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2022年5月現在攻城団に登録されている東京都のお城は全て攻城し、現在は神奈川、埼玉、栃木、茨城、千葉に行動範囲を広げて攻城中。月一ペースで地方遠征を行い、日本100名城、続日本100名城のスタンプ集めに邁進中の山城大好きの初老のおやじです。

まーちゃんさんのレビュー(書籍)

まーちゃんさんは78件のレビューを投稿しています。

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図説 近世城郭の作事 櫓・城門編

三浦先生が書かれた「近世城郭の作事 天守編」に続き、今回は「櫓・城門・土塀」編を読みました。特に、城門、土塀については書いてあることのほとんどが初めて知る事でした。城門の種類ですが、薬医門は安土桃山時代だけで、高麗門は文禄・慶長の役で朝鮮半島での築城時に発明され、構造は薬医門と変わりませんが屋根が小さいので防戦上で有利、屋根が小さいので用材が少なくて済むなど、関ヶ原の戦い後、薬医門から進化した高麗門に取って代わられたそうで、現在城跡に残っているのは圧倒的に高麗門で、医薬門は少ないとの事です。また、関ヶ原以前の櫓門では石落がないので、櫓門の石落は関ヶ原以降の発明と考えられるとの事を初めて知ります。土塀についても、付壁塀、築壁塀など色々な種類があるそうで、天守、櫓以外に城門、土塀にも注目することにより、新たなお城巡りの楽しみを再発見させてもらえた一冊だと思います。

牛車で行こう!: 平安貴族と乗り物文化

こうの団長が攻城団テレビの中で紹介されているのを見て、面白そうだなと思い、読んでみました。牛車は絵巻物等でよく目にしますが、詳しいことは知りませんでした。牛車は後ろから乗って、前から下りる事は聴いて知っていましたが、牛車が4人乗りであることをはじめて知りました。また、牛車には唐車、檳榔毛車、糸毛車、網代車など色々な種類があり、その牛車の種類によって乗っている人の身分が外から見て解ったとの事です。平家物語絵巻で木曽義仲が牛車の後ろから下りた事によって、義仲がいかに田舎者であったかを表すものだそうですが、そもそも牛車に乗るルールを知らなければ理解出来ないでしょう。また、江戸幕府老中で寛政の改革を行った人物として有名な松平定信が老中を退いてから牛車の文化を研究し、「輿車図考」(よしゃずこう)を残したことを知り、有能な方は何をやっても名を残すのだな、と強く感じました。と言うことで、牛車に乗ってみたいと一度は思われた方であれば十分楽しんで頂ける一冊田と思います。

河合敦の、一気にわかる! 平清盛と平家四代

攻城団の「日本史の知識をアップデートするための勉強会」で平氏政権に付いて勉強するので、その予習として読みました。この書籍は平清盛を中心として、平正盛(清盛の祖父)、忠盛(父)から宗盛(子)までの伊勢平氏を取り巻く出来事に付いて解りやすく書かれています。今まで平清盛のイメージとしては後白河法皇を幽閉して朝廷の実権の握った傍若無人な男だと思っていましたが、この本を読んでそれまでの清盛は周りに気を遣い、決して敵を作らない巧みな処世術を身につけた男であることを知りました。また、清盛が白河法皇の御落胤であったので貴族社会も頂点に立つのを受け入れたのだろうとの事です。と言うことで、平清盛を再認識するのに最適な一冊だと思います。

図説 近世城郭の作事 天守編

江戸城天守を再建する会の特別顧問をされている三浦正幸先生が書かれた著書で三浦先生のお話は講演会等でよくお聞きしているので、お城の構造について勉強したく手に取りました。前半は天守の外壁、窓、狭間、石落、そして基本的構造について詳細に解説されており、外壁の仕上げ、屋根、破風の形に格式の上下があることを知り、今後天守の見方が変わるように思えました。後半は現存12天守、失われた天守の詳細説明がされています。熊本城の宇土櫓が第一期普請で建てられた初代天守であることを初めて知りました。この一冊で天守の構造に付いてほぼ網羅していると思いますので、天守の構造について詳しく知りたい人にはお勧めです。なお、続編として「櫓・城門編」もあるようですのでそちらも読んでみようかと思います。

