「真田井戸」は上田城本丸の南西にある大井戸で、城内唯一の井戸です。眞田神社の横にあり、井戸の大きさは直径2m、深さは16.5mあります。
この井戸には抜け穴があり、城北の太郎山麓の砦や上田藩主居館に通じていたという伝説があります。
真田井戸
この井戸からは、抜け穴があって城北の太郎山麓の砦に通じていた。敵に包囲されてもその抜け穴より兵糧を運び入れるにも、城兵の出入りにも不自由しなかったという。
ちなみにこの伝説のもとになった話は『日本伝説叢書 信濃の巻』(大正6年発行)によると
信幸の前、父の居城であった時には、此(この)城は上田の北方太郎山の麓にある虚空蔵(こくぞう)、牛伏(うしぶせ)、矢島(やじま)、花古屋(はなごや)、荒城(あらじょう)等の砦に、地下の抜穴があって、敵が上田城を囲んでも、自由に他と交通していたということである。
とあるように、現存する井戸とは無関係の伝承でした。
「真田昌幸が上田城を築いたときには城外の砦と連絡するための抜け穴が設けられていた」という話が、二度にわたる徳川の大軍を退けたことにより生まれた伝説のようです。