分かれました。単純にあんを詰めて皮で挟むというものではなく、ひとつのもなかの皮にひとつのあんをきっちり詰め、それを合わせなければ実現できない賜物です。1種のあんをもなかを詰めるより、おおよそ2倍の手間がかかっていると思うと、その味わいにも奥深いものを感じざるを得ません。
たけうちさんは、小山城よりもさらに南にあり、徒歩だと30~40分程度要します。小山城から南下し、途中で国道150号に出てすぐにわき道から住宅地へ。片岡住吉神社の鳥居から南に延びる参道のような道を進むと右手に黒いシックな建物でたけうちさんが見えてきます。
小山城のついでにというとなかなか難しいですが、お車の方はぜひ立ち寄ってみてください。
営業時間 8:30~19:30 / 月曜日定休 / 0548-32-0343
石間舗さんの「城のある町」
石間舗さんの「城のある町」は、商品名が洒落ています。城もなかの場合、○○城もなか(○○はモチーフにしているお城の名称が入る)と名付けるのがスタンダードですが、あえてそうしないで、城もなかのモチーフの小山城がある町という城を含んだこの町のお菓子とより地域への親しみが込められた名前になっていると思います。地域のシンボルとしての小山城の存在感が伝わってくる城もなかです。
もなかの皮については、一見すると城もなかの一般的な「三層角右寄り型」かと思いきや、よく見てください。三層ではありますが、角が中央より右ではなく左に寄っています。これは「三層角左寄り型」と呼ぶことにします。なかなか左寄りのものはないので貴重な逸品といえます。
あんについても、独特の工夫があります。あんの中に求肥(ぎゅうひ)餅が入っていることです。ちょうどもなかの真ん中のあたりに直方形の求肥がいれてあり、もなかの皮とあんに覆われている求肥餅の存在を予期できず、城もなかにかぶりつくと、モチモチっとした食感に驚きます。また相性のよい、餅とあん、あんともなか皮のそれぞれのコンビネーションがおいしさに厚みを加えています。
ちなみに、求肥餅は、普通の餅とは異なり、時間がたってもモチモチ感が残るため、和菓子などによく使われている餅です。大福や羽二重餅のお餅が代表的です。蒸したもち米をついて作る餅とは異なり、粉末にしたもち米に水や砂糖、水あめを加えながら練り上げたものです。
石間舗さんは、県道230号線の神戸南の交差点から湯日川の橋の間にあります。藤枝駅から小山城へ向かう途中にちょっと寄り道して行きました。湯日川沿いに南下すれば小山城が見えてきますし、比較的小山城からも近いので、小山城を訪ねた折に立ち寄るのがよいと思います。なおお店の前には駐車場もあります。
営業時間 8:30~20:00(日曜 8:30〜19:30) / 火曜日定休 / 0548-32-1554
小山城のその他の城菓子
石間舗さんの「城のある町」(乳化まんじゅうver)
城もなかの「城のある町」と名前が同じでパッケージデザインが似ていますが、城もなかがグレー基調のパッケージに対し、乳化まんじゅうの「城のある町」は茶色がベースとなっているパッケージです。乳化まんじゅうのイメージは、東京土産の名菓ひよ子です。乳化まんじゅうの「城のある町」は、饅頭形で表面に、武田菱の紋と「小山城」と文字が凹凸により表現されています。
石間舗さんの「お城クッキー」
クッキーとつきますが、どちらかというとフィナンシェやマドレーヌに近い気がします。四角形で、厚みがあり、サクッとしつつもしっとりした食感があります。表面には、小山城のイラストと「小山」と文字が焼き印されており、四角形の縁の部分も焼きが強めにこげ茶色になっているので、額に入った小山城の絵画のようなお菓子です。焼き印や焼きの強い部分がいいアクセントとなっており、甘いフィナンシェでありつつトーストのような香ばしさも感じます。
石間舗さんには、小山城にちなんだ城菓子が城もなかを含め3つもあり、小山城は、地域からこんなにも愛されているという一面を垣間見ることができます。
小山城への城攻め
