御朱印(ごしゅいん)とはなんなのか、ご存知ですか。
近年、御朱印集めがブームになっていて、攻城団でも城下町にある戦国武将の菩提寺に参拝して御朱印をいただくことをオススメしていますが、御朱印の基礎知識だけでもちゃんと学んでおきたいなと思って調べました。
基本の基本ですけれど、まずはこのくらいの知識からはじめてみませんか。
御朱印とは
御朱印とは寺院や神社において、参拝者に向けて押印される印章・印影のことをいいます。
仏様や神様とご縁を結んだ証としていただくものと紹介されることも多いですが、お寺や神社に参拝したしるしとして頂戴する直筆のサインのようなものと考えてください。
住職や宮司に寺社名や本尊名を書いていただくためご利益もあります。また御朱印を集めるという行為自体が現世で功徳を積んだ証とされるので、いずれ自分が亡くなった際には副葬品として棺に納めてもらうとよいとされます(閻魔様に見せると、地獄に行かずに極楽往生できるとか)。
なので大事に保管しておきましょう。
御朱印の起源や意味について
御朱印の起源は、寺院参詣の証として写経を納めた(納経)際の受付印であったとされています。
納経というと、平清盛をはじめとする平家一門がその繁栄を願い、厳島神社に奉納した「平家納経」が有名ですが、江戸時代中期になると写経を納めるという行為は形骸化し、ご本尊に参拝しただけで、その証として御朱印が授与されるようになりました。
明治新政府の神仏判然令により神社と寺院が区別されると、神社でも御朱印の慣習が広まり、現在では寺社を問わず御朱印をいただくことができます。もともと「納経印」と呼ばれていたのが「御朱印」と呼ばれるようになったのは昭和に入ってからだそうですよ。
御朱印集めはいつからはじまったのか
御朱印集めのルーツは霊場巡りにあるとされています。
奈良時代の西国三十三所霊場や、室町時代の四国八十八ヶ所霊場(四国遍路)で、四国遍路はいわゆる「お遍路さん」のことです。霊場というのは仏様が鎮座する聖地のことで、この霊場を決められた順番でまわると願いが叶うとされていました。
もともとお遍路と御朱印はセットではありませんでしたが、江戸時代に御朱印が広まったため、いまではお遍路で各札所をめぐりながら、御朱印集めをする方も増えています。
(お遍路の場合は御朱印のことを「お納経」と呼んでいます)
このように御朱印、御朱印集めの歴史を紐解いていくと、だいたい江戸時代くらいから現在に近いスタイルになっていったようですね。
御朱印はいくら?
御朱印代(初穂料 はつほりょう)はさまざまですが、だいたい300円か500円が多いです。
できるだけお釣りの出ないように事前に小銭を用意しておきましょう。
直書きと書き置き
御朱印には、持参した(あるいは現地で購入した)御朱印帳に直接書いていただく「直書き(じかがき)」と、あらかじめ用意されているものをいただく「書き置き」があります。
書き置きは印刷の場合もありますし、事前に手書きされている場合もあります。繁忙期は書き置きのみとか、年中書き置きのみとか、タイミングもまちまちです。
御朱印のいただき方(作法)
御朱印は参拝の証としてもらうものですから、お参りをすることが前提になります。
けっして寺務所や社務所、授与所に直行してはいけません。
また寺社は年中無休のところが多いですが、それでも対応時間が決まっていますので(だいたい9時〜16時のところが多い)時間外に無理にお願いをすることは厳禁です。また法事などで対応できない場合もありますので、そのときはご縁がなかったと日を改めて参拝するようにしましょう。
(遠方だと気軽に再訪するのもむずかしいとは思いますが、それも含めてのご縁だと受け止める余裕が必要ですね)
御朱印をいただく際は、御朱印帳を渡します。
その際、書いてほしいページがある場合はそこを開いて渡せばいいですし、つづきでよければ「つづきに書いてください」と伝えればオッケーです。
大きなお寺では、本堂にお参りする前に受付で御朱印帳を預け、帰りに受け取るといったところもあります。
寺院の御朱印のいただき方
- 合掌一礼をして山門をくぐります(帽子などをかぶっている場合は脱ぐ)。参道は原則左側通行なので、左側を通ります。
- 手水舎で身を清めます。柄杓を持って左手、右手の順に洗い、次に左手に受けた水で口をすすぎ、最後に柄杓を立てて柄を洗います。
- 本堂へ参拝します。賽銭箱に小銭を入れ、静かに合掌します。仏前で音をたてるのは失礼とされているので、拍手ではなく合掌が基本です。
