こうして城もなか目線で見てみると、日本100名城のような一般的な知名度とはまたちがうお城選びができますね。あったら買うではなく、城もなかメインでの攻城計画を立ててみるのもいいと思います。
おいしそうな城もなかの写真とあわせてじっくり楽しんでください!!
今回は、九州の城もなかと出会う旅に城めぐりをしながら行ってきましたー!
なかなか行きたくても行けなかった、名城&城もなかが各地にある場所「九州」。
念願かなって、長期連休も活用し、二度にわけて訪問。たくさんの九州の城もなかたちに出会うことができました。
- 「小倉城」でセットメニューとしてサバイブしてくれた城もなか
- 黒田官兵衛の「中津城」の赤紐がおしゃれな城もなか
- 伊東四十八城のひとつ「天ケ城」のこしあん城もなか
- 誰もが知る城「熊本城」の知る人ぞ知る城もなか
- 日本最西端の駅からいく「平戸城」の難攻城もなか
- ずんぐりキノコのような特異形状の「岸岳城」の城もなか
こう並べてみると、九州が城めぐりだけでなく、城もなかのおもしろさにあふれた地域であると改めて感じるところです。
さて今回の城もなかの旅が、どんなものだったのか!?
それぞれ語るべき特色あふれる城と城もなかばかりなので、ちょっと(かなり)長くなってしまいますが、お付き合いいただければ幸いです。
小倉城の城もなか
「小倉城もなか」(辻利茶舗小倉城店)
皮は、定番の三層角右寄り型※。
この定番の三層角右寄り型の皮が普及していることが、城もなかの皮の仕入れ易さを実現し、この小倉城もなかの誕生につながっていることは否めない。ありがとう、三層右寄り型の皮!!
※三層角右寄り型
三層の天守(櫓)であり、石垣の角が、中央より右側によっているもなかの皮の型のひとつ。パッケージは……、ない!
小倉城もなかには、パッケージがありません。
というのも、抹茶とのセットメニュー「お抹茶と小倉城もなかセット」として、イートイン専用で提供されているためです。これもまた新しい城もなかの形で、珍しいタイプ!
パフェやアイスに添えられている城もなかの皮は、いくつか出会ってきましたが、このタイプは初めてです。
「はじめまして! 末永くよろしくお願いします!」と、いきなりハイテンションに。
新しいタイプの城もなかとの出会いほど、興奮するものはない。
なぜならば、今まで知らなかった城もなかの世界がまたひとつ切り開かれたから、そして城もなかの世界が広がっていることを目の当たりにできたから。
城もなかを探し求めることの楽しさ、何かを探す楽しさはここにあると思う。
これはだれもが共通の感覚ではないでしょうか。
ゲームで新しいダンジョンや新しいイベントが発生したような。
今まで通っていなかった道でお気に入りの場所を見つけたような。
想像を超えた展開が始まった小説やドラマのような。
いろんな場面でこの感覚はある気がしますが、私はこの新発見とその先を見たいという感覚にはまっています。今回もそのひとつで間違いない。あー嬉しいーw
あんは、粒あん。
イートインタイプでもあるので、出来合いを提供しているのではなく、注文とともにあんを皮にふんわりと挟んで提供されます。
だから皮はパリパリ、あんはしっとり、と出来立てならではの城もなかの味わい。
注文に応じて挟み提供してくれる城もなかのお店はいくつかありますが、すぐにその場で食べることを前提に作られるこの城もなかは、食べるまでの平均鮮度は最高だと思います。
食べる場面でいうと、抹茶とのセットというところが、また粋でよいです。
いい意味で憎すぎますw
城もなかを買ってその場で食べるだけならほかの城もなかのお店でもできますが、抹茶と一緒に食べられるとなると、今のところ私は知りません。
抹茶も好きな私としては、出来立て城もなかの美味しさを重ね、際立てる抹茶セットは最強のタッグです。
さらにイートインする店内では、ガラス越しにちょっと苔むした石垣を眺めることができる窓側の席があります。
ここがさらなる石垣好きの心を満たしてくれるところでして、この席に座り、小倉城もなか抹茶セットをいただくことが、城もなか、抹茶、苔むし石垣と、私の好きなものの三重奏を響かせ、この空間と状況に酔いしれる至福の極みです。
次にいつ来れるかわかりませんが、すでに小倉城でのルーティンとなることが確定していますw
お店の話が出たところで、この「小倉城もなか」が食べられるお店を紹介すると、辻利茶舗小倉城店さんです。
小倉の老舗茶屋「辻利茶舗」の小倉城内の支店で、小倉城をより楽しむためのラウンジ、お土産、観光案内、飲食コーナーがある複合型のおもてなし拠点「しろテラス」の飲食コーナーとしてあります。
ここで、抹茶とのセットで注文することで、入手というか食べることができます。
単品での販売がないので、抹茶とセットで注文するしかありませんが、先ほども書いたとおり、セットで問題ないです。むしろそれがいいです。
お店がある「しろテラス」は、小倉城の続100名城スタンプや御城印のほか、小倉城のお土産がたくさん置いてある場所です。小倉城の南東、大手門の近くに存在しているということもあり、小倉城を攻めたら多くの方が訪れる、避けて通れない場所だと思います。
小倉城の進化系城もなか
さらに、こちらのお店では、城もなかの皮を使った、こんなメニューが存在しています。
(城もなかの皮を使ったスイーツ。進化系城もなかと呼ぶことにしております)
城もなかの皮が添えられている、「お抹茶と小倉城ぜんざいセット」。
さらに、いわゆる城もなかパフェである「辻利あおぞらぱるふぇ」はシーズン限定です!