日本の合戦 解剖図鑑

図書館で歴史関係の本を見ていたら、以前読んだことのある神社、日本の名城の解剖図鑑シリーズの新シリーズを見つけたので読んでみることにしました。この著書には飛鳥時代の白村江の戦いから明治時代の西南戦争までの代表的な合戦61件が見開き1件という形式で簡潔にまとめられており、合戦マップによりその場所も判るような構成となっています。また、その合戦で登城する勝軍の将、若しくは敗軍の将が紹介され、見開きの最後にその合戦が与えた影響が書かれており、次の時代に繋がっていくことが良く判ります。最後の西南戦争では武力の代わりに言論を用いた自由民権運動が拡がっていくとまとめられています。各時代の合戦が年代順に記載されているので、時代の流れ、変化を簡単に理解することが出来る一冊となっています。

平氏政権と源平争乱 (2) (京都の中世史)

攻城団の日本史の勉強会の予習の為に手に取りました。本著書は鳥羽院政の成立から十二世紀末までの京都を中心とした歴史が記載されており、時代的には今放送されている大河ドラマ「鎌倉殿の13名」と同じで、関東での出来事と平行して起こっていた京都での後白河院と平清盛のやり取り、仏教勢力との駆け引き、平清盛亡き後の後白河院の行動、最後は平氏が滅亡して京都に平和が戻ってきたところまで詳しく知ることが出来ました。関東では鎌倉幕府を開いた源頼朝が有名だが、京都では平和をもたらしたとして後白河院が有名なのだな、と本著書を読んでいて感じました。頼朝に「日本一の大天狗」と言わせるほど悪いイメージを持っていましたが、後白河院のイメージを変える一冊となりました。

治承・寿永の内乱と平氏 (敗者の日本史)

攻城団の「日本史の知識をアップデートするための勉強会」の予習として手に取りました。この著書は平氏の繁栄から滅亡までを描いた敗者の記録となっています。今までは平氏が圧倒的な兵力で保元、平治の乱を勝ち抜いてきたと思っていましたが、実は源氏側の準備不足が招いた結果であり、平氏自らが抱える兵力はそれ程多くはなかったようです。この事は各地の反乱を抑えるための追討使派遣の際も後白河院の宣旨があって初めて兵が集まる形となっており、「いざ鎌倉」のかけ声の下集まってくる鎌倉幕府の御家人とは違うところで、その違いが最終的には平氏滅亡に繋がることになったと感じました。また、一ノ谷合戦の鵯越の逆落としが義経ではなく、先導役であった多田行綱が行ったことも今回知りました。このように、テレビなどの影響もあるかもしれませんが、今まで自分が理解していた内容と違った歴史に触れることが出来た一冊となりました。

ヘンテコ城めぐり

れきしクンこと長谷川ヨシテル氏の「キテレツ城あるき」を読み、面白かったので、前作であるこの本を手に取りました。一般的なお城紹介本と比べるとれきしクン特有の視点でお城が紹介されており、読者を飽きさせない内容となっています。お城巡りの基礎用語も解りやすく解説されており、初心者の方にもオススメです。今回は続編を読んだ後に読みましたが、初心者の方はこちらを先に読んで続編の「キテレツ城あるき」を読まれた方が良いかもしれません。

名前でよむ天皇の歴史 (朝日新書)

攻城団の勉強会で中世の勉強が始まりましたが、天皇(上皇)の名前が頻繁に出てくる事から、天皇の名前について知りたいのであればこの本をとコウノ団長から紹介がありましたので、読んでみました。この本には初代の神武天皇から江戸時代末期の121代孝明天皇と南北朝時代の北朝5代の126名が紹介されています。その中で天皇の名前は崩御されてから付けられることを知りました。また、名前の付け方に諡号と追号の2種類があり、当初は中国の故事に基づき付けられていた(諡号、漢風諡号とも云う)が、平安時代に入ると天皇のゆかりの土地、建物等から採った名前を付けられる(追号)様になりましたが、江戸時代の末期には諡号が復活し、現在に至っているようです。これまで何気なく読んでいた天皇の名前にその時代の出来事が反映されていることを知り、今後の歴史勉強のきっかけとなる一冊となりました。

