近年、犬山城下町はスイーツ通りと呼ばれるほど、和菓子洋菓子のお店が立ち並んでいるのですが、もちろん我らが「城もなか」もしっかり陣取っているようです。
おいしそうな写真とあわせてじっくり楽しんでください!!
今回は犬山の城もなかと出会う旅に、城めぐりをしながら行ってきました。
犬山の城もなか、つまり犬山城の城もなかです。
犬山城は城めぐりを始めたばかりの頃に、国宝犬山城というものをはじめて知って訪れた若かりし頃の思い出も甦る印象深いお城です。何度行っても楽しい、ワクワクする城ですが、そこに城もなかを訪ねてまた来ることになるとはあの当時は思いもよらなかったことでした。
今回の旅で、城もなかも犬山城の新しい思い出の1ページとなりました。
さすが国宝犬山城と言わざるを得ない、城もなかについても国宝級の特徴的な城もなかでした。
城と城もなかとの出会いは、城もなかにはあんだけでなく、さまざまな思いが詰め込まれていることを知り、また新しい思い出を一緒に詰め込むこととなった、城攻め、城もなか道中となりました。
犬山城の城もなか
1.「お城もなか」(松栄本店)
三層正面型であるが、犬山城モデル。
三層正面型は多くが小田原城モデルを使用していることが多いが、こちらはオリジナルの型で作られる犬山城モデルです。
それだけで価値のある皮!
犬山城の特徴的な望楼の欄干や一層二層目のサイズ感に対する三層目や破風の配置までそっくりだ。
ただ気になるのは、破風が唐破風ではなく、千鳥破風であること。
そこは再現が難しかったのか…まてまて、唐破風のある南東から見た方向だとすると、最上階の屋根の形が90度異なる。
ははーん、これ南西ないしは北東側から見たものなのか? と考えてみるが、そうすると今度は望楼の出入り口がないはずなのに皮にはある。
困った……、これはどっちの方向からみた犬山城なのか……。
推論ですが、天守入口のある南東から見た犬山城の最上階の屋根は見栄えを考慮して回転し、唐破風は型の作りやすさなどで千鳥破風にしたのではないか、と思います。
まぁ付櫓もどっちの方向からしても本当はあるのでそこら辺も型の作成都合上カットしたのかなー、なんてあれこれ考えてしまうが、それはそれで楽しい時間。
ある意味、もなか皮だからできるオリジナルの犬山城でもある。
これはこれで味というやつなのです。
パッケージについては、素朴な字体で「お城もなか」とシンプルでありつつ、お城の毛筆イラストがカッコいい。
あんは、粒あん。
受注生産ということだからなのか、いまさっき手作りもなかを作ったようなフワッとしたあんの詰まり方をしている。
パリパリの香ばしい皮とフワッとした甘いあんのコントラスト、詰めたてのあんと皮の隙間も味わいのポイントです。
受注生産、作りたてほやほやの城もなかはなかなかないので、ここでしか味わえない唯一無二の城もなかといえます。
買ったお店は「松栄本店」。
お店に入ると目立つところに「注文を受けてからお作りします」の案内があり、作りたてほやほやの城もなかの賞味期限は3日。
おいしさ、ほやほや感を存分に堪能するためにも、なるべく早く食べたいところです。
陳列されている商品がないところも、老舗和菓子屋にも関わらず、簡素さを追求した洗練されたお洒落なスタイルと、出来立て提供へのこだわりの強さが伺えます。
お店は、犬山城の城下町のメインストリートとも言えそうな沢山のお店が立ち並ぶ道路に面しており、多くの観光客が往来する場所にあります。国宝犬山城の人気まで包み込んだ城もなかじゃないかと思います。
犬山城へ行く方の多くが、食べ歩きもしたいなとか、お土産みたいなとかで、きっと通られるところなので是非立ち寄ってみていただきたいです。
時間がない方は、犬山城に行くときに注文し、帰りに取りに行くというスタイルもありかもしれません。
営業時間 10:00~16:30 / 定休日 火水曜日 / 電話 0568-61-0025
2.「桜城もなか」(和菓子処ますだ)
皮はこちらもオリジナルで、特に珍しいのは桜城ともあるように、桜の花を手前にその向こうに犬山城があるという構図をもなかの皮にしているところです。
城もなかの中でもかなり異色のデザイン。
城もなかといえば城のみというのが普通なんですが、このもなかの皮だけは、桜がある。さらに桜の方が前という斬新なデザイン。
桜の花と城の位置関係には、見方を変えると、桜の花に城が乗っている様子を表現しているようにも見える。
こうなると、若干「天空の城ラピュタ」のようなものにも見えなくない。
というわけで、かなり特徴的で面白いデザインなのです。
細部に目を向けると、犬山城の望楼部分もしっかり表現されているところが素晴らしい。
ただこちらについても、破風があるが唐破風ではなく、なんとか破風になっている。
なぜかこの点が犬山城の城もなかの皮に共通するところだ。