青空色のクラッシュくずもちにホイップクリームで、白い雲が泳ぐ青空を表現しているのが特徴的。
ソフトクリームを囲むプルプルのくずもちやコーンフレーク、玄米などが脇を固め、触感は多彩。
ネットでの情報によれば、秋には秋のシーズン限定のものがあるほか、毎年デザインが変わっているようでした。何度も足を運びたくなる工夫ですね。
お店の人が頑張ってアイディアを練り上げ、商品として実現させてくれていると思うと、ありがたい気持ちでいっぱいです。
こんなにも城もなかを使った進化系城もなかが豊富なお店があるとは思いませんでした。
城もなか好きの私には、天国のような場所を見つけてしまったw
こんなお店が至る所にあれば……。1城下町1店舗でできないかなぁと夢見ています。
なお、このお店は今回の九州一周城めぐりの出発点であり、終着点でもありました。
本来は出発したところに戻ってくる必要はなく、城めぐりの効率性からも同じ場所にまた来る必要はありません。
でもスタートで城もなかのイートインが嬉しすぎて、小倉城の城もなかで始まり、小倉城の城もなかで終わろうと思うようになり、自分の城攻めでは珍しく旅の出発と最後が同じ城ということをやってみました。
その結果、たまたまでしたが、最初に小倉城を攻めた時にはまだ4月だったのが、最後に小倉城へ攻めた時は5月になっており、シーズン限定の「辻利あおぞらぱるふぇ」が販売されていたのです。
こんな運命的なことがあるんだな、城もなかの神様はちゃんとみていてくれるのだなと、まさに長い城攻め旅の締めくくりにふさわしい感動的なエピソードができたわけです。
また、そんな奇跡的なチャンスに恵まれた「辻利あおぞらぱるふぇ」でしたが、バニラと抹茶の二種類ありました。
どっちも食べたいし写真に収めたいが、さすがにふたつは食べられない……というマニア心がうずき葛藤が生まれてしまいました。
お店の注文カウンターで、どちらを注文しようかためらう事態。後ろに待っている人もいたので、一緒に抹茶と城もなかセットも注文していたし、抹茶&抹茶となるからこの際バニラ! と決断し注文。
とはいえ抹茶パターンもよかったなと思っていると、後ろに並んでいた人もパフェを注文、そしてその方は抹茶パターンを選択。
なんということでしょう。大変失礼とは思いましたが、食べる前に写真撮らせてくださいとお願いし、写真を撮らせていただきました。
「悩んでおられましたもんねー」と温かいコメントを添えていただき、そのやさしく広い心に感謝の言葉が尽きませんでした。その方はどうやら武将隊のファンの方なのか、お店に来ていた武将隊と談笑されておりました。
ひとりで城をめぐることが多く、自分から声をかけて情報交換したり仲間を探したりは滅多にしないので、今回勇気を振り絞ってお願いすることになったのも、城もなかのおかげ。好きなものは、勇気をくれると体感したエピソードでした。
さて、思い出が詰まりすぎていて、どうしても言いたくて書いてしまいましたが、お店のことに話を戻します。
この日はあいにくの天気でしたが、お店はとてもにぎわっていました。
そして、私の見る限り多くの方が、抹茶と城もなかのセットをはじめ、城もなか関連スイーツを食べておられ、城もなかがイートインとしての人気者になるんじゃないかと期待が膨らむ場所でした。
小倉城に行かれた方の多くは「しろテラス」に立ち寄られると思いますので、お時間があればぜひ全国的にも(まだ)珍しい城もなかのイートインをいただいてくださいませ。
(今後は、どこのカフェでも城もなかのイートインが当たり前になる世界を夢見てw)
営業時間 11:00~17:30 / 定休日 しろテラスに準ずる(年中無休)
小倉城への城攻め
小倉城は、小倉駅から徒歩15分程度。
朝から城攻めを仕掛けるため、前日に広島まで行軍。当日朝一番の新幹線で広島からやってきました。
早朝であっても、天守内以外は見学することができ、天守が開くまでの間、小倉城の天守外観をはじめ、堀、縄張りなどを見て回ったり、石垣を構成する石をじっくり観察していました。
あっという間に天守の入城可能時刻である9時になったので、天守内部に入って中の展示を見ました。親子でも楽しめる体験型展示もあって充実しています。
中の展示の一番のお気に入りは、雌雄一対の「迎え虎・送り虎」の絵です。
迫力がすごいし、かっこいい! 小倉城のマスコットキャラクター「とらっちゃ」の元になった絵でもあります。写真撮影OKなのもよかったです。
しろテラスで販売している枚数限定の高級プレミアムゴールド御城印セット(3,000円)にも描かれています。
小倉城からスタートした九州の城攻めですが、先ほども説明した通り、ぐるっと時計回りに九州の城をめぐり、戻ってきたのも小倉城。
もう一度行こうと、私の城攻め史上はじめて、ひとつの旅で二度攻めたお城が小倉城となったわけです。
1回目の城攻め時には雨が降っており、なかなか外でじっくりと城を堪能できにくかったので、リベンジの意味もあったのですが、2回目はさらにひどい大雨で、小高い地にある小倉城の天守から下へと流れる雨水がまるで滝のように攻城ルートの路面や排水路を流れており行く手を阻み、自然が城を守るかのようでした。
さすがにじっくり見るどころではなく、印象的な場所を再びつまんで見学する程度となりました。
さて小倉城の見どころとして、天守の圧巻の姿をまじまじと見せつけられる北東側(小倉城庭園側)からの姿。
ここは小倉城の水堀とそびえる石垣、南蛮造りを模している模擬天守がすべてフレームに収められます。
案内図にも紹介されていますが、小倉城一のフォトスポットだと私は思います。
次に、趣深い八坂神社との間(北の丸と本丸の間)にある堀。
個人的な趣味ではありますが、堀内に生える草に苔むす&草茂る石垣と白い塀が、なんともいえない趣を感じます。
山奥にある城のような、神社の立木に隠されていて、隙間からそっと覗くと広がる、緑に覆われた白い塀と立派な石垣をもつ城の存在。
うまく言い表せないのですが、ひっそり残された場所、秘めたるパワースポットのようで、なんか好きです。
なお、小倉城の小倉城庭園ではお抹茶と菓子がいただけるようでしたが、タイミングが悪く、いただける時間と小倉城攻めの時間帯が合わず。次の小倉城攻めの宿題となりました。
見どころ盛りだくさんの小倉城は、とくに気に入った城でした。
次は、晴天の下じっくりと城攻めしたいところです。
もうひとつの「小倉城もなか」
じつはご存じの方も多いと思いますが、小倉城の城もなかはもうひとつありました。
北九州の銘菓「小菊饅頭」のお店、藤屋さんの「小倉城最中」です。
皮は、三層角右寄り型の定番タイプで、あんは、こしあんと抹茶の2種があったようです。
藤屋さんは、2023年3月の製造を最後に、2023年4月末で廃業されました。
新型コロナウイルスの影響で手土産需要の減少に加え、砂糖などの原材料や包装紙などの資材の価格高騰が経営を圧迫したとのことです。
製造や営業を休止している城もなかのお店もいくつかあります。
それだけでも不安と心配で胸が押しつぶされそうですが、いよいよ老舗で大手のお菓子屋さんも廃業に追い込まれてしまうとなると、悲しい気持ちが溢れてきます。このニュースを聞いた時にはけっこう衝撃を受けました。
ただ、銘菓を残していかねばという思いで、同じく北九州の大手お菓子屋さんの「つる平」さんが事業の継承を計画されているとか。ありがたし!
お菓子屋さんの絆。ライバルでもあっただろうけど、こういうことができるのが本当のライバル(好敵手)なんでしょうね! うれしいな。
ライバルの武将を滅ぼすも、家臣を召し抱えるような感じもしていいなぁ。
必ずしもこの小倉城最中もが継承されるとは限らないけど、復活してくれることを祈っています。アレンジが加わり進化してもいいなーなんて思ってます。
ぜひぜひよろしくお願いします!!