ざんねんな武将たち (もっと知りたい日本史)

黒まめさんのレビューを読んで面白そうだと思い読んでみました。戦国時代から江戸時代初期にかけて歴史に興味のある方で有れば一度は耳にしたことのある武将が並んでいます。偉業を成し遂げた武将、名言を残した武将でも、人間味のあるざんねんなエピソートが、そして悪名高き武将についてはそう言われることになったざんねんなエピソードがソフトタッチで書かれており、また歴史上の人物名に「さん」「くん」「ちゃん」が付けられているのも、なんとなく親近感が感じられました。この本を読んで歴史上の人物も我々と同じ人間なんだな~、と感じさせてくれた一冊です。

キテレツ城あるき

著者の長谷川ヨシテル氏は以前石垣山城の一夜城まつりで拝見し、一度拝読させて頂きたいと思っていました。前作は拝読していないのですが、本作だけでも十分楽しめる内容となっています。本著書では関東の七名城について触れていますが、攻城団のバッジにもある関東七名城の他に多気城が江戸時代後期に完成した「宇都宮史」に太田城の代わりに関東七名城として紹介されており、合計すると八ヶ所あるそうです。面白いですね。また、「舞鶴城」と異名をもつお城が全国に21ヶ所もあることを知り、全国「舞鶴城」巡りもありかな、と感じ、新たな城巡りの楽しみを提供して頂ける一冊だと思います。あと、攻城団提供の写真が至る所にあり、思わずフォトギャラリーでカラー写真を確認してしまいました。

アイヌ民族の歴史

アイヌ民族についてこれまで「シャクシャインの戦い」「地図で見るアイヌの歴史」を読んできましたが、もっと知りたいと思いこの著書を手に取りました。この著書にはアイヌと認識される前の北海道に付いても記載があり、北海道式古墳というものがあることを北海道に22年間住んでいたにもかかわらず初めて知りました。現在の歴史の教科書にも記載のあるシャクシャインの戦いに対して弘前藩も出兵をしており、アイヌ勢と直接戦うことはなかったが、その当時弘前藩内には津軽アイヌの方々が生活しており、彼らは出兵の手助けをしたり、更に兵として参加していたという記録があるそうです。明治以降は日本とロシアとの政治的駆け引きに翻弄されるアイヌ民族を目の当たりにすると共に、この日本も決して単一民族国家では無いことを再認識させられる一冊でした。

北条氏の時代 (文春新書 1337)

先般、「千田先生と行く!日本最強で不滅の城ライブ」のゲストで出演されていた本郷先生の気さくさな振る舞いに惹かれ、勉強会の予習も兼ねて今回この著書を手に取りました。本書は生まれながらにしてトップの座を約束されていたわけではない北条義時、泰時、時頼が、なぜ御家人のリーダーとして認められていったのか、一方、生まれながらにしてリーダーとして認められていた時宗、貞時、高時から御家人がなぜ離れていったかを本郷先生の視点で解りやすく書かれています。本書を読んで前者は多くの御家人とともに生き、その声を聞き、かつ代弁してくれる存在であったが、後者は最初から御家人たちの上に立っていたが為に、御家人の声が耳に入ってこなかったことが離れていく要因に繋がっていると感じたので、人の話を聞く力の大切さを再認識した次第です。なお、代表的なエピソードとしては承久の乱での北条政子の大演説について、「承久記」では確かに北条政子が自ら演説したと記載されているが、「吾妻鏡」によると政子は自分では話はしておらず、安達景盛が代読したと記載されており、現在放送されている大河ドラマ「鎌倉殿の13人」ではどのように描かれるのか注目したい。

