日本を代表する城郭考古学者で、奈良大学の千田嘉博教授が作成された七尾城跡の縄張り図です。
七尾市文化課教育委員会からコメントをいただきました。
「史跡 七尾城跡保存管理計画書」(H14年3月)を作成するために、千田嘉博先生(奈良大学教授)が本丸周辺の主要な曲輪群の縄張り図を作成しました。
中心部の踏査を行い、堀、土塁、曲輪などの配置と広がりを掴み、遺跡として保護・整備すべき範囲を知り、具体的な施策を計画・立案するためです。
これにより、七尾城の石垣には能登畠山氏時代の石垣と本丸中心部での大型の石材を使用した石垣や本丸南西の外枡形虎口や九尺石周辺などいわゆる織豊期に前田の手によって改修されている石垣が混在していることが分かりました。また、本丸、二の丸、三の丸以外にも大きな曲輪が複数存在し、七尾城の広大さが再認識されました。
こちらは災害時の石垣崩落などの被害を予防するために作成された調査データです。
同じくコメントをいただきました。
七尾城跡では、能登半島地震(H19年3月)により、石垣が崩落し、石垣修理(桜馬場北側石垣など)を実施していたが、今後も同様の災害が起きることを想定し、現状での七尾城跡の石垣を把握しようと石垣カルテを作成し、平成27年3月「七尾城跡石垣調査報告書」として刊行した。
本丸近辺でも新たな石垣の存在が複数確認され、周辺部及び山麓部でも尾根沿いの曲輪群に付属する石垣や急峻な谷地形に土留めのように構築されていた石垣がカルテとして、図面・写真・位置図・所見などが記録された。石垣カルテの作成により、七尾城跡研究の基礎データが整うことになった。