なお、この九州城攻め時に復活していないか確認しましたが、まだこの時点(2023年5月)ではどのお菓子を継承するかなどは未定とのことで、仮に復活するとしてももう少し時間がかかりそうでした。
(参考:小倉銘菓「小菊饅頭」の老舗和菓子店「藤屋」廃業へ!小菊饅頭は「つる平」が継承計画)
というわけで、また復活するかもしれませんが、小倉城の城もなかとして有名だった藤屋さんの城もなかが失われたショックに打ちひしがれながら、今回、小倉城にきたところ、辻利茶舗小倉城店にて、イートインタイプとして小倉城の城もなかがサバイブしていたことを知りました。まさに感動!
よう生き残ってくださった、と言わずにはいられませんでした。
感動に次ぐ感動、心が揺さぶられまくった小倉城。一生忘れられない城攻めとなりました。
その他の小倉城の城菓子
グラン ダ ジュールの「石垣クッキー」
お城型のパッケージが特徴的で、店頭でもかなり目を引く目立つ存在。
石垣クッキーというだけあって、茶色い石垣がよく目立つ。お城型のパッケージの鯱部分が再現されているのが愛らしい。
驚くべきは、このパッケージを開く時だ。
パッケージはお城をご開帳するようにお城の一部をパカッと開く感じで、そこから石垣クッキーが顔をのぞかせる。
パッケージを開く時のおもしろさにこだわった工夫じゃないかと思います。
クッキーはキューブ状で、ベージュ色のプレーン味とこげ茶色のナッツ入りのチョコ味の2種類。
石垣の色は多種多様で一色一辺倒ではない! ということを伝えたいのだろうと思います。
重ねて良く工夫されている。
キューブ状の石垣クッキーは食べるときにも楽しめる。
ひとつずつ食べてももちろんいいが、2色のキューブのクッキーがいくつもあって、石垣クッキーというとやはり、積み重ねて石垣を模してみるのが城好きの食べ方だろう。
バランスを見ながら、美しい石垣を積みあげることはなかなか難しい。
食べ物で遊ぶな! と言われそうだが、遊んでいるのではない。石垣に対する思いを積みあげ、美味しさ、食べた時の満足感を高める作業であって、むしろ逆なのです。
キューブ状のクッキーは一口サイズですが、サクサクで食べ応えがある。チョコ味の方にはナッツがあるので特にお気に入りでした。
営業時間 9:00~20:00(11月~3月は19:00) / 定休日 無休 / 電話 080-1532-3273
ネジチョコラボラトリ―の「城チョコ」
石垣クッキー同様にパッケージのインパクト大。
石垣クッキーのパッケージと比べると黒基調のデザインで、一回り小さいものの構造は石垣クッキーと同様、ご開帳スタイルで立体的な一口サイズの城の形をしたチョコレートが出てくる。
石垣クッキー同様に鯱部分も再現しているところがいい。
肝心のチョコはというと、ひとつのチョコは一口サイズで小さくシンプルにはなっているものの、石垣、破風など要所はしっかり押さえられ作られている。箱、チョコともに満足のいく出来栄えだと思う。
なお、チョコレートは、純粋にチョコレートのみで作られている。
個人的にはチョコにナッツ系が入っていると嬉しいのだが、何かを含んでいるとこの精巧な形状は実現できないのかもしれない。
城チョコに関しては、城のパッケージから小さい城が出てくるというところもおもしろいポイント。
営業時間 9:00~20:00(11月~3月は19:00) / 定休日 無休 / 電話 080-1532-3273
(門司港のお土産ショップでも売っているらしく、学生時代の後輩が買ってきてくれました)
中津城の城もなか
「黒田官兵衛中津城もなか」(渓月堂)
皮は、定番の三層角右寄り型。
なんだか比較的皮の照りが強い気がするが、気のせいだろうか、個体差だろうか。
好きなものは定番であっても何かおもしろい新発見がないか、定番の中にも何かオリジナリティが潜んでいるのでは、と詮索してしまう傾向がある。
城もなかの皮には、凹凸の粗密や色味の違いはあるようなのですが、この「照り」についても今後研究していきたいところです。
パッケージは、透明のプラスチック袋に、縦に赤い縁取りがされた紙帯、横に赤い紙紐で結んである。紙帯には中津城と黒田官兵衛のイラストが描かれている。
城の絵が描いてあることはよくあるが、築城者の顔がリアルに描かれているのは独特。
赤色へのこだわりが見えるが、官兵衛の兜、赤合子(あかごうす)にちなんでいるのでしょうか。いずれにせよ、この赤色が生える!
帯紐を締めるような赤い紙紐が、きゅっと腰で絞ったスタイリッシュな城もなかに見えるほか、紙紐でプラスチックの袋の中の空間を狭め、城もなかが動きにくくしているのかもしれない。
プラスチックの袋があるにもかかわらず、あえて紙紐をつけているところは、珍しさだけでなく、デザイン性に富んでいると思います。
かわいいし、赤い糸みたいで、バレンタインデーやホワイトデーにもいいかもしれない。
チョコは苦手だけど和菓子は好き、あんこは好きという相手にはもってこい。城好きならなおさらです。
バレンタインデー城もなか(ホワイトデー城もなか)の代表格として「黒田官兵衛中津城城もなか」が流行する日も近いかw
あんは、粒あん。おいしいあんこがきれいに詰まっています。
バレンタインデーの話になったからか、あんこがチョコに見えてきた。
中をチョコにする、進化系城もなかもあるので、パッケージはそのままで、中をチョコにした「黒田官兵衛中津城城チョコもなか」ができれば相乗効果を生みそうだ。
「城好きはもちろん、チョコ好きも、そうでない方も、『黒田官兵衛中津城もなか・チョコもなか』」なんていうのもいいなぁとまた妄想が膨らんでしまった。
お店は、中津駅から西へ向かいます。
福沢諭吉像のある中津駅北口からだと、ロータリーから日ノ出町商店街の入口が見えるので、そこから商店街を突き抜け、県道23号を北に進むとお店を発見できます(約5分)。
中津駅南口から出たら、少し遠回りですが、西に向かい、県道23号で北に進んで、高架の線路をくぐれば到着です(約10分)。
渓月堂の店内にて、城もなかを探して感動したことがあります。
それは陳列の仕方。
一般的に城もなかを含めたお菓子を、ざっと敷き詰めたり、または陳列棚の手前に寄せて陳列することが多い。
ここでは、陳列スペースに、適度な距離を保って、城もなかが置かれている。
厳選された逸品が並べられているような、高級感と希少性を感じる並べ方だ。パッケージのデザイン性やおしゃれさも際立つというもの。
感染症拡大防止の観点からのソーシャルディスタンスという言葉もあるが、さすがに城もなかまで、距離を保っている必要はないので、これは商品がまとうイメージを高めるための工夫ではないかと思う。
昨今、お菓子離れが進んだり、原料費の高騰で、そもそも一日に製造するお菓子の数も少なくなっているとも聞きます。
そのため売り切れるだけの数だけしか作らないということもあり、ぎゅっと陳列するとスカスカになり見栄えが悪いからという事情があるのかもしれませんが、この陳列が城もなかのイメージを高めて、世の中のお菓子離れが解消するようなことにつながればと思います。
営業時間 9:00~18:00 / 定休日 無休 / 電話 0979-24-5284
中津城の進化系城もなか
小倉城でも紹介しました、城もなかを使ったスイーツ「進化系城もなか」が中津城にもあります。
城もなかの皮が添えられている「石垣パフェ」(華林茶房)。
寒天やわらび餅での野面積み石垣を表現していて、バニラと抹茶アイス、白玉、あんこ玉がのっていますが、これも石垣の石に見立てているんじゃないかと思います。
裏込石を模したポン菓子が素晴らしい着眼点! アイス、あんこ、クリームにとても合います。サクサク触感がまたよい! コーンフレークはパフェによく使われているけど、こういう形でポン菓子を食べたことがなかったので新発見でした。
これからもポン菓子を裏込め石として使った進化系城もなかが出てきそうだなと思いました。確かにそっくりです。
石垣の構造を学んだ上で食べると、より理解も深まるに違いない。食べ物で釣るわけではないが、食で学ぶことはきっと脳への刺激になるだろう。
城もなかは片面だけで何も詰まっていませんので、パフェを食べつつ、お気に入りのパフェの具を城もなか片面の船に乗せ、城もなかの皮の香ばしさとパフェの甘味を共に味わうのがよいかと思います。
城もなかの皮はひとつしかないので、オプションで追い皮ができるといいのですが……。お店の方、ぜひご検討をお願いします!