地図でみるアイヌの歴史―縄文から現代までの1万年史

攻城団の勉強会でアイヌ民族が関わったシャクシャインの戦いに付いて勉強するために平山氏の「シャクシャインの戦い」の著書を読み、もっとアイヌ民族について知りたいと思い、同じ平山氏が書かれた本書を読むことにしました。アイヌ民族関係の本を読むとアイヌ語の地名が多数出てきてその地名がどこを指すのか解らず理解するのに時間を要しますが、書籍名の通り、地図が多く用いられているので、地理的な事は理解しやすくなっています。この著書を読んで、東北地方にもアイヌ語が起源と思われる地名が多数存在しており、時代を遡れば東北地方にもアイヌ民族が生活していた様です。今までアイヌ民族=北海道と思っていました。皆さんがよく耳にする釜石という地名もアイヌ語から来ているとの事です。また、桓武天皇の時代より和人の侵略を受け、何度も和人にだまし討ちに合っている歴史を知る事も出来ました。北海道に行きチャシを訪れた際にはアイヌ文化も感じてきたいと思わせる一冊です。

シャクシャインの戦い

攻城団主催の「日本史の知識をアップデートするための勉強会」の予習を目的に図書館で書籍を探していた時、目に止まり読むことにしました。松前藩の誕生、シャクシャインの生い立ちから和人との戦い、そして戦いの意味について少ない史料を元に書かれています。私も生まれて20年近く北海道で生活してきましたが、この戦いのことは初めて知りました。著者はこのシャクシャインの戦いにより近代以前まで和人の侵出を食い止めてきたと高く評価しており、また学校の教科書にシャクシャインの戦いが取り上げられていることを喜んでいました(著者の平山氏は、この著書を書かれた時は小学校の先生)が、その評価が教科書によってまちまちであることも指摘しています(シャクシャインの戦いの研究が十分ではないこと)。この著書を読み事によってアイヌ民族に付いてある程度知る事は出来ましたが、何分出てくる地名がアイヌ語が多いので、挿絵の地図の地名を見て位置関係を確認しながら読み進むことになったので、理解するのに苦労しました。

一城一話55の物語 戦国の名将、敗将、女たちに学ぶ

黒まめさんのレビューを見て、読んでみました。題名の通り55城にまつわる人物エピソードについて解りやすく書かれており、歴史に興味を持たれた方であれば一度は耳にしている内容も多くありますが、松平定知氏の考えも加えられて楽しく読ませて頂きました。55の物語の中で特に印象に残ったのは、松前城におけるロシア人ゴローニン、高田屋嘉兵衛のエピソードを読んで、当時の鎖国状態で国レベルでは厳しい対応が余儀なくされたが、民間人レベルでは良い関係が築かれてた事を知り、今の世界情勢に通じるものがあるように思えました。また、北海道で生まれ育った私ですが初めて聞くお話でしたので、自分の郷土の歴史をもっと学ばねば、と感じさせる一冊となりました。

「鎖国」という外交 (全集 日本の歴史 9)

攻城団の勉強会の予習で読ませて頂きました。著者のロナルド・トビ氏はアメリカ生まれで日本および東アジアの近世・近代史が専攻で朝鮮通信使研究をきっかけに江戸時代の「鎖国」に疑問を抱き、見直しを提言されてきた方で、外から日本史を客観的に見ているので説得力のある内容になっています。朝鮮通信使を通して江戸幕府の外交がどのようなものであったか理解できます。また、文禄の役で加藤清正が朝鮮と満州の境界付近から富士山を見たとエピソードが文書として残っている話は非常に興味深く読ませてもらいました。現実問題見えるはずはない(著書の中では富士山が見える範囲を論理的に説明しています)のですが、富士山がその当時から日本を代表する神秘的な山であった事が窺える話かと思いました。以上の通り「朝鮮通信使」「鎖国」「富士山」についてもっと知りたい方にお勧めの一冊だと思います。なお、この著書は「日本の歴史」全16巻の内の一冊となっていますので、日本史全般に興味のある方は他の巻も読んでみては如何でしょうか。

