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昨今の天守再建の是非について、賛成派・反対派の意見

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産経新聞に、昨今の天守再建の是非について、NPO法人「江戸城天守を再建する会」の初鹿彰信専務理事と千田嘉博先生の意見が掲載されています。

www.sankei.com

「お城ブーム」が続く中、各地で城のシンボル「天守」を復元する動きが相次いでいる。木造復元をめざす名古屋城(名古屋市)や鉄筋コンクリート造りでの外観復元を進める尼崎城(兵庫県尼崎市)など、観光の起爆剤や町のシンボルとしての効用が期待される一方で、歴史考証の正確性や文化財としての整備の面から批判もある。NPO法人江戸城天守を再建する会の初鹿彰信専務理事と城郭考古学者の千田嘉博奈良大教授に意見を聞いた。

ちょうど先日、安土城の再建についてのニュースもありましたね。

news.kojodan.jp

江戸城に関しては、現在ある天守台(4代目)は「明暦の大火」で寛永天守が焼失したあとに新規に建造されたもので、歴史上この天守台に天守が築かれたことは一度もない以上、復元や再建ではなく「歴史上存在しなかった架空の天守」が建てられることの是非で、また尼崎城は位置も異なり、形状も左右反転にするなど妥協の産物として史実や史料を軽視したことの是非で、ひとくくりにして問題にするべきじゃないような気もします。

ちなみに江戸城天守にかぎって引用すると、賛成派の初鹿さんは以下のようにコメントしています。

「たしかに歴史的事実としては明暦の大火(1657年)で寛永度天守が焼けた後、天守台のみ新たに築かれたが、天守は財政難のため再建されなかった。しかし当時から天守再建の計画は持ち上がっており、詳細な天守の図面も残っている。建てるための考証は十分だ。当時の人々が本来なら建て直したかったものを造るのだから、再建と呼んでもいいのではないか」

一方、反対派の千田先生は次のようにコメントしています。
(反対派というより慎重派とかちょっと表現は変えたほうがいいように思いました)

「きちんと考証せず行き当たりばったりで進めてしまうと、天守と石垣の年代がちぐはぐになるなどして、歴史上どこにもなかった城が建つ恐れがある。たとえば江戸城でも、今の天守台の上に天守が建てられたことはない。それでは復元ではなく、創作だ。さらに木造は一度造ってしまうと半永久的にメンテナンスする必要があり、将来への負担もかかる。一時の熱狂で不正確な城を造っていいのか、再考すべきだ」

個人的には江戸城のケースはせっかく現存している天守台の価値を否定することになるので再建には反対なんですが、尼崎城などは妥協の産物とはいえわりと肯定的に見ています。

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