なお「発掘アイス」というものもありました。アイスの下に詰められたあられやフレーク(?)の中にいろんな色の勾玉の菓子が隠れているのを、スコップ型のスプーンで探しながら食べるというエンターテイメント性のあるスイーツです。
お店は、中津市歴史博物館の中にある「華林茶房」。
中津城を攻めれば、その傍らの中津市歴史博物館にも足が運ぶとは思いますが、中津城のお堀と石垣の復活のプロジェクトのムービーもありましたし、中津城の石垣をパノラマで眺めるテラスもあるので、ぜひお立ち寄りの際は石垣パフェも食べていってください!
営業時間 11:00~17:00(平日16:00) / 定休日 月・火曜※ / 電話 0979-23-8615
※不定休があるので、インスタグラムや電話で確認されることをお勧めします。
中津城への城攻め
中津城へは中津駅から徒歩で行きました。中津駅から北西方向にかくかく進み、15~20分くらいです。
バスもありますが、多少バスの方が早いものの、ほぼ同じ程度時間がかかるほか、城もなかのお店「渓月堂」さんにも途中で寄りたかったので。
なお、途中に中津市立南部小学校があり、ここには学校と道路の間に立派な大手門跡の石垣が残っているので、ぜひこちらを経由していくのがよいと思います。
そして今もクランクの道になっている黒門跡を通り、中津城公園へ。
そこからは天守(奥平家歴史資料館)に向かうもよし、潮の満ち引きで水位が変わる水堀を北側にまわり、お堀越しの天守を眺めつつ、黒田官兵衛像と正室・光姫像の近くから見える時代の違う石垣の境目を見るもよし。
意外と見落としがちなのが奥の方にある、苔もかなりむしている水門跡。さらに道沿いに南西へ進んで、城跡から少し離れますが住宅街に今も街道の抑えとして存在感のある西門跡。
そして少し道を戻り、大手門方向へ戻るようにしていくと「中津市立歴史博物館」にたどり着きます。ここではテラスから復活した中津城の石垣と堀をパノラマビューで鑑賞できます。
中津城を中心にぐるりと見どころが、適度な距離間で配置されています。ちょっと歩いて時間もかかりますが、中津城下町とともにあり、海も近くて磯の香りもほのかにする海城らしさを感じて散策することができます。
天ケ城の城もなか
天ヶ城について、ご存じない方も多いかもしれないので、まずは天ヶ城のご紹介。
宮崎県にある城で、九州で島津氏と攻防を繰り広げた伊東氏のお城です。伊東四十八城のひとつで、当時は「内山城」と呼ばれていたようです。
島津氏に掌握されてからは伊東氏対抗の国境警備の要として兵を集め、島津義弘が「天ヶ城」と改名したと伝わっています。その後、一国一城令により廃城となりました。別名、高岡城や麓城。
(参考:Wikipedia、宮崎県教育庁文化課調査報告書や宮崎市天ヶ城歴史民俗資料館展示、天ヶ城公園見取り図(現地説明版) より)
「天ケ城もなか」(天ケ城茶屋)
皮は、定番の三層角右寄り型です。
謎の色違いの線はここにもありました。今回は、天守の角に沿うように斜めに入っています。皮を焼く時の焼き型の深いところになる部分ということが発生に関係しているのか……?
いい加減調べろよ! と重い腰を上げてみたら、意外と簡単に色違いの線の発生理由と思われるものにたどりつきました。もなかの皮の原料はもちであることは知っていたものの、どうやって焼いているのか知らなかった。
ネットで検索! もなかの種(皮)の工場の動画があった。
その動画を見ると、もちを短冊状に成型して、それを型の片方に置き、プレスして、型の形状まで伸ばして焼いている。
線の部分はもともとの短冊状のもちのあった部分、それ以外の部分は、その短冊状のもちから押し伸ばされた部分ということではないか。
おおむね線は直線状で、たまに角度が違うのは、型に置かれる際の位置の違いによって多少斜めになったりするから。城もなか皮の型の深い部分には必然的に短冊状のもちがセットされやすい位置なので、ここに色違いの線が発生していたんだ! と様々な疑問が解消されていく。
おお、なんだか長年喉につかえていたものが、スッと取れたような気分! なお参考になった動画は福岡県のもなか種屋さんだった。九州編に合わせたかのような素晴らしい疑問解決のアシストをいただきました。ありがとうございます!!