長崎 唐人屋敷の謎 (集英社新書)

攻城団の勉強会で唐人屋敷が出てきたので、もっと知りたいと思い、ネットで調べ、この本のことを知りました。筆者は長崎にいた時、唐人屋敷の歴史的遺産が蔑ろにされていると感じ、唐人屋敷の事をみんなに知ってもらいたいとの思いで書かれたとの事です。唐人屋敷研究が専門ではない筆者自分が知りたいことを質問カードにして、その質問カードについて調べた内容をまとめており、初心者でも理解しやすい構成になっています。現在の新地の中華街は江戸時代は唐船の倉庫街があった場所で、幕末開港して唐人屋敷の役目が終わり、そこから新地の倉庫街に移り住んで造られた事を知りました。唐人屋敷内の建設、および生活風景、唐船貿易等長崎唐人屋敷をより知りたい方には最適な一冊だと思います。

執権義時に消された13人ー闘争と粛清で読む「承久の乱」前史

コウノ団長が言われる通り、源頼朝が亡くなってから北条義時が亡くなるまでの主な登城人物について日本史にあまり詳しくなくても十分理解できる様、書かれています。また、各登城人物の最後に現代社会への教訓が書かれているところが面白いと思いました。もうすぐNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が始まりますが、この本を片手に持って、ドラマを見ていきたいと思います。

大きな縄張図で歩く!楽しむ! 完全詳解 山城ガイド (学研ムック)

加藤理文先生が監修された山城34城の歴史と見所を縄張図と写真を交えて詳しく解説されています。また、全国の山城85城のリストも付いています。選ばれた山城34城の内、既に攻城済のお城が1/3有りましたが、攻城した時の写真と見比べてみると、見逃している所が多々あることを気付かされ、行く前に見ておくべきであったと後悔しました(何度か攻城したことのある滝山城、八王子城でも見逃している所があり、再度攻城したい)。

日本の城語辞典: 城にまつわる言葉をイラストと豆知識でいざ! 読み解く

お城EXPO 2021の厳選プログラムで著者の萩原さちこさんが説明されていて、面白そうでしたので手に取って読んでみました。題名に「辞典」と書いてあるのでお堅い内容かと思いきや、そうでは有りません。辞書らしく五十音順に記載されてはいますが、城の知識を深める言葉はもちろん、お城に関するグルメやエンタメ・イベント情報、お城好きの著名人、更にお城巡りに役立つ情報がたくさん書かれており、最後の「わ」まで飽きさせない内容となっています。詳しい内容は読んでからのお楽しみということで、お城巡り初心者の方から上級者の方まで楽しく読める一冊だと思います。

近世鉱山をささえた人びと (日本史リブレット)

「日本史の知識をアップデートするための勉強会」の見逃し配信を見ていて黒まめさんが紹介していたので復習のつもりで読んでみました。この本を読むまでは鉱山労働は浮浪者、囚人等一般社会から隔離された人が行っているという悪いイメージを持っていましたが、この本を読んで江戸時代の一つの社会として成立していて近代に繋がっている事を知りました。大部分の藩は年貢米を大坂に集められて現金化していたようですが、金山、銀山等が領内にある藩(この著書では秋田藩)はここが年貢米を換金する藩財政に取って重要な場所であったようです。また、農民による一揆はよく耳にしますが、鉱山労働者も労働環境改善の為に一揆を起こしていたことが書かれていました。と、言うことで江戸時代の鉱山社会を理解したい方にお勧めの一冊です。

一冊でわかる戦国時代 (世界のなかの日本の歴史)

攻城団テレビ「戦国時代のはじまりと終わりはいつか?」の中で団長が紹介されていたので読んでみることにしました。本書では1467年室町幕府に「応仁の乱」という形で押し寄せた前後を戦国時代の始まりとして、江戸幕府を開いた徳川家康が世を去る1616年までの約150年間に付いて、守護大名、守護代、国人などが戦国大名となっていく課程、織田信長の名が世に出てからは、三英傑(織田信長、豊臣秀吉、徳川家康)のエピソードが解りやすく書かれています。また北条氏がらみで関東近辺の地侍についての記載があり、東京在住の私としては地域の歴史を知る上での参考になりました。と言うことで、戦国時代を知りたい方の入門編としてお勧めの一冊だと思います。

