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【本能寺の変の謎の謎】ほとんどなんでもありな「黒幕」たち

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前回は黒幕説の大枠および比較的メジャーな秀吉説・家康説を紹介した。
しかし「本能寺の変」の黒幕として疑われるのは彼らだけではない。というよりも、本当に無数に存在するのでとてもではないが紹介しきれない。ウィキペディアの「本能寺の変」の項目には多種多様な説が上がっており、その中には黒幕として「毛利輝元だ」「高野山だ」「堺商人だ」などと、あるかもしれないけどどうなんだろうと思わせるものから、「濃姫(帰蝶)が関わったのだ」「森蘭丸こそが真の黒幕だ」などのギョッと目を引く説までがラインナップする。

今回はそれら多数の説の中から面白いものを紹介する。
光秀は文化を愛し、保守的な思想を持っていたとしばしば語られる。一方で信長には将軍を京から追い出したという実績や、自分が神になろうとしていたのではないかという話がある。そこから、「朝廷や天皇を守るために信長を殺した」あるいは「幕府・将軍のために殺した」説が浮かび上がってくる。

そして一歩進んで朝廷や将軍(足利義昭)が黒幕として光秀を操ったのではないかという説も出てきた。ただ、前者については当時の朝廷は信長と融和的な態度をとっていたことから殺す意味がなく、後者についても「当時の義昭にそれほどの力はなく、陰謀があったら義昭を庇護していた毛利氏が知らないはずがない」などの理由からちょっと考えにくい。
一時期話題になったのはイエズス会陰謀説で、これは「イエズス会は信長を支援してキリスト教の布教を企んだが、信長が自己神格化を図るなど暴走し始めたので光秀に殺させた」というものだ。ドラマチックだが証拠は何もなく、かつそもそも当時の日本におけるイエズス会は信長を支援するどころから庇護されていたので立場が逆だ。説得力に欠ける。

また「本能寺の変」は歴史上に燦然と輝く大事件だということもあってか、しばしばフィクションの中でも登場する。何しろ織田信長は「魔王」というあだ名を持っている人であるから、物語の世界では本当に「魔」の存在として戦国時代の人々を苦しめたり、自ら神になろうとしたり、あるいは現代日本に出現して大事件を起こそうとしたりする。
そのクライマックス、あるいは「過去あった事件」として、「信長のあまりの野心や横暴、冒涜的行為に恐れをなした光秀が主君を殺した」「信長を阻止しようとした何者かが光秀を操って信長を殺した」などの展開も見られるのだ。
これこそまさに荒唐無稽……というか作り話であるが、おもしろがってもらえるかと思って紹介した。

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