意外と簡単で、身近に答えはあったのかもしれない。情報化社会、インターネットの力、おそるべし。それと同時に、まだまだ自分がアナログ人間であることを反省した。
疑問なことはなるべく早く調べましょう。疑問を大事に持ち続けている意味はあまりないのだw
さて、突然脱線しましたが元に戻ります。
パッケージは透明なプラスチック袋。その袋に銀の文字で「天ヶ城もなか」と書かれているが、銀色の文字は意外と見えにくく、パッと見ると何も書かれていないみたい。
その分、城もなかの特徴的な城の形がはっきり認識できるので、城もなかハンターに限らず、広く存在感を感じ取ってもらえるのだ。
天ヶ城もなかというそのままのシンプルすぎる名前なので、名前で売るより、形で売るというのが、天ヶ城もなかのセールススタイルというべきか。
視認しにくい文字であっても、食べるときにその名前を認識してもらえばということなのかもしれない。
あんは、少数派のこしあん。
粒あんがマジョリティの世界において、こしあんであるだけで、貴重な存在。
なめらかな口当たりが特徴的だ。もなかの皮の隅々まで、なめらかなこしあんは行きわたっているのです。
ところで、こしあんの城もなかと粒あんの城もなかでは、印象が違う。城もなかとともに城めぐりをしていると、食べ比べる機会もあるので特に感じます。
こしあんは、小豆の粒を感じないので、口の中にいれると、もなかの皮をまとったあんを食べているという感じ。一体化しているようなイメージ。
一方、粒あんのほうは、小豆の粒を感じるので、口の中にいれると、あんと皮がお互いに主張しあいつつも、互いを高め、連携している、絡み合う、渦を巻くあんと皮を食べている感じ。手を取り合っているイメージ。
まぁ感覚的な話ですが……。
さて、買ったところは、天ヶ城公園内にある「天ヶ城茶屋」さん。天ヶ城公園内にある休憩処であり、お土産販売のお店。
天ヶ城に行く際には、通常であれば、天城茶屋の横を通ることになると思います。ぜひお立ち寄りください。
天ヶ城公園へのアクセスですが、宮崎県の中心部からは少し離れています。
公共交通機関組の方は、宮崎駅から高岡町方面へのバスに乗って、高岡小入口のバス停で下車、そこから徒歩25分程度です。しかも天ヶ城公園が、小高い丘陵上に存在するため、かなり急こう配の坂道を登らなくてはなりません。舗装道路であることが救いです。
私自身も歩いて登りましたが、その日最後の城攻めということもあり、なかなか体力的にも堪える坂道でした。
自家用車等のクルマ組の方は、天ヶ城公園を目指していただき、坂道を超えて、さらに天ヶ城公園の丘陵の途中にある天ヶ城体育館や天ヶ城野球場を超え、いちばん奥の駐車場にたどり着けば、あとは歩いて数分です。
夕方になるにつれて、観光客も運動施設の利用者も減り、人の気配がなくなっていくので、確実に城もなかをゲットしたい場合は、あらかじめ連絡しておくべきかもしれません。
なお、天ヶ城茶屋の看板商品ですが、「天ヶ城もなか」だけではなく、もうひとつ「梅干しもなか」という銘菓があります。
天ヶ城公園がある高岡の町には、国の天然記念物「月知梅(げっちばい)」があります。天ヶ城公園からは離れていますが、公園から北東へ向かい、大淀川を渡ったところです。
もとは香積寺(曹洞宗龍福寺の末寺)の客殿の庭にあったもので、1673年(延宝元年)に薩摩藩主・島津光久が上洛の途中で立ち寄った際に「植えられてどれだけの年月を経たのか、その最初は月だけが知っている」という内容の詩を作り、月知梅と命名したのがその由来らしい。
かつてはひと株だったものが、いまでは70株ほどになっているようです。
枝が伏して根を張り、四方に繁殖した姿が、あたかも龍が地を這うようであることから、臥龍梅とも呼ばれているらしいです。かっこいい名前ですね。宮崎市HPによれば、例年の開花時期は2月中旬頃で、白色の八重で非常に気品ある梅だそうです。
(私が攻めた時は5月なので、お目にかかることはできていません)
その月知梅にちなんだもなかが「梅干しもなか」です。これは「梅もなか」ではなく、「“梅干し“もなか」という点が特徴的です。
梅の花の皮のもなか、または梅あんのもなかなのかなと思っているとびっくり! もなかの中に本当にカリカリの小梅の梅干しがまるごと入っています。
粒あんの甘さを、梅干しによる梅のさわやかな塩味が際立たせて、梅干しもなかの独自性をぐっと引き締めている。
私の食べた梅干しもなかの小梅は、結構しわしわになって小さくなっていましたが、作られてからの時間によっても小梅の状態は変わってくるのかなと思います。
「梅干しもなか」も珍しい逸品のもなかなので、「天ヶ城もなか」とセットでぜひ。
営業時間 9:00~17:00 / 定休日 月曜日 / 電話 0985-82-0927
天ケ城への城攻め
天ヶ城公園へのアクセスについては先に述べたとおりですが、天ヶ城は天ヶ城公園となっているので、天ヶ城茶屋に着いたら、すでに天ヶ城へ来ていることになります。
天ヶ城には模擬天守があり、内部は天ヶ城歴史民俗資料館となっています。さらに門や石垣も立派に復元されています。当時のものではないにしろ、石の匠の技の結晶である石垣がドーンとある場所はいいもんですね。
資料館では、近くを流れる大淀川の流域の歴史や風土、武家の暮らしなどの展示があります。また、2階にいる島津義弘のロボット人形が印象的です。
資料館を見学すると城攻め完了と思いがちですが、天ヶ城にはもっと奥に三の丸と大手門があります。ぜひ奥まで足を延ばしてみてください。
山城など、建物のない城も好きな人たちにとっては、三の丸のほうが城らしさを感じることができるかもしれません。
天ヶ城址として説明されている看板もあるほか、三の丸と大手門の跡の人工的な郭の高低差や平坦地と思しき場所があり、城跡らしさに私は「おー、これこれ!」と興奮していました。
もちろん模擬天守の部分もよいですが、こういう土の城の部分はまた違った城の味わいですね!
熊本城の城もなか
「熊本お城最中」((株)一休本舗水前寺店)
皮は定番の、三層角右寄り型。またしても定番。
しかし皮はよく見る形ではあるものの、「熊本お城最中」は決してよくある城もなかではないのです。
「熊本お城最中」の三大個性を紹介します。
まずはパッケージ。
紙でバスケットが作られており、そこに城もなかが収まるようになっている。包み込まれるようなその包装は、城もなかを大事にしようとする心意気が感じられるほか、パッケージそのものが城を模したものであり、城もなか自体がすでに城の関連商品ではあるものの、より城っぽくなっている。
石垣好きの私にとっても、熊本城の石垣を表現しているパッケージの部分にはめちゃくちゃひかれてしまう。
次にそのネーミング。
「熊本お城最中」というネーミングを改めて見てみると、「熊本城最中」ではなく「お」がある。熊本のお城最中なのだ!