鎌倉殿と執権北条氏: 義時はいかに朝廷を乗り越えたか (NHK出版新書 661)

2022年のNHK大河ドラマが「鎌倉殿の13人」との報道を受けて、もう一度鎌倉時代を勉強してみたくなり手に取りました。この著書は執権北条氏の視点から書かれたもので、北条時政、義時、政子が中心となっており、北条泰時が執権政治を軌道に乗せたところまで書かれています。北条時政は源頼朝の舅、その子の実朝の乳母夫として、また時にはライバルを蹴落として御家人の中で力を付けてきた様子が描かれています。そのやり方に反論したのが子の義時であり、最終的には時政を隠居に追い込んでいきます。源実朝暗殺後は今まで表舞台にはあまり出てこなかった義時が出ざる得ない状況になった時に承久の乱が発生しピンチになりますが、北条政子の御家人衆の前での大演説で救われた事は知っていましたが、後鳥羽の院宣、官宣旨は義時の追討であったが、政子が幕府への攻撃に置き換え、御家人に幕府解体の危機と感じさせるとは、感心しました。来年の大河ドラマを見る前の基礎知識と得るために最適な一冊かと思います。

武士はなぜ腹を切るのか 日本人は江戸から日本人になった

近所の図書館で本を物色している時に今までに何冊か読ませて頂いた事がある山本博文先生が書かれたこの本が目に止まりました。タイトルは「武士はなぜ腹を切るのか」となっており、かなり重い内容かと思いきや、サブタイトルが「日本人は江戸から日本人になった」となっており、大部分は江戸時代の武士の生き方を通して現代の日本人の良いところを見直していこうという内容でした。当然タイトルの「武士はなぜ腹を・・・」についても書かれていますが、要約すると「家」を存続させるため、何か失敗をすれば責任を取って切腹し、周りも亡くなった方をそれ以上責めないという風潮があった為との事です。一方、失敗した場合は責任を取ってすぐ切腹してしまうため、失敗の経験が生かされることは決してなかったとの事で、現代社会にも何か繋がるものがあるように感じられました。と、言うことで決して難しい内容ではなく、日本人の良いところ、悪いところを見直すことが出来る、なかなか面白い一冊です。

江戸の貧民 (文春新書)

日本史の知識をアップデートするための勉強会で榎本先生が紹介された著書で、この勉強会の予習にもなると考え読んでみました。流れとしては現在の浅草周辺と江戸時代の浅草周辺を重ね合わせた中で、穢多、非人について詳細が書かれています。一般的に「穢多、非人」と続けて書かれることが多いですが、穢多と非人の違いをあまり理解していなかったのですが、江戸時代にはある程度の地位にあった方々であることが解りました。穢多は武士階級の誕生とともに生まれ、主として「穢れ」に関する仕事に従事し、軍事の手伝い、皮革の生産や罪人の管理などの役は、半ば公務員の様であって、その穢多の頭領として浅草弾左衛門がおり、この弾左衛門への幕府の手厚い保護がなされていた事を知りました。一方、非人は社会からはじき出された落ちこぼれ、なんの役にも立たないどころか、むしろ救済を他者にもとめる人々であり、浅草の車善七他四名の非人頭がこの非人たちを統括しており、幕府へのある程度の影響力を持っていたことを知りました。その他、さまざまな大道芸をおこない金銭を乞うた乞胸(ごうむね)、現代では「露天商」に当たる香具師(こうぐし)などが書かれていました。江戸時代の士農工商以外の身分について勉強したい方には最適な一冊だと思います。

逃げる百姓、追う大名―江戸の農民獲得合戦 (中公新書)

