黒まめさんは97件のレビューを投稿しています。
検索ページ幕末を駆け抜けた土方歳三の生涯が描かれています。土方歳三は、ご存じのように北海道で戦死しますが、なぜか読後感が爽やかです。物語の中で土方は、自分の死期を悟り、尚且つそこに至った人生を悔いていないからでしょう。決して美化されていませんが、丹念な取材と資料集めによって、一本筋のとおった魅力的な人物像が出来上がっています。だから、面白いです。
我が本城「和歌山城」も、空襲で消えた城のひとつなので、手に取ってみました。この本では、多くの写真や図で在りし日の姿を目にすることができます。城だけでなく、絵画や文書なども共に失われたのがわかりました。他にも記録に残っていない多くの物が失われたと思います。戦いのための城ですが、戦いをやめた丸腰の状態で失われていったということに、戦争の怖さを感じました。
中学1年で陰キャのホタカ少年が、ひょんなことから一人でお城を巡るのですが、姫路城の守りの仕掛けや甲賀の城と地域の人々、安土城の発掘に関わるうちに、お城の沼にハマる物語です。「13歳からの考古学」とある通り、中学生向けの本ですが、内容はとても詳しく、思わず「へえー」とか「なるほど」と声が出てしまいます。イラストも精細で素敵です。お城を見るだけでなく、お城を使ったイベントや、発掘に携わったりするホタカ少年の目を通して、たくさんのことがわかります。甲賀の城にメチャクチャ行きたくなりました。
城にまつわる言葉なら何でも来いです。掲載城語は、「石垣」「狭間」はもちろんですが、山城攻城の友「ヒル下がりのジョニー」、備中高松城近くの和菓子屋で売っている「水攻め饅頭」とか、多岐にわたります。最初から読むもよし、わからない城語を引くもよし、なかなかオモシロイですよ。とじ込み付録「戦国の山城」もよかったです。
6巻〜10巻読みました。単に男女逆転しただけではなく、そこに至った謎に少しずつ気づいていく吉宗、そして、赤面疱瘡に打ち克つため、命をかける人々の姿が描かれます。江戸の歴史だけではなく、細菌とウイルス、人痘など科学的な内容も織り交ぜられ、よりリアリティが感じられる内容になっています。悪名高い田沼意次像がいかに作られたかも描かれます。そしてオットセイ将軍家斉が将軍職を継いだところで10巻が終わるのですが、この家斉の存在も物語世界と歴史との辻褄がピタリと合っているのです。続きが楽しみです。
ナンバー1になりたくてなれなかった人、あえてナンバー2を選んだ人、ナンバー1でありナンバー2でもある人…いろいろですが、何故かナンバー2の方が面白く感じてしまうのは私だけではないハズ。各時代の政治を廻していたのは多くはナンバー2だったことを考えれば、魅力ある人物が並ぶのは当然と言えば当然ですね。本当に大勢のナンバー2について書かれていて分厚いですが、本を読むのが若い頃に比べて格段に遅くなってきた私でもサクッと読めました。中でも朝倉宗滴(←スミマセン全く知りませんでした…)、とても興味深く読みました。
攻城団ラジオで「すごく面白い」という話が出たので、近くの図書館で借りて来ました。SF大賞を取るほど考えられないような設定なのに「本当の歴史はこうだったのかも…」と思うほど辻褄があっていて、それぞれのエピソードも納得のいくものでした。男女が逆転していることとそうなった設定をうまく生かして物語を進めているのですが、作者は歴史をとても勉強したんだなと思いました。「忠臣蔵」の顛末も男女の違いがうまく散りばめられていて、「なるほど、そうくるか」と思いました。今回、5巻まで読みましたが、続きも読みたいですね。
鎌倉時代をおさらいしたくて手に取った本です。愚管抄を著した天台座主慈円が現代口調で語る鎌倉正史なのですが、そこは、慈円が語るのですから、北条中心の吾妻鏡の「変だなポイント」をちゃんとついています。そして4コママンガがついていたり、とてもわかり易く読み進められます。この本を読んだからというわけではないですが、鎌倉時代をおさらいして感じたのは、現代と当時の人のものの感じ方の違いです。どちらがいいとかじゃなくて、物事への優先順位の付け方が全く違うのです。うまく説明できないのですが…。みなさんはどう思われますか?
