黒まめさんは85件のレビューを投稿しています。
検索ページエンジニアの播田氏が、前作に続き、歴史の謎をエンジニアの視点で紐解いていきます。特に造船エンジニアとして様々な検証を数値化したことで、おもしろい仮説となっています。邪馬台国への意外な道筋や、秀吉の朝鮮出兵の失敗原因(しかし、スペインやポルトガルの植民地化を結果的に防げたのではないかとも…)、また、「東郷ターンによる奇跡の勝利」と言われた「日本海海戦」も、実は勝つべくして勝ったなど、科学の目で見た説が展開されます。前作と共に、日本人の「暗黙知」を重要視する精神性から生まれた「ものづくり」のチカラが歴史の流れを支えて来たということがよくわかりました。
「琉球の歴史ってあんまり知らないなぁ」と思い、手にとった本です。日本における江戸時代の頃の琉球の歴史が、首里城内から庶民の生活に至るまで、とてもわかり易く書かれています。本当に違う歴史をたどってきた独立国家(?)だったんだなぁと実感します。領域そのものは東西約1000km、南北約400kmとなかなかに広大ですが、小さな島々の集まりである琉球は、弱く小さな国です。その国を生き永らえさせるための柔軟さ、したたかさに驚かされました。この本の中で、私が強烈に心に残ったのが、首里城正殿前の赤白のシマシマの意味と王妃の選び方です。「えっなになに?」と思った方は、読んでみてください。
古地図からわかる城下町の様子と、現代に残る痕跡が語られています。近世城郭は、都市計画ありきで成り立っていることがよくわかりました。近世において「築城する」ということは、すなわち「お城を中心にしたまちづくり」なんだなぁと実感。加藤清正が城下に豊前街道を通したのは、そこを通って参勤交代する島津氏を監視するとともに、城の威容を見せつけ、戦意を消失させる意図だったとか…。築城名人は、都市計画もできる人だったんですね。
もうすでにお二人の方がレビューされているので言わずもがなですが、エンジニアの視点でデータを数値化して検証していくのがとても面白いです。著者がこの本でずっと述べている日本のものづくりの素晴らしさにも感動しました。また、「秀吉に戦艦大和を運用させたら…」という仮定に一瞬「おぉ、それは見てみたい」と思いましたが、亡くなった大勢の方々には申し訳ないけれど、あそこで負けておいて良かったのだと私個人は思います。
攻城団のプレゼント企画で当選した本です。私は自分の本になると読む速度が一気に落ちてしまうという人なので、他の本を読みながらゆっくりゆっくり読みましたが、実際はとても読み易く、サクッと読める本です。鯛の天ぷらを食べてタイムスリップして記憶をなくした家康が、千田先生と栗原くんに出会い、記憶を取り戻すため縁の城を巡る…という筋立ても面白く、最後は、家臣の城を巡って…という具合で終わります。子供さんでも楽しめ、大人でも十分楽しい本です。活字は苦手で…という人にもオススメします。
中の写真、図が多くて「読みやすそう」と手に取りました。家康を生んだ松平氏について、戦国大名徳川家康の苦悩、家康を支えた家族、家臣団についてなど最新の情報で詳しく著されています。大河ドラマの予習としてもいいですが、「ここはこう解釈されたのか」と復習しながらよむのも一興です。今まで定説になっている「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」の家康像とは、少し違った家康像が見えてきます。
「落とした財布が世界で一番もどってくる日本にしたのは徳川です」のキャッチコピーに惹かれて手に取った本です。民の命を尊重する「福祉」の意識、限られた土地から最大限の収穫を得る農民たちの「知恵と知識」など、徳川の世が現代に及ぼした影響が多く語られます。江戸時代として260年の太平が続いたのはなぜかが納得できる本です。文庫本で156ページというコンパクトさの中に、今につながる、「江戸時代に生きる人々の努力と進歩の足跡」がギュッと詰まっています。
全国の有名な山城への登城ルート、見どころ、アクセスなど詳説されています。写真も豊富かつ、地図と連動してどこから見た風景かがわかるようになっています。山城歩きの服装などの基本情報も載っていて、山城攻城の予習にもピッタリだと思います。予習に使うか、バーチャルで楽しむか、どちらでも楽しめますよ。
山城撮影術も書かれているので、山城あるあるの「何を撮っているかわからない」対策に参考になるかと思います。行きにくい城は、初級、中級、上級、変態とレベル分けされており、レベルが上がるごとに、知名度の低さ、アクセス難度、危険度が増します。そして遺構の魅力も増します。この本で言う「変態」は、褒め言葉です、たぶん…。この本を読んで、行きにくい城に行きたくなったら、この本を片手に攻城しましょう。駐車場、携帯電波状態など、必要な情報が手に入ります。
多分、小学校高学年ぐらいから読めると思います。とても平易な文で、一問一答式で書かれています。著者の前作は「鎌倉バトルロワイヤル」なので、大河ドラマを完璧に意識して書かれているようですが、サクッと一気に読めてしまうので、ドラマの予習に徳川家康についてざっくりと知りたい人には、とてもわかりやすい本だと思います。さらに、アップデートされていく歴史の新説もちゃんと盛り込まれています。
お城初心者の方、100名城、続100名城めぐりをしている方、とにかくお城が好きな方にオススメします。難しいお城用語はあまり出てきませんが(筆者があえて使わないようにしている)、知っておくと楽しめる基本のお城知識を、まずわかりやすく説明してくれているのがいいですね。あとは、「天守を楽しむ」「城下町を楽しむ」など、9つの楽しみ方にピッタリのお城をピックアップしているので、目的にあったお城を探すのに役立ちます。399ページというボリュームの割に、持ち運びのしやすいサイズと重さなので、攻城旅のお供にも良いのではないでしょうか。
50項目にも登る歴史の転換点を地図と地形図で解明する書です。地図、地形図は全てカラー、それだけで、目が惹かれてしまいます。中身を見ると、戦国時代の紀伊の独立性とか、赤穂浪士の討ち入りは仕組まれたものであるとかなども、地理で読み解いていくのが面白く、今まで気づかなかった視点に気付かされ、ナルホド…と納得してしまいます。みなさんはどの項目に唸ってしまうでしょうか?
