菱櫓は二の丸の北東隅に配置された3重3階の物見櫓です。高さは17.34mあります(石垣の高さは11.7m)。
この位置は大手と搦手を見張る防衛の要であるため、堀に面した壁には石落しが設けられています。
菱櫓の名前の由来は、建物の平面が菱形(内角が80度と100度)になっていることにちなんでいるそうです。
加賀100万石の大名としての格式と威厳を示すために唐破風や入母屋破風などを随所に設けた美しい外観を誇っています。
1632年(寛永9年)に建設された菱櫓は度重なる火災によって焼失しましたが、2001年(平成13年)、日本古来の木造軸組工法により約120年ぶりに木造復元されました。
1809年(文化6年)当時の姿に復元されています。
もちろん内部を見学することができます。
石落としの内側です。
出し(出窓)の石落とし
この建物には大小7箇所の石落としが設置されている。出しは出窓形式で三方に窓が付いている。また床面は蓋が開くようになっており、戦闘の際は石垣をよじ登る敵兵を防ぐ役割を担っている。これを石落としといい、窓は鉄砲狭間として用いられる。菱櫓の石落としは出が大きく、唐破風(からはふ)、千鳥破風(ちどりはふ)と意匠的にも工夫され華やかである。
河北門の方向を見てみました。
当時の屋根には雪国ということもあり、表面に鉛の板を貼った「鉛瓦」が使用されたそうですが、復元された菱櫓も鉛瓦を使っているそうです。
菱櫓(ひしやぐら)
規模等:3層3階建 高さ 17.34m
構造:床、天井、柱、梁(はり)の断面などが菱形(四隅の角度が80°と100°)
「菱形」の謎
菱形構造にした理由には諸説があります。一説には金沢城正門の大手門(尾坂門)と搦め手門の石川門の両方を、同時に広い視野で監視するため、角度を開いた菱形にしたと言われています。菱形の木組みには高い技術を必要とし、棟梁の腕の見せどころでした。