もっともこの城もなかは「400年以上の歴史を刻む熊本城に想いを馳せてつくられたもの」なので、この「熊本のお城」が熊本城を指していることに間違いはないのですが、熊本城最中ではなく、お城最中である点に、マニアックに注目してしまった。
お城に対する敬意の表れで「お」をつけているのか、熊本城は相当な観光地だから、お土産用の商品は山のように生まれているのだろうと思うと、「熊本城最中」の商標が別の企業に取得されていたのかもしれないなー、と推察してみました。
真相はわかりませんが、今度行く機会があれば、お店の人に聞いてみたいと思います。
そして最後は、皮とあんが作る独特の隙間です。
あんは粒あん、皮は定番の三層角右寄り型ですが、城もなかでは珍しく、皮が閉まり切っていないのです。
(最中全般的にでも珍しいと思います。東京・新橋の新正堂さんの切腹最中は例外的ですが)
締め忘れではないかと思うほど隙間が空いている。ここはなんだかぎゅっと閉めてしまいたくなるところですが、これには理由があるのです。
それは、あんの中に団子が入っているためです。
(株)一休本舗さんでは、団子も看板メニューであり、多種多様な団子を販売しておられる。その団子が一粒、あんとともに皮に挟まれているのだ。
よくある求肥餅の場合は、求肥が平べったく比較的柔軟な動きをするため、あんとともに皮に挟まれていても、しっかりとあんと求肥が自らの形状を変化させながら隙間を埋め、皮を閉め切ることができる。
(量にもよりますが、だいたい閉まりきっていることが多い)
一方、団子の場合、求肥に比べて、その形状を保とうとする抵抗力がかなり高い。団子が団子の形状のままでいるため、具体的には団子の直径以下には、つぶれることがなく、皮を閉めようとしてもそれ以上は閉まらないということになる。
無理に閉めようものなら、皮の方が破壊されてしまうかもしれない。
この隙間は、弾力性のある団子をあんとともに挟んでいる証であり、個性的な城もなかのデザインとも捉えることができる。
パッケージのふんわり設計も、皮とあんのこの閉まり切らない形状や厚みに起因したもののようにも感じます。
お店は熊本城からは少し離れていて、城攻めついでに立ち寄るのがなかなか難しい城もなかです。
熊本城からだと、路面電車で熊本城・市役所前から国府駅まで電車で移動。国府駅からは、グラウンド通りを東に徒歩16分。
または、熊本駅からJR豊肥本線で、新水前寺駅まで移動し、徒歩20分(路面電車の国府駅経由)。
水前寺競技場の南東、または熊本県庁の北に位置しています。水前寺5丁目の交差点のところです。
甘味処一休庵が併設されており、団子などの甘味のほか京風たこ焼きが味わえる。お餅を七輪で焼いて食べたり、グラタンなどもあるみたいです。なかでも京風たこ焼きはおいしいとネットの口コミには書かれています。
また、進化系城もなか、「和・パフェ」という、城もなかの皮がトッピングされたパフェもあるようです。
しかし、京風たこ焼きや城もなかパフェの存在に気が付いたのが熊本を後にしてからだったので、今回は食べられず……無念。
「へぇー喫茶が併設しているんだー、結構混んでて繁盛してるなー」と思うだけで、城もなかがゲットできたことに満足してしまい、迂闊でした、それだけ人が集まるには理由があったということでしょうね。
ますます気になってきた。いつになるかわからないが、熊本へまた行く日が待ち遠しい。今度行ったら必ず味わってみたいと思っています。
営業時間 8:30~17:30 / 定休日 無休 / 電話 096-383-0606
熊本城への城攻め
数回目の熊本城。今回の熊本城の城攻めは、ごあいさつ程度しか、攻めていません。
熊本の次の目的地、平戸に向かうためにどうしても乗らなければいけない高速バスがあったため、その発車時刻までの1時間程度だけお邪魔してきました。
天下の名城・熊本城が1時間で足りるわけもなく、この状態で有料エリアに入っても、消化不良間違いなしだったので、今回は南側の無料エリアと、桜の馬場 城彩苑のみを見学しました。
南側の無料エリアにも大きな見どころがあります。
まずは加藤清正像。
熊本や熊本城のシンボル的な存在の銅像で、ここに来たら熊本城に来たなと、過去に来た熊本城の記憶がよみがえり、新たな熊本城の思い出が紡がれていくような気持ちにさせられます。まさに熊本城の記憶のハブ的存在。
熊本城に来た時にはここにきて、「熊本城の記憶をまたつながせてもらいます。」と挨拶しています。
さらに、備前堀。
熊本城唯一の水堀といわれる名所。奥には奇跡的に一本の石垣で耐えた飯田丸五階櫓のあった飯田丸も見えます。
またさらに遠くに熊本城天守も見ることができるスポット。
飯田丸の石垣の復旧工事中。その過程を見ながら、応援の気持ちで胸を熱くしていました。
そして、未申櫓。
有料エリアの入口に進まず折れて二の丸方向へ。無料でいいのかと思うほど、立派な未申櫓を見ることができました。
部分的ではありましたが、熊本城の美しく力強い姿を見せてもらい、こちらも元気づく。ここも地震の時には被災していた場所だったと思うので、負傷してつらい時にも笑顔を絶やさないような、ヒーロー的な存在感を覚える。
最後に、城彩苑のお土産屋さんをぶらぶらして、おいしい城菓子などを購入したり、熊本城グッズを見て楽しんだりしていました。
これまでも何度か来ている熊本城でしたが、立派な熊本城を一度見たら、何度も見たいし、やっぱり震災からの復活の過程を少しでも多く見届けたいと思うのが、城を愛する者として避けては通れない道でしょうか。
次は、もっと時間をかけて見て回りたいと思います。
ちなみに、熊本城へは一休本舗水前寺店さんの近くのバス停から、熊本城の近くの桜町バスターミナルへ向かい、そこから徒歩で攻め込みました。
高速バスユーザーには大変ありがたいバスターミナルの立地。本当にバスの待ち時間で、さらりと遊びに行けるところにあります。少しだけでも空き時間があるなら熊本城に立ち寄ってみてください。
その他の熊本城の城菓子
熊本茶房の「くまもとサブレ」
熊本城の形をかたどったサブレ。
熊本茶房、創業70周年の記念菓子。地震の被災から復元中の熊本城とともにこれからの100年を迎えられるような地元の銘菓として愛されるお菓子を目指し誕生。
パッケージは熊本城の復興途中の熊本城が描かれ、熊本城全体の復旧状況に合わせて、サブレに描かれる熊本城の絵図も変えていく計画とのこと。
箱の中には、「熊本城主」の当たり券が入っているものもあるらしい(20枚入りの箱)。
私は、城菓子だと思って、何気なく買ったが、色々な工夫がある楽しいお菓子だったと後で知りました。くぅーー。知ってたら爆買いしたのにーー。
また熊本に行って買おう。当たり券を引き当てたい。図柄が変わったのが見たい!