小山城へは自転車で攻めました。小山城が、電車の駅から遠いため、バスか徒歩かと思っていました。ただ、徒歩では2時間かかるほか、バスでも便数や利用時間が限られてしまうといった障害があり、困っていたところ、藤枝駅で利用できるシェアサイクル「HELLO CYCLING」を知りました。アプリを入れたり、支払情報を登録したり必要でしたが、全国各地でサービス展開していたので、今後の利用拡大も期待して、利用してみることに。15分50円、電動アシスト付きで新しい自転車だったので、かなり快適なサイクリングを楽しみながら小山城へ向かいました。約1時間のサイクリングで小山城に到達できました。バスなどの時間に縛られることなく移動でき、徒歩よりははるかに体の負担や移動時間を短縮できました。
こんもりとした丘の上にある小山城。上りあがるのは少し息が切れましたが、大手門が見え、右手に三重の三日月堀、そして犬山城を模した展望台でもある模擬天守が朝焼けの中出現すると、早朝でしたが、テンションがぐーんと上がりました。
二俣城の「城もなか」
二俣城の城もなかもふたつあります。
- 光月堂さんの「二俣城もなか」
- むらせやさんの「二俣城最中」
です。
光月堂さんの「二俣城もなか」
あんは、粒あんと抹茶あんがあり、抹茶あんは、「天竜茶」を使用しているとのこと。
天竜茶は地元のお茶で、古くからお茶の産地として有名で、二俣城の自然の要害である天竜川流域で栽培されているお茶です。地元の素材で作られるお菓子には、やはりそこでしか生まれない、食べられないといった特別感があります。そんな天竜茶の抹茶あんは、茶の香りや味が深々しい感じがしました。
皮は、城もなか定番の「三層角右寄型」で、パッケージには二俣城の天守を緑色で描いた和紙で優しく包まれています。パッケージ上には「天竜二俣城」と書かれているのですが、商品名(店頭での表記)は「二俣城もなか」となっています。
またパッケージは2層の櫓が描かれているが、城もなかは3層の皮、なんだか違和感もあるけれど、細かいところは気にしない。イメージだろうし、別にパッケージに中身と同じものをデザインしないといけないなんて決まりはない。
光月堂さんは、二俣本町駅から二俣城へ向かう途中に国道362号から少し入ったところにあります。二俣本町駅の前の道を進み、国道を渡ってさらに進んでいくと右手に見えてきます。国道からは、ぱっと見分かりにくいものの、近くの電柱には、光月堂さんの広告があります。お店の前には数台は駐車できるスペースもあるので、お車でも大丈夫です。
光月堂さんは、和菓子だけでなく、ケーキも取り扱う、和洋菓子店で、コンパクトなお店の中にもたくさんのお菓子が陳列されていて、楽しいお店でした。
ちなみに、箱買いすると箱に二俣城が描かれた包装紙がまかれるようで、こちらもお城好きには、必見です。山から流るる天竜川と石垣、そして徳川の三つ葉葵の紋がかっこいいです。さらに三波春夫さんの二俣城の歌「天竜二俣城」の歌詞が書かれています(そんな歌があり、しかも三波春夫さんの歌だということを初めて知りました…)。
電車の都合もあって、あまり長居できませんでしたが、写真を撮り忘れたり、聞きたいこと聞き忘れたりで、時間がない割に1日に3回もお邪魔しました(笑)
営業時間 8:00~20:00 / 火曜日定休 / 053-925-3585
むらせやさんの「二俣城最中」
ホームページによると年間5,000個を売り上げ、1973年から作られているロングセラーの老舗菓子とのことで、城もなかがそんな前からあったと思うとそれだけでも城もなかの奥深さを感じて気持ちが高まります。
あんは、粒あんです。生水から煮込んだ大粒十勝小豆にこしあんをブレンドした粒あんとのことです。
皮が特徴的で、少し立体的で六角柱のような形状で、角が中央にあり、ずんぐりした印象を持つ皮で、3層目の屋根が笠(市女笠や菅笠)のようにも見え、城なんだけど、人にみえなくもない皮です。
パッケージは、光月堂さんの「二俣城もなか」とおなじく、二俣城が描かれた和紙で優しく包んであるのですが、空が赤みがかり、二俣城は黄色で描かれています。夕日で黄金色に光る美しい二俣城を表現しているようにも思えます。