図書館で歴史の本を見ていたら、面白そうな題名だったので読んでみることにしました。江戸中期後期にかけて村落規模での集団的な行動が多かったようですが、前期は個人や家族の規模で別の大名領や家臣知行地に移動する事を「走り」と言って、その人を「走り者」と言っていたそうです。その移動距離はせいぜい50~60キロメートルの範囲が多く、元は同じ地域圏内での移動が多かったようです。この著書では江戸前期の細川忠興、忠利が治めた豊前国細川領を主な対象として走り者の頻出と権力側の対応について書かれています。江戸幕府が開かれ世間が落ち着き大開墾時代を迎え、一人でも多くの百姓を確保しておきたい権力者同士のやり取りが理解することが出来ます。走り者の返還申し入れがあったら返すが、なければそのままにしておくというのがその当時の慣例であったようです。江戸時代前期の支配者と被支配者の関係をより深く理解するのに適した著書だと思います。

大名格差~江戸三百藩のリアル~

江戸時代の大名について詳しく知りたいと思っていた時に目に止まり、読んでみることにしました。江戸時代大小併せて260~300藩有ったと言われていますが、本書では大名の格差をテーマとして石高、将軍との関係、江戸城、江戸藩邸、参勤交代の5つに分けてエピソードを交えて書かれています。石高の大小による格差をはじめとして、将軍家から嫁をもらったり、養子をもらったした大名の家格が上げられたり、その家格によって江戸城内での将軍との拝謁の仕方や服装が違ったり、江戸藩邸では門構えや屋敷の広さに差が見られたり、最後に参勤交代の道中でかち合いそうになった場合とか宿場が同じになりそうになった場合にその大名の格差が顕著に表れる事を細かいところまで知ることが出来ました。その当時の大名たちは自分の家格を十分に認識した上で行動し、少しでもその家格を上げることを日々考えていることがよく理解できる一冊でした。

日本の名城解剖図鑑

お城の基礎知識を復習するつもりでこの本を手に取りました。思っていた通り序章は「城の基本」として天守の構造、形、デザイン、城の構造、その他の建物、施設(土塁、石垣等)、それに加えて築城の流れをイラストを加えてやさしく解説されています。その後は日本100名城、続日本100名城に登録されている有名なお城をイラストを加えて解説しています。「復元された城たち」「復興された城たち」の章を読み比べることによって、復元天守と復興天守の違いを理解することが出来ました。特に復興天守の現在の大坂城に付いて、徳川大坂城の天守台に豊臣大坂城が建っていると勝手に思っていましたが、実際は豊臣大坂城、徳川大坂城のどちらにも似ていないことを知りました。また、竜宮城をイメージとして作られ洲本城の模擬天守は大規模な修理をするにも復元考証をしなければならないので、天守の史料のない洲本城の大規模な改築、新築ができないとの問題を抱えていることも知りました。全体を通して知識があまりなくても読み進めることが出来るので、城めぐり初心者の方、またお城の基本を復習してい方へお勧めの一冊です。

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)

「日本史の知識をアップデートするための勉強会」にて榎本先生から紹介もあり、読んでみることにしました。幕末から明治初期に渡り、加賀藩の御算用者であった猪山信之、直之、成之3代に渡り残された家計簿その他の書簡・日記から、その当時の武士の経済状態や考えが良く解る内容となっています。猪山家が困窮する家計を如何に立て直したか、また幕末から明治にかけて時代が変わる中で猪山成之がどのように考え行動していったかが、そして当時の士族が時代の流れの中でどのようになっていったのかの一端を垣間見ることが出来ました。この本が原作となった2010年公開の映画「武士の家計簿」の中で、原作では娘の髪結に際にお金がなく絵に描いた鯛を用いたエピソードが、長男の着袴の際のエピソードとして描かれておりましたが、映画の方も楽しく鑑賞させて頂きました。

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今日のレビュー

ワイド&パノラマ 鳥瞰・復元イラスト 日本の城

とても生き生きと描かれています。肥後国人一揆の様子など、単に城郭だけでなく、戦闘を想定している絵もあり興味深かったです。阿波に畑山城なんてあったんですね。お城がかつて機能していたことを改めて認識させられる本です。

hiro.Eさん)

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