営業時間 9:00~20:00 / 定休日 無休 / 電話 048-554-1036
お菓子の香梅の「武者返し」
定番中の定番の熊本銘菓であり、熊本城の代表的な城菓子。皮を剝いだ紫の美しい小豆餡をパイ生地で包んだお菓子。
熊本城にある、上に行けば行くほど垂直になる美しい曲線の石垣は「武者返し」と呼ばれ、その名前を取っています。
パイ生地は折り込んで伸ばす手作業を繰り返して100層にして焼き上げられているという技巧の結晶であるとともに、美味しさも積み重なったお菓子です。
営業時間 9:00~18:00(金土20:00まで、日19:00まで) / 定休日 無休 / 電話 096-288-0039
平戸城の城もなか
「平戸城もなか」(津乃上)
平戸城の城もなかは、シンプルの極み。余計なものは何もなく、城もなかの芯で勝負している感じです。
皮は、定番の、三層角右寄り型。パッケージは、透明なプラスチックの袋に入れられ、装飾はない。ただシンプルに「平戸城もなか」と書かれているのみ。城もなかの顔を包み隠さず、シンプルに城もなかの姿そのままに認識できる。
店内でも、城もなかの姿は見落とすことがないほど、堂々と鎮座しており、お店の看板メニューのひとつです(ほかに牛蒡餅というのも有名)。
あえていうならば、袋に書かれた「平戸城もなか」の深い緑色の文字が、平戸城の石垣を彩る深い緑の苔や平戸瀬戸(ひらどせと)に突出した平戸城の豊かな緑をイメージさせる。
(お店が緑色にしている理由ではなく、私の勝手なイメージです)
あんもシンプルに粒あんが詰まっています。
カンカンに詰まっているというよりは、適度に空間を残しています。皮、あん、それぞれが適度なバランスをたもち、お互いの持ち味を各々感じさせつつも、両者の調和の魅力も感じます。
ザ・城もなかに触れ、原点に立ち戻るような気分になります。
「ありがとう、平戸城もなか。また頑張れそうな気がするよ」
美しい教会もある平戸だけに、教会に祈りをささげて光が差したような、復活祭や生誕祭のような、なんだか神秘的な気持ちになりました。
城もなか道中はここにきて、リボーンです。特段何かが変わったわけではないですが、城もなかへの気持ちを思い直し、改めて城もなか愛を高めていこうと決意したという感じでしょうか。
あらためて平戸は神秘的な町だと感じます。
平戸城もなかを買えるお店「津乃上」へは、平戸城の南を走る国道383号の道路を西に向かい、二股を左に入って、大吉通り、袋町通りと西に進み、橋を渡るとすぐあります。二股から入って400m程度。
比較的、平戸城から近いので、ぜひ公共交通機関組の方もバスの待ち時間などで立ち寄っていただきたいところです。
営業時間 8:00~18:00 / 定休日 不定 / 電話 0950-22-3021
平戸城への城攻め
平戸城は、城攻めしにくい場所にあるとつくづく感じました。
次に九州に来たときに行こうと、当初、今回の九州の城もなかの旅では予定に入っていなかったのですが、念のためアクセス(公共交通機関)を調べてみると、なかなかの時間を要するほか、改めて九州に来たときに寄るという感覚では到底たどり着くことができそうにないと気づくことになります。
そこで急遽、この九州の城もなか行脚の中に組み込んで、城攻めすることにしました。
そのため、ちょっとイレギュラーな経路での城攻めかもしれませんが、参考になれば幸いです。
熊本城の城攻めをあいさつ程度で済ませた後、熊本城近くの桜町バスターミナルから、高速バスで福岡方面を目指し、途中の基山SAで下車、佐世保方面への高速バスへ乗り換え佐々駅へ。
佐々駅からは電車で江迎鹿町駅(えむかいしかまちえき)に行き、その日はそこで宿泊。翌日、江迎鹿町駅から電車でたびら平戸口駅に向かい、駅からは路線バスで猶興館高校(ゆうこうかんこうこう)入口で下車、あとは徒歩という遠路。
初めての高速バスの乗り継ぎ、しかもSAで! 初めてのことだし、ゴールデンウイーク中ということで高速の混み具合などが読めなくて、果たしてうまく乗り継ぎできるのか……できなくて野宿? とか、ハラハラドキドキ。
さらに、ルートを調べてても、江迎鹿町駅とか、猶興館高校とか、キースポットの名前が読めなくて不安になりました。
今回、天気もぐずつき、当日は雨も降っていたので、折れそうな気持ちを維持してなんとかたどりついたので、嬉しさもひとしおでした。
また、最寄りの駅「たびら平戸口駅」は日本最西端の駅ということで駅舎の脇に石柱が立っています。
鉄道は最西端ですが、城もなかは、五島列島の福江城の城もなかや、天守型ではないが、首里城の城もなかがあるので、まだまだこれより西にも城もなかがあります。
遠路話に花が咲いてしまいましたが、さていよいよ城攻めです。
当日の朝から雨が降っていましたが、平戸城につく頃には、かなりの本降りになっていました。
雨のせいか、朝早かったせいか、ほとんど人がおらず、十分に城を堪能できました。
平戸城の天守に至る手前には亀岡神社があり、大手方面から、亀岡神社の脇を経て、平戸城天守に向かいました。
大手門の付近では、雨が降りしきる中、水も滴るいい石垣! 立派な苔むす石垣をじっくりみながらも、平戸城の特徴のひとつである、割れた瓦がたくさん落ちているので、石垣をみつつ、おもしろい瓦がないか、地面をみつつ、おもしろい石垣もないか、石垣も見つつで、なかなか忙しい城攻め。
北虎口門と狸櫓、地蔵坂櫓のあたりがお気に入りです。
開けたところではなく周囲はちょっと狭い感じがしましたが、またそれが城らしさ、どこから狙われているかわからない緊張感で攻め手を怯えさせてくれます。
また狸櫓という、珍しく方角に関係のない動物の名前が入っていてかわいい感じがしました。
そこから天守方向にある、珍しい石狭間も見どころです!
平戸城は城に泊まれる「城泊」ができるということでも有名ですが、ここに泊まれるのかなぁと、なかなか叶わぬ夢ではありますが、もし泊まったらこんな感じかなーと宿泊施設の懐柔櫓を眺めながら想像するのもお楽しみポイントでしょうか。
平戸城天守閣内の展示もリニューアルされた新しいもので、そんなに広くはないもののとても濃密で、知的好奇心を刺激するものばかりでした。
チケットのQRコードをかざす入城ゲートは最新リニューアルの証ですね。
展示の中でのお気に入りは、木製のジオラマを前にした、松浦家26代藩主と29代藩主の二人の鎮信(重信)の解説による築城物語のムービー。松浦氏自体あまり知らなかったし、同じ呼び名でややこしい鎮信(重信)を語り手にしているところとやり取りもおもしろく、構成もしっかりしていて、がっつり見て学べました。
遊べるアトラクション的なフロアもあって子どもも楽しめます!
