本法寺で聞いた涅槃図の薬袋と「投薬」の話について、ネットで調べたかぎりではどうも後世の創作っぽいですね。
どういう話かかいつまんで説明すると、涅槃図には8本の沙羅双樹が描かれていて、そのうちの一本に薬袋のようなものがぶら下がっています。
この薬袋について、
- 摩耶夫人が我が子であるお釈迦様を助けるために天上から不老薬が入った薬袋を投じたが、沙羅双樹の枝に引っ掛かってしまい届かなかった
- ネズミがそれを取りにいこうとしたけれど、ネコがネズミを食べてしまった(なのでネコは多くの涅槃図に描かれない)
という解説が広く知られています。
そしてこのエピソードから「投薬」という言葉が生まれたともいわれていますが、じっさい薬袋のように見えるのは錫杖(しゃくじょう)にくくりつけられた衣鉢袋(僧が遊行する際に携える衣鉢を入れるための袋)で、この錫杖と衣鉢袋を描くことにより、遊行の道中で病に倒れらたことを示しているとか。
もう少し調べてみると、ネタ元はどうやら江戸時代のベストセラー『釈迦八相物語』らしく、葛飾北斎の挿画を施した『釈迦御一代記図絵』もこの話を踏襲していたため、多くの人々に知られるようになり、現代まで語り継がれているみたいですね。
このサイトの説明がわかりやすかったです。
創作ではありますが、よく考えたなと思いました。