むらせやさんは、二俣本町駅、また二俣城からも少し距離があり、徒歩だと20~30分くらいかかります。通信販売もしていますので、送料はかかりますが、ネットやFAXで注文できます。私は、二俣城を攻めた後、徒歩にてお邪魔しました。二俣城からだと一度二俣城の山を降りて町中を通っていくルートと、山伝いに峠を越え行くルートとありましたが、山を下りると少し遠のく形になるので、山伝いに峠を越え行くルートで。
むらせやさんにも数台は駐車できる駐車場はあるので、車でお越しの方にも是非立ち寄っていただきたいです。「ふなぎらダム」や「信康餅」といったおもしろそうなお菓子もあるほか、洋菓子もおいてあり、暑かったわけではないけど、冷やされていた「天竜抹茶NYチーズケーキ」を食べたくなって購入しました。
営業時間 8:45〜19:00 / 不定休 / 053-925-2348
※ オンラインショップあり
3つめの二俣城の城もなか
実はかつては、もうひとつ福づち菓子舗さんの「二俣城もなか」があり、同じお城(しかも現在天守などの建物のない城跡の城で)に3つの城もなかが存在するという「城もなか」の聖地として秘かに注目していたのですが、御事情によりで閉店されたということで、本当に残念でなりません。
城もなかを作っておられるお菓子屋さんには、地域に支えられてきた老舗のお菓子屋さんや、夫婦二人三脚で何とか切り盛りされているお菓子屋さん、ご主人の腕ひとつで味や技を保っておられるお菓子屋さんなど、細々と頑張っておられるところもあります。なかなか時代の流れや後継者不足、材料の入手先の店じまいなどで、営業継続困難となってお店をつづけられないことも最近増えてきているんじゃないかと感じます。城もなかを探していても、それが味わえたのは数年前、もうお店はなくなっていたなんていうことも何度か経験してきました。
これから城もなかが増えていってくれればよいのですが、そう簡単ではなさそうです。城もなかが盛り上がっていけるよう、城もなかを作るお菓子屋さんが元気に頑張って続けていけるように何かできないものか日々考えていきたいです。
鳥羽山城と二俣城への城攻め
鳥羽山城とセットで城攻めしました。二俣本町駅に降り立ち、まずは鳥羽山城へ。なかなかの急こう配を上りました。
鳥羽山城では、何がいいかといわれても何と答えられないけど、東門のあたりにトキメキを感じつつ、橋を渡ったり、本丸側からや外側から眺めてみたりしました。二俣城がどこにあるのかここから見えないのかと、よくわからないで降りてきてしまったけど、二俣城と鳥羽山城のにらみ合いみたいなことちょっと意識してみればよかったと後悔しました。
二俣城へは川沿いをぐるっと回っていくルートもありましたが、時間短縮のため、一旦駅近くまで戻り、二俣城へ攻め入りました。「二俣城址入口」という石碑を頼りに、ガツンと急な階段道を上り、二俣城に。割と人の声が聞こえると思ったら、本丸跡では、地域のご年配方の朝の運動交流会が繰り広げられており、番号の書かれた旗が本丸広場に立っていました。何かゴルフとゲートボールの融合競技のようなものでした。お邪魔にならないように二俣城の天守台をじっくり眺め、ぐるりと回ってみました。
さらに二の丸、蔵屋敷、南曲輪のほか、紅葉の落ち葉で赤に埋め尽くされた堀切を見てきました。追手門は、石垣の古めいた感じと、大樹の切り株の根が印象的な場所でした。
おわりに
今回は2019年12月に静岡県の城めぐりをしつつ、出会った城もなかとのご縁を、他とはここが違う!ここが素晴らしい!といったそれぞれの城もなかの個性を中心に、販売店の案内、モチーフにしているお城への攻城の記録と共にご紹介しました。
こうやって見ても、城もなかは同じ県内で愛され、そして同じ城をモチーフにしたものであっても、それぞれ個性豊かで同じものはないことを知る旅でした。
また城もなかの可能性や地域での存在感、そして城もなかを作っていただいているお菓子屋さんの抱える問題と城もなかの存続について考えさせられる旅でもありました。
ご覧になった皆様が、これを機にお城めぐりのお供に城もなかを選んでいただけたら、城もなかとの出会いのきっかけとなれば幸いです。
それでは、
城めぐりのおともに「城もなか」を!
よき「城もなか」との出会いがありますことを祈っています。