白いお城、黒いお城などと呼ばれることもある天守ですが、それは外壁の仕上げ方法によって見え方が異なるから。
一般的には、「塗籠(ぬりごめ)」と「下見板張り(したみいたばり)」があります。
今回は、天守の外壁の種類について見ていきましょう。
一般的な外壁の種類
塗籠(ぬりごめ)
天守の壁は土壁です。
その土壁の表面を白く美しい白漆喰で仕上げたものが塗籠です。
姫路城天守に代表され、白漆喰惣塗籠(しろしっくいそうぬりごめ)ともいわれます。
▲ 白漆喰惣塗籠の代表例である姫路城天守。別名は白鷺城(しらさぎじょう)
塗籠は、いわゆる「白いお城」として江戸時代の徳川のお城と言われることもありましたが、それよりも昔の天正期に完成した聚楽第(じゅらくだい)天守にはすでに白漆喰が使われていたと考えられています。
つまり、豊臣のお城にも塗籠が採用されていたということです。
ということは、黒いお城=豊臣、白いお城=徳川というのは正しくないということですね。
下見板張り(したみいたばり)
下見板張りは、土壁の外側に板を張ったものです。
ただ張るだけではなく、横方向に少しずつずらして上に重ねて張っていきます。
また、煤(すす)と柿渋(かきしぶ)を混ぜて作った墨を塗っています。
そのため黒くなり、優美な塗籠とは対照的に武骨な外観になります。
この武骨な感じが戦国期をイメージさせるため、織田や豊臣の時代のお城と言う印象を持たれるのでしょうね。
ただ、実際には江戸時代でも使われていますので、いつの時代の仕上げ方法というわけではありません。
また、安土城天守は下見板張りではなく厚い板壁で、しかも墨ではなく黒漆(くろうるし)を塗っていたようです。
何という豪華な!
見栄えと耐久性
塗籠と下見板張りを比較すると、見栄えと耐久性という点で違いが見えてきます。
見栄えという点では、下見板張りよりも塗籠のほうが優れているかもしれません。
城主の威厳を示すには白漆喰のほうが優美で、シンボルとして適していたのでしょう。
ただ、下見板張りは武骨な外観になるため、強い国主のイメージを示すには適していたかもしれませんね。
耐久性という点では、塗籠よりも下見板張りのほうが優れています。
漆喰は水分を吸収するため、梅雨など湿気の多い日本では呼吸する家として重宝されていますが、逆に水分を吸う性質なので20年ほどでボロボロになってはがれてしまうことがあります。
そのため、外壁を定期的にすべて塗りなおす必要があり、維持するには相当費用が掛かったものと考えられます。
一方で下見板張りは風雨にも強く、50年ほどは持つようです。
煤(すす)と柿渋(かきしぶ)で作った墨には防腐力があるため、板を腐らせないために塗っているのです。
板が日に焼けたり色が薄くなったりしたら、また墨を塗りなおすことで耐久性が維持されます。
板が破損したところは張り替えればよいのでメンテナンスという点でも優れていたことでしょう。
まとめ
天守の外壁には白漆喰の塗籠と下見板張りの大きく2種類があることが分かりましたね。
ということで、外壁には塗籠と下見板張りがあるよというお話でした。
じゃあね🖐️
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