中井均先生著、山川出版社というダブルネームで、「これは信頼できるだろう」と思って図書館で借りたところ、中身が思った以上に充実していたので、購入しました。この本は2009年に指定文化財をすべて掲載するお城紹介本として初めて刊行されたものですが、2021年に全面改訂され最新の情報で新編として出版されました。古写真、現況写真、古地図などのカラー図版、中井先生おすすめの見どころをセットにしてわかりやすく解説してくれています。何より、そのお城の情報をもっと詳しく知りたい人には、webサイトがQRコード付きで載せられています。そして、写真協力一覧には、我らが攻城団の名が…。とにかくパラパラめくっているだけでも楽しめる本です。
最新の発掘情報が多くの写真と共に紹介されています。説明も詳しく、とてもわかりやすいです。文中で出てくる考古学用語や昔の儀礼など、「この言葉は何?」と思うものは、豆知識として説明してくれているし、内容も文化庁編集なので確かです。それぞれの遺跡を管轄している教育委員会などの連絡先も明記されていて、もっと調べたいときにも便利です。2021年版のわたし的目玉は「大内氏関連遺跡」と「京都新城」です。毎年出されているようなので、情報のアップデートにもってこいですね。
図書館で何気なく借りてきたのですが、エピソードの一つ一つが面白く、じっくり読んでいるとあっという間に返却期限がきてしまったので、自分で買いました。著者の松平定知氏は、自らも伊予松平藩の傍流とは言え末裔であり、お城、歴史に造詣も深い方です。NHK時代の松平氏の番組への向かい方も前書きに書かれていますが、すごいなと思いました。中身はお城にまつわる55のエピソードですが、お城と人を関連付けて書かれているのが興味深いところです。お城好きの皆さんには既知のエピソードも多いと思いますが、なかなか面白いですよ。
「日本史の知識をアップデートするための勉強会」の予習をするために手に取りました。江戸時代の日本は銀の輸出国だったということに驚き、鉱山について知りたいと思ったときにこの本を見つけました。江戸時代の鉱山についてのイメージ(強制労働、罪人の懲役、危険労働、人の使い捨て…)が崩れ去りました。コアなテーマですが、なかなか面白かったです。サーッと読んだだけなので、もう一度じっくり読んでみようと思います。「日本史リブレット」というシリーズの一冊ですが、他にも凝縮された面白いテーマで出されているので、読んでみたいと思いました。
「図解」と書かれているように、江戸の人々の暮らしを図で表しています。長屋の部屋の様子や井戸掃除の様子、色々な職業など見ているだけで楽しいです。深川江戸資料館出典の町並みや情景の復元がリアルで、江戸資料館にはいつか行ってみたいと思いました。誰が何のために作ったのか謎とされている「江戸図屏風」の検証もおもしろかったです。もちろん武士の生活についても触れられています。江戸時代(特に寛政期?)の人々の生活について、私が読んだ本の中で一番よくわかるかな、と思います。
将軍と言っても知らない人や初めて知ったエピソードも多くて、読んでは戻り、戻っては想像力を膨らませるので、なかなか進みませんでした。史料から想像できる人の思いや行動をを榎本先生の視点で書いてくださっているので、それぞれの人物が生きて活動している様子が浮かび上がってきます。歴史の糸が繋がり、絡まって面になって広がっていくのがよくわかりました。
香川ワールド全開のお城の本。写真のない時代だからこそ、よりリアルに感じるイラストが迫ってきます。本当にわかりやすい本です。お城の基礎知識が身に付く章立てになっているので、最初から熟読するもよし、興味のあるところから…という読み方もできます。
視覚の持つ力はすごいなと思いました。現況の写真とCGを比べることができるので、とてもわかりやすいです。CGは、いくつかの所から提供されているので、以前ぽりへりさんがレビューされていたように、画質にばらつきがあります。と言うか、写真のようにリアルなものと、イラストのような感じのものがあります。現況に建物がほとんど残っていない城の方が、CGにしたときにインパクトがありますね。雲海写真にCGを重ねた竹田城もとても素敵でした。竹田城は、天守の形も不明な部分が多いし、他の城も、天守があったかどうか、形はどうかわからないことも多いので、絶対的な復元ではないことを心に留めて見ることも必要ですが、「こんな風景が広がっていたのか~」と眺めるのは、楽しいです。
以前から気になっていたのですが、文庫本で4巻という長さに、なかなか手を伸ばせずにいました。「能島城攻城の前に読んでおくとよくわかる」という伝もものふ山田(ヤマー)さんのレビューに背中を押され読みました。人物の個性が立っていて、めちゃくちゃ面白かったです。合戦シーンはド迫力です。気の弱い方はお気をつけください(笑)。最後に登場人物たちのその後が淡々と書かれていて、意外に身近に繋がっているのに驚きました。村上武吉、景、元吉、景親を思い浮かべながら、能島城攻城を果たしたいと思います。
日本100名城の見方、楽しみ方がぎゅっと濃縮して書かれている本です。「石垣」「天守」「櫓・門・御殿」「山城ハイキング」「縄張・軍事装置」「合戦の舞台」「戦国武将ゆかり」の7つの楽しみ方について、それぞれ推し城をいくつか挙げて萩原氏独特の語り口で書かれています。最後に番外編としてグスク、城下町散策、写真撮影の視点から推し城を挙げられています。実際に攻城する方にも、バーチャル攻城の方にも、100名城の楽しみ方がとてもよくわかりますよ。ただ、掲載順序、量がバラバラなので、「この城について知りたいんだけど…」と思う方には使いづらいかも…。