岸岳城の城もなか
「岸岳最中」(昭月堂)
皮は、ニ層立体直方体対角線割型。これは珍しい。二層タイプ。
城もなかの中では、歴史上存在した城の再現性を別にして、多くが三層以上を表現する中で二層! なかなかニッチなところを攻めている。さすがに一層だけだとお城の天守や櫓っぽくなく、塀っぽくも見えてしまう。
二層はお城もなかとしては最も低層タイプと言えそうです。櫓もなかというべきか。
また、対角線割タイプというところも、あんをたくさん詰めようというこだわりが見える。
ずんぐりむっくりしたところも可愛らしい。
パッケージは、なんの装飾もない、シンプルの極みといえる透明なフィルムで包んである。なんもないけど、食べ物として汚れなどを防ぎ、透明なので、どんなものか丸見えだ。
買う方のこっちが、ちょっと恥ずかしくさえなるw
あんは、粒あん。
隅々までぎゅーっと詰まってて隙間がない。ここまで詰まっていると気持ちが良い。
直方体対角線割タイプではお決まりの「怪獣喰い」(=怪獣気分で城を真上からかぶりつく食べ方)でいただく。
この喰われた城を見ると、なんだか心が晴れる気がする。
破壊的なストレス解消によるものなのか、城を喰った満足感なのか。
石垣だけになった城もなかの破城感や、全国にある石垣だけの城をイメージできるので、これだけでも十分城もなかとして売れそうな気がする。
中身の見える城もなかというのもありだよね。
ぜひ、石垣だけのお城の地域で城もなか化してほしいところです。
買ったところは、昭月堂さんです。
開業当初は和菓子主体だったが、オーナーの洋菓子修行により、和菓子の伝統と洋菓子の斬新さをミックスさせた、新しい食感のスイーツで、ブランド化を図っておられるそう。
ぜひ、そんな中でも岸岳城の城もなかは、残していってほしい。
むしろここに洋菓子とのミックスが生み出せないかと期待してしまう。
名物は、多種多様なプチガトーやシュークリームのほか「石仏最中」がある。
私は岸岳城しか目に入ってなかったけど、鵜殿の石仏群という観光名所があり、唐津市相知町鵜殿窟という断層岩壁に彫刻された磨崖仏群なんだそう。
(佐賀県観光ポータルサイト「あそぼーさが」より)
その石仏を模した石仏最中も有名らしい。
しかも、私が岸岳最中を買いに行った時には、石仏最中はひとつもなかった(写真右上のお皿)。売り切れたのだろうか。
昭月堂でもなか抗争が起きたら、石仏最中が優勢になりそうだ。
これはいかん! 岸岳最中も応援してくださいー!
未知なる圧倒的人気の石仏最中の存在が少し気になり、妄想が膨らみました。
お店の場所はクルマ以外だと岸岳城の帰り道にという訳にはいかないかなと思いますが、歩いて行けないこともないです。
肥前久保駅から徒歩14分程度、相知駅から徒歩16分程度、岸岳城の最寄り西相知駅からだと26分程度です。
(私は西相知駅から岸岳城へ徒歩で、帰りに昭月堂さんに徒歩で行きました)
営業時間 9:30~18:30 / 定休日 月 / 電話 0955-62-2601
岸岳城への城攻め
岸岳城は正直、城もなかがなかったら、知らなかったと思います。
ですが、山の中にひっそりと高めの石垣がそびえ、かつ時の流れを感じる、石垣の崩れ、石垣から伸びる木々、苔むす石垣の石があり、めちゃくちゃ興奮してしまいました。
石垣に使われている石も、今にもぼろぼろと崩れてしまいそうなくらい風化しており、時の流れや崩壊ギリギリを耐えている瀬戸際の美を感じてしまいます。
尾根上に連なる形でとてもながーく作られているところも岸岳城の特徴だと思います。
端から端まで行くだけでも、結構ありますが、端まで行くと美しい山の景色が広がっています。
また抜け穴伝説や姫落としという場所があるのも見どころですね。
私は途中の三左衛門殿丸の石垣が、崩れ具合、木の生え具合、苔のむし具合、石垣の高さや折れ具合など、総合的にどれも素晴らしく、特に好きでした。行きも帰りもぐるぐる郭を回り写真を取りまくりました。
尾根上を歩いていくのが通常ルートですが、少し東側にある本丸の下あたりに二段で高めの石垣が、静か〜に鎮座しています。
降りていく道らしい道は見つけられなかったのですが、三左衛門殿丸の東の谷側から斜面の歩けそうなところを伝っていくのがいいのでしょうか。
(なかなか斜面も急だし、落ち葉などあるとめちゃくちゃ滑るので、くれぐれもご注意ください)
隠れたすごい石垣を見つけるとなんだか嬉しい。石垣好きの方はぜひお気をつけて降りてみていってほしいです。
なお、降りたら登らなくてはなりません。そのまま降りていくとどこに辿り着くのか確認していないので、降りたらまた元の場所まで戻ることをおすすめします。
また心霊スポットとしても有名らしいのですが、特に私は霊感も強くないので何もなかったです。
ただ、賑わってはいないので、なるべく日の高いうちのほうが心穏やかに城に集中できるのかなぁと思います。
(といっても昼でも暗めなところはある)
おわりに
今回は、九州を一周する城攻め(岸田城は別旅)とともに、各地の城もなかをいただき、イートインで切り開かれた新世界のサバイブ城もなかに興奮し、強行軍で弾丸城攻めした名城の個性派城もなかに感心し、今まで経験したことのない高速バスと鈍行電車の長旅の結果、シンプルな城もなかに心洗われリボーンして、城もなかがいざなってくれた未知の城との出会いに感動しました!
九州の旅は本当に充実したものとなりました。
なかなか何度も来れるところではないということもあったかと思いますが、その中でも要所要所で城もなかに出会えたことが何よりうれしいことでした。
九州のお城はワクワクするような場所ばかりで、まだまだ行き切れていないのが現実。
新しい城もなかと出会いに期待しつつ、また城もなかとの再会を楽しみながら、また九州の城攻めに興じたいと夢見ています。
九州の城もなかめぐりの旅、第二弾を実現するべく、未知なる城もなかの目撃情報を引き続き集めつつ、全国の城もなかを訪ねて、食べ重ねていきたいと思います。
九州で大変多くの経験値を積ませてもらったものの、城もなかの経験値はまだまだ足りない。これからも地道に城もなかのレベルアップにいそしみます。
ご覧になったみなさまが城もなかを通じて、その地域でのお城愛を知り、これまでとは角度の違った新しい城めぐりの世界が広がればと思っております。
それでは、
城めぐりのおともに「城もなか」を!
よき「城もなか」との出会いがありますことを祈っています。
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