本丸大手門(大手三の門)を抜け、百人番所の前を通ると、いよいよ本丸へと近づきますが、本丸へ入るには中の門を通らなければなりません。
この中の門の石垣は江戸城の中でも最大級となる約36トンの巨石で築かれています。
高さ6mにも及ぶ巨大な石垣は見た目にも美しい、丁寧に加工された隙間のない見事な「切込接ぎ・布積み」の技法で積まれています。
内側から見た中の門です。奥に見えるのは百人番所ですね。
この中の門の石垣は1638年(寛永15年)にその原形が普請され、1703年(元禄16年)に起きた地震で被害を受けましたが、翌年に鳥取藩3代藩主・池田吉明によって修復されました。
その後、関東大震災で大破してしまい、いまだ再建はされず、現在は石垣のみが残っています。
そしてその石垣も約300年の間に、石材の移動による目地の開きやはらみ、荷重や風化による破損や剥離などが発生していたため、2005年(平成17年)8月から2007年(平成19年)3月まで20カ月かけて解体・修復工事が行われました。
パネルで修復工事の様子が解説されています。
本丸中之門石垣
皇居内の石垣は、特別史跡「江戸城跡」に指定されています。「本丸中之門石垣」修復工事は平成17年8月から平成19年3月にかけて行ないました。
修復は、文化財調査を行いながら、石垣を変形前の形状に復元することを目標にしました。
石垣には、江戸城の中でも最大級の巨石が使われ、布積みという技法で積まれています。また、この中之門石垣には、本丸御殿への登城口として渡櫓門が配置されていました。The Stonewalls of Honmaru-Nakanomon Gate
The stonewalls of the Imperial Palace are designated as a special historic structure of "the Former Edo Castle."
The restoration work of the Honmaru-Nakanomon Gate stonewall, was carried out from August 2005 through March 2007.
The purpose of the work was to restore the stonewall to its original condition that had existed before it deteriorated and to conduct cultural assets investigation while performing the work.
The Nakanomon Gate is built with stones larger than those used in other stonewalls in the Edo Castle and by employing a technique called "nunozumi," where rows of stones are horizontally laid on top of one another. As regards the Honmaru-Nakanomon Gate stonewall, the castle once had a barbican defense-house, Watariyagura-mon, constructed as an entry point to the Honmaru buildings.
門の横にあるスペースでは、中の門石垣の修復時に交換した石材が展示されています。
かなり大きな伊豆半島産の安山岩(ひとつ目)、瀬戸内産の花崗岩(ふたつ目と3つ目)が使われています。
また、石垣の解体修復工事では、築石(つきいし)同士を連結する銅製の「契り(ちぎり)」や築石の据付に使用した銅製、鉄製の「敷金(しきがね)」、さらに築石転倒防止のために築石を連結補強した「大鎹(おおかすがい)」などの珍しい遺物が出土しました。