ここもうちの近所ですが、妙顕寺へいってきました。
妙顕寺といえば、秀吉が聚楽第の前に築いた京都の居城、妙顕寺城を思い浮かべた人も多いかと思いますが、その妙顕寺です。もともとはいまの二条城の近くにあったのですが、妙顕寺城を築城するために現在地へ移転させられました。
現在、妙顕寺跡には城址碑があるだけです。
でもそもそもは鎌倉時代の1321年(元亨元年)に創建された、京都における日蓮宗最初の寺院です。日像上人が後醍醐天皇から賜った勅旨は重要文化財に指定されていて、宝物殿で見ることができます。
ちなみにここも「天明の大火」で伽藍の大半を焼失しています。現在の建物はこのときに再建されたものがほとんどだそうです。
この大本堂は中を見学することもできます(撮影不可)。
訪問したのは2日だったので桜はまだ咲きはじめでした。
(そのあと6日に再訪したらほぼ満開になってました)
立派な玄関です。
方丈が拝観受付になっていますが、とても大きいです。
坪庭があったり、水琴窟を体験できたり、インスタ映えしそうな丸窓があったり(覗いた景色はさほど映えないのが難点)、大きなお寺なので見どころもたくさんあります。
これは「孟宗竹の坪庭」です。竹の影がいい感じです。
ネスカフェのCMに使われたことがあるとか。
写真右下にあるのが水琴窟で、柄杓で水をかけると音が鳴ります。
こちらは「光琳曲水の庭」と名付けられていますが、尾形光琳が作庭したわけではありません。
ただしかつては妙顕寺に光琳が設計した庭があったそうです。「天明の大火」で庭も焼失したため、のちに光琳が描いた「松竹梅図」の掛け軸をもとにつくられました。
丸窓からのぞくこともできます。
常緑樹の松なので季節感はあまり出なそうですが、雪が降ったらきれいでしょうね。
これが大客殿。
大客殿から眺めることができるのが「四海唱導の庭」です。
桜の横にあるのが勅使門、奥に見える大きな建物が大本堂です。天皇家だけが通れる勅使門があるのは、後醍醐天皇に認められたお寺だからですね。
大本堂へわたる廊下から見た桜です。
平日ということもあってか、拝観者は10人くらいしかいなかったので写真も撮り放題でした。
記念写真用の部屋まで用意されています。
バックにあるのは大本堂の天井と同じ柄です。妙顕寺の天井は昭和に入ってから修理されたそうで、このときに檀家の家紋が描かれました。
寺宝には酒井抱一や狩野安信の作品が
宝物殿は撮影禁止ですが、酒井抱一の「観世音図」や狩野安信の「釈迦之図」「龍之図」「虎之図」などが展示されています。
酒井抱一は尾形光琳の後継者、江戸琳派の祖といわれた人ですが、そもそも姫路藩主・酒井忠以の弟という名家の出身です。
狩野安信は狩野探幽や狩野尚信の弟で、狩野貞信が亡くなったため宗家を継いだ人物です。安信の三作は金碧障壁画ではなく水墨画の掛け軸ですが、こういう人たちの絵がふつうにあるのが京都の大寺院のすごいところです。Wikipediaの安信のページにも記載されてないのですが、ほかにもきっとたくさんあるんでしょうね。
ほかにも狩野山楽の「楼閣山水図屏風」などが妙顕寺にはあるはずなのですが、今回は展示されてませんでした。この絵は山楽の基準作例とされてるそうなので、いつか見てみたい。
展示の脇におもしろい図があったので、メモして帰ってきたので共有しますね。
(こういうのは写真を撮ればすぐなんだけど、撮影不可なので書き写しました)
狩野家や尾形家、本阿弥家などが朝廷や幕府と仕事上のつながりがあったことはよく知られていますが、日蓮宗とも関係が深いこと、また相互に婚姻関係があったことなどがまとめられています。
御朱印もいただいてきました。
お寺まるごと美術館PROJECT
妙顕寺でも「お寺まるごと美術館PROJECT」として現代アートが展示されています。
あまり主張が強すぎなくていい感じです。
この作品は夜に来ると光るそうです。
この「おべんとう曼荼羅」という作品はじつにシュールでした。
現在は夜間ライトアップ中、夜間拝観も可能
ちなみに夜はライトアップされていて、夜桜を楽しめます。夜間拝観もやってます。
(ただし宝物庫の公開は昼間のみなので注意)
大本堂の脇にある桜はちょうど見頃でした。
方丈の手前です。
外側から見た勅使門ですね。
上京区の西陣エリアは妙蓮寺や妙顕寺のほか、水火天満宮など桜がきれいなところが多く、ライトアップしてくれてるお寺もたくさんあります。
それでいて地元の人くらいしか見に来てないので、かなり穴場だと思います。