- 最後に寺務所に挨拶して、御朱印を頂戴します。複数の御朱印がある場合は指定します(同時に2つ以上の御朱印をお願いしてもとくに失礼ではないので、素直に書いていただきたいものを選んでください)。
神社の御朱印のいただき方
- 軽く一礼してから鳥居をくぐります。真ん中は「正中」といって神様の通り道なので、両脇を通ります。
- 手水舎で身を清めます。柄杓を持って左手、右手の順に洗い、次に左手に受けた水で口をすすぎ、最後に柄杓を立てて柄を洗います。
- 拝殿へ参拝します。賽銭箱に小銭を入れ、鈴(鐘)を鳴らします。基本は「二礼二拍手一礼」ですが、出雲大社や宇佐神宮など拍手を四回するところもありますので、現地の案内を確認しましょう。
- 最後に社務所に挨拶して、御朱印を頂戴します。
御朱印の見方
御朱印は寺院や神社ごとにちがいますが、おおまかな決まりがあります。
押印の他に、参拝した日付、寺社名・御祭神・御本尊の名前などを墨書きして下さるところが一般的です。
寺院の御朱印の見方
寺院の御朱印は基本的に右上(山号の押印)、中央(御宝印)、左下(寺院の押印)と3つの朱印が押されます。中央の朱印は御本尊を示したもので、古代インド文字で仏を表す梵字が刻まれています(代わりに「仏・法・僧」を示す「三宝印」が入ることも)。
右肩に「奉拝」の文字、中央には「阿弥陀如来」や「聖観音」など御本尊の名前や「瑠璃殿(薬師如来)」のように御本尊を示す建物名の墨字が入ります。
神社の御朱印の見方
神社の御朱印は寺院に比べるとシンプルな傾向が強いですが、寺院よりもデザイン性が高いものが多いです。
右肩に「奉拝」の文字、中央には神社名と朱印(神社の押印)が入り、左に参拝した年月日が入るデザインが多いようです。
御朱印帳を買おう
御朱印帳はこんなふうに和紙(奉書紙)が蛇腹状になっています。一部、ふつうの本のように「和綴じ」になっているのもありますが、蛇腹のほうが開いて見ることができますし、墨書きされる方も書きやすいので蛇腹のものをオススメします。
Amazonなどの通販でも買えますが、多くの寺院や神社でもオリジナルの御朱印帳が売られているので現地で買うのがいいと思います。
攻城団でもオリジナルの御朱印帳を販売しています。
お城めぐりといっしょに、城下にある戦国武将の菩提寺を参拝して御朱印集めをはじめてみませんか。
御朱印帳はプラケースや御朱印帳袋に入れたり、ゴムバンドで止めて持ち歩くといいでしょう。
御朱印集めのよくある質問
御朱印集めをはじめる方からよく聞かれる質問をまとめました。
Q.日蓮宗には御朱印がない?
日蓮宗や法華宗の寺院では「御朱印」ではなく「御首題(ごしゅだい)」と呼んでいます(御朱印帳も御首題帳)。同じように寺務所でお願いをすると「南無妙法蓮華経」とお題目を書いていただけます。ただしほかの宗派の御朱印が書かれた御朱印帳へお願いすると「妙法」とだけ書かれたり、断られたりすることがありますので、御朱印帳は日蓮宗(御首題帳)だけ別にしている方もいます。
他宗派の御朱印が書いてあっても「南無妙法蓮華経」と書いていただいたこともあるので、あくまでも寺院ごとの判断によります。
Q.本願寺には御朱印がない?
西本願寺(本願寺派)にも東本願寺(大谷派)にも御朱印がありません(代わりに参拝記念スタンプが用意されています)。
浄土真宗では阿弥陀如来が常に見守っていてくださるという考えから、御朱印やお守りは必要ないという考えだそうです。
Q.寺院と神社で御朱印帳をわけるべき?
御朱印集めをされている方の中には神社と寺院で御朱印をわけたり、宗派ごとにわけたりする方もいらっしゃるそうです。ただしもともと日本では「神仏習合」の考え方でお寺と神社の区別はなかったので、それで御朱印を断られることはまずないと思います(もしあったら教えてください)。
なお、お遍路の場合は専用の「納経帳」を準備する方が多いようです。
Q.書置きの御朱印は御朱印帳に貼るの?
御朱印帳にスティックのりで貼る方が多いですが、書置き専用のポケットタイプの御朱印帳を用意してそこに入れていく方もいらっしゃいます。
Q.御朱印帳の裏面は使ってもいい?
蛇腹式の御朱印帳の場合、裏面も使ってかまいませんが、紙が薄いとにじんだり透けたりすることになりますので注意してください。
(不安なら新しい御朱印帳を用意することをオススメします)
Q.最後まで書いてもらった御朱印帳はどうする?
全部終わった御朱印帳は大切に保管しておきましょう。一般的には神棚や仏壇などに置くことが薦められていますが、目線より上の位置に大事に置いておけば大丈夫です。