望楼部分をしっかり再現、かたや破風はなぜか唐破風を再現していないという。
そんな共通点も見つけることとなり、面白い発見をした。
皮のタイプは桜の花びらに隠れて、何層のタイプか不明だが、見える範囲では二層。犬山城を再現なら三層だと思う。
見える範囲でということで、二層正面型(見える範囲)の皮と整理しておくことにします。
パッケージについては、城がまとうオーラのような、天空の城ラピュタ風の霧がかるような半透明の袋に入っており、演出的な要素も感じつつ、開けるのを楽しみにできるようになっています。
また、桜城もなかの名のとおり、皮だけでなくパッケージにも桜の花が咲いています。
あんは、ぎゅうぎゅう詰めの粒あん。
桜の部分が、あんをより詰められるような空間を作り出していて、あんこ好きにはたまらない最中。桜の花びらの先っちょまであんが詰まった断面が印象的です。
買ったお店は「和菓子処ますだ」。
先ほどの松栄本店さんと対照的で、こちらは、ちょっと犬山城から離れており、どちらかというと地域の和菓子屋さんという感じ。
地域からの愛着も強い犬山城を、城もなかとして結晶させているようです。
私は犬山城から歩いて行きましたが、最寄駅は「犬山口」で、そこから徒歩5分ほど南に歩くとあります。
(犬山城からだと徒歩25分くらい)
営業時間 8:30~18:00頃 / 定休日 火曜日 / 電話 0568-61-0145
犬山城への城攻め
犬山駅から徒歩で向かいました。犬山駅から西へ本町交差点を右折して、城下町の食べ歩きして回れそうな美味しそうなお店が並ぶ道を犬山城に向かい北へ直進していく。
通るだけでもお腹が減ってきそうです。
城を目指して、わくわくする演出。
犬山城には久しぶりだったので、胸が高鳴りました。
城としてはちょっと小さめのコンパクトな城ですが、そびえる天守閣の国宝たるオーラをヒシヒシと伝わります。
私のお気に入りは、やはり天守閣の最上階の廻縁。木造であることや、遮るものが何もないオープンな爽快感。
そして木曽川の風情ある景色。
かつては床も木造そのままだった気がしましたが、今は保護か安全のためにか、全てが剥き出しではなかったです(私の記憶違いかな……)。
木造天守の恐怖と興奮が入り混じる、急階段!
そこがまた楽しいところです。
平日にも関わらず多くの人がいたし、結婚式の前撮りでしょうか、お祝いしたくなる夫婦もおられて、犬山城の人気っぷりを肌で感じたところです。
その他の犬山城の城菓子
1.和菓子処ますださんの「犬山の城」
栗入りのどら焼きです。
シンプルなどら焼きですが、しっとり皮としっかりしたあんこ、そしてゴロッと栗が入っているので、栗とあんこで和菓子の秋の定番ハーモニーを感じます。
犬山の城とは、犬山城のことでしょう。パッケージには、犬山城を忠実に描いたイラストがあります(石垣まで緻密なイラスト!)。
名前を犬山城とせずに、犬山の城としたところが、なんとなく犬山の地域にあるお城であることを強調しているようで、地域のお菓子屋さんらしいなぁと思いました。
おわりに
今回は、犬山城の城もなかに出会ってきました。
なんとも対照的なふたつの城もなかでしたが、それぞれに味があり、まとう空気があり、支える人たちも対照的な見方ができるとても面白い城もなかとの出会いでした。
これからも永く犬山城と共に城もなかが愛され、楽しまれていくといいなぁとしみじみ思いました。
時期的には、涼しさを少し感じる程度の秋の始まりくらいで、紅葉もそろそろかなぁといったころでした。たまたま平日に行ったので、人はそこまで多くなく、並ばずに犬山城には入れましたが、休みの日ともなれば大勢の人で賑わうことが予想される、行列用のチェーンやポール。
規模はそこまで大きくはないものの、犬山城の人気の片鱗を感じてきました。
桜の季節にもきっと大勢の人で賑わう犬山城と城下町。
今度はその時期に、和菓子処ますださんの桜城もなかを片手に犬山城と桜のスリーショットを撮りながら一服。そして城下町のグルメを食べ歩き、街の趣を感じながら、松栄本店さんのお城もなかで一服。
……と、城もなかと共に一つ趣向を高めた城めぐりに行きたいところです。
また愛すべき城もなかを求めて、そして城もなかに込められた職人の思いや工夫を発見するアドレナリン分泌を楽しみに、新たな城めぐりのルート検索に励みたいと思います。
みなさんも、犬山城の双璧をなす城もなかの食べ比べ、是非ご堪能くださいませ。
ご覧になった皆様が、城もなかを通じて、城が愛される地域文化に触れるきっかけとなり、あらたな次元の城めぐりの世界が広がればと思っております。
それでは、
城めぐりのおともに「城もなか」を!
よき「城もなか」との出会いがありますことを祈っています。
ぜひみなさんも城もなかや城菓子の感想をTwitterなどでつぶやいてくださいね!