いつだったか、無料で手に入れるチャンスがあり、入手していたものです。改めて読んでみると、1つの城につき、航空写真(縄張りがよくわかる)、最寄り空港、アクセス、城の概要、写真がセットになっていて、特に写真が多く、サクサク読めて楽しめました。電子書籍は拡大ができるのがいいですね。いくつか漢字の間違いと、助詞のおかしいところがあったのが気にかかるところですが、攻城の予習の一助になると思います。写真だけでも楽しめます。
初めてkindle本で読みました。新書サイズのタブレットだと違和感なく読めました。内容は一言で言うなら、そこに城がある必然性がすごくよくわかる本です。きちんとその場に立った時の周りの見え方も写真と共に記述されているので説得力があります。そして、その城をめぐる人々の思惑も見えてくるような気がします。お城は、縄張りや普請、作事は勿論大事ですが、選地がとても重要であることも実感しました。
城郭検定の参考書として手に取りました。でも、それだけではもったいない内容です。各お城の見所をしっかり網羅し、さらに周辺の見所、写真、地図もあり、お城ガイドブックとしてもお役立ちです。何より、萩原氏独特の語り口や表現が、とても分かりやすく、築城の背景や、なぜこのような造りなのかが面白いほど理解できます。語り口が軽妙すぎて、お城上級者には軽く感じるかもしれませんが、押さえるべきポイントもしっかり押さえてくれています。ビギナーから上級者まで、お城を楽しみたい方にオススメです。
「石垣って深いなぁ」としみじみ思う書です。この本を読むと、石垣の名城、石垣の積み方、石垣の基礎知識など、石垣についてとても詳しく知ることができます。「築城には、石材の調達から」と考えた藤堂高虎の逸話もとても面白いです。この本を手にすると、きっと石垣を見に出かけたくなってきます。
謎の多い本能寺の変、残されているのは勝者の歴史のみ。そこを疑うところから検証が始まります。今まで動機について検証する本はありましたが、気象条件、行軍スピード、地理的条件などから切り込んで行くことに面白さを感じました。判決を下すのは読者です。示されたデータから判決を考えてみてください。
元首相細川護煕氏は、本当に殿様だったんだなと実感しました。圧倒的な伝統を誇り、現代にまで名を残す大名家は、そうはありません。脈々と続く歴史の中で集められた名品もあり、何気ない日用品や、手慰みの作品でさえ、一つ一つに伝えられてきた歴史の重みを感じます。ほんの少しの判断の狂いで歴史から消えていった氏族も多い中、稀有な存在であり、そこに伝わるものたちは、これからも大切にされるべきものだと感じました。
電気もガスも無かった江戸時代の人々の暮らしについて、科学的な視点から書かれています。読んだ後、江戸時代の人たちの凄さに脱帽しました。何が凄いかと言うと、まず考える力です。今の便利な生活に慣れている私たちは、何も考えなくても、物事を合理的に済ませることができます。その方法も義務教育の間に、(使えるかどうかは別にして)結構教えてもらっているものです。そういった材料なしに、どうすればうまく行くか、よく考えています。そして、それが実に道理にかなっているのが驚きです。「雷におへそを取られる」のも、科学的根拠があるのです。天文に関する知識も、私たちが想像する以上に持っていたようです。
これを読むと、私たちの日常生活は「ボーッとしてるんじゃないわよ❗」って、叱られそうです。
先日の勉強会を受け、この本を見つけたので手に取ってみました。潜伏キリシタンの過酷な歴史と各地に残る教会や遺跡などの美しい写真が対称的で、深い感銘を受けました。私が歴史で習った「かくれキリシタン」という名称は、禁教下で、自分達だけで信仰を続けた結果、カトリックとは似て非なるものになり、禁教令が解かれた後も、カトリック信者に戻れなかった人たちを指すようです。そのため、禁教令下で信仰を守り続けた人々のことを「潜伏キリシタン」と呼んで区別したようです。秀吉も家康もキリシタンのこの目に見えないパワーを恐れたのでしょうね。
「歴史の中で、城がどう移り変わっていくか」など、城と歴史の関係がよくわかります。歴史との繋がりを通して、土塁、堀、柵、建物などが、なぜ築かれたのかがわかるので、お城理解に繋がります。城郭検定の公式参考書ですが、受けない人にもオススメです。
最近、御城印とともに脚光を浴びている「武将印」のガイド本です。御城印よりも、さらにデザイン性が高く、かわいい武将のイラストや、カッコいい武将のイラストなどがついているものも多く、バラエティ豊富な感じがします。見ているだけでも楽しいです。もうすでにはまっている人は、「次はこの武将印がいいな」なんて考えながら見てください。まだはまっていない人は、これを読んで武将印の世界にどっぷりとはまってください。
精神科医である著者が、現代医学の観点で史料を読み、歴史上の有名人の既往歴や死因を推定しています。歴史上に名を残す人は、どこか精神のアンバランスを抱えているのか、著者が精神科医だからか、パーソナリティー障害とか双極性障害(躁鬱病)と診断された人が多いのに驚きです。
読んでいると、「だから、こんな言動が記録されているんだな」「こんな事件が起こったんだな」と想像できて面白いです。歴史の雑学を仕入れるのにちょうど良い本です。
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