タイトルにあるように、まず、キーパーソンと時代の流れに沿って、一つ一つの出来事が、それぞれ見開き2ページに整理されています。一目でわかり、「あれ、どうだったのかな」と前へ戻らなくても済み、カラーで写真や図版も多く、情報量の割に、サクサクと読み進められます。見開きページ毎に「時代のギモン」として、その時々のキーワードの解説があり、各章の最後の「ミステリー」のコーナーで、歴史のナゾにスポットを当てているのも、理解が深まるポイントです。鎌倉・室町時代をサクッとおさらいするのにオススメの書です。
幕末を駆け抜けた土方歳三の生涯が描かれています。土方歳三は、ご存じのように北海道で戦死しますが、なぜか読後感が爽やかです。物語の中で土方は、自分の死期を悟り、尚且つそこに至った人生を悔いていないからでしょう。決して美化されていませんが、丹念な取材と資料集めによって、一本筋のとおった魅力的な人物像が出来上がっています。だから、面白いです。
我が本城「和歌山城」も、空襲で消えた城のひとつなので、手に取ってみました。この本では、多くの写真や図で在りし日の姿を目にすることができます。城だけでなく、絵画や文書なども共に失われたのがわかりました。他にも記録に残っていない多くの物が失われたと思います。戦いのための城ですが、戦いをやめた丸腰の状態で失われていったということに、戦争の怖さを感じました。
中学1年で陰キャのホタカ少年が、ひょんなことから一人でお城を巡るのですが、姫路城の守りの仕掛けや甲賀の城と地域の人々、安土城の発掘に関わるうちに、お城の沼にハマる物語です。「13歳からの考古学」とある通り、中学生向けの本ですが、内容はとても詳しく、思わず「へえー」とか「なるほど」と声が出てしまいます。イラストも精細で素敵です。お城を見るだけでなく、お城を使ったイベントや、発掘に携わったりするホタカ少年の目を通して、たくさんのことがわかります。甲賀の城にメチャクチャ行きたくなりました。
城にまつわる言葉なら何でも来いです。掲載城語は、「石垣」「狭間」はもちろんですが、山城攻城の友「ヒル下がりのジョニー」、備中高松城近くの和菓子屋で売っている「水攻め饅頭」とか、多岐にわたります。最初から読むもよし、わからない城語を引くもよし、なかなかオモシロイですよ。とじ込み付録「戦国の山城」もよかったです。
6巻〜10巻読みました。単に男女逆転しただけではなく、そこに至った謎に少しずつ気づいていく吉宗、そして、赤面疱瘡に打ち克つため、命をかける人々の姿が描かれます。江戸の歴史だけではなく、細菌とウイルス、人痘など科学的な内容も織り交ぜられ、よりリアリティが感じられる内容になっています。悪名高い田沼意次像がいかに作られたかも描かれます。そしてオットセイ将軍家斉が将軍職を継いだところで10巻が終わるのですが、この家斉の存在も物語世界と歴史との辻褄がピタリと合っているのです。続きが楽しみです。
ナンバー1になりたくてなれなかった人、あえてナンバー2を選んだ人、ナンバー1でありナンバー2でもある人…いろいろですが、何故かナンバー2の方が面白く感じてしまうのは私だけではないハズ。各時代の政治を廻していたのは多くはナンバー2だったことを考えれば、魅力ある人物が並ぶのは当然と言えば当然ですね。本当に大勢のナンバー2について書かれていて分厚いですが、本を読むのが若い頃に比べて格段に遅くなってきた私でもサクッと読めました。中でも朝倉宗滴(←スミマセン全く知りませんでした…)、とても興味深く読みました。
攻城団ラジオで「すごく面白い」という話が出たので、近くの図書館で借りて来ました。SF大賞を取るほど考えられないような設定なのに「本当の歴史はこうだったのかも…」と思うほど辻褄があっていて、それぞれのエピソードも納得のいくものでした。男女が逆転していることとそうなった設定をうまく生かして物語を進めているのですが、作者は歴史をとても勉強したんだなと思いました。「忠臣蔵」の顛末も男女の違いがうまく散りばめられていて、「なるほど、そうくるか」と思いました。今回、5巻まで読みましたが、続きも読みたいですね。
鎌倉時代をおさらいしたくて手に取った本です。愚管抄を著した天台座主慈円が現代口調で語る鎌倉正史なのですが、そこは、慈円が語るのですから、北条中心の吾妻鏡の「変だなポイント」をちゃんとついています。そして4コママンガがついていたり、とてもわかり易く読み進められます。この本を読んだからというわけではないですが、鎌倉時代をおさらいして感じたのは、現代と当時の人のものの感じ方の違いです。どちらがいいとかじゃなくて、物事への優先順位の付け方が全く違うのです。うまく説明できないのですが…。みなさんはどう思われますか?
中井均先生著、山川出版社というダブルネームで、「これは信頼できるだろう」と思って図書館で借りたところ、中身が思った以上に充実していたので、購入しました。この本は2009年に指定文化財をすべて掲載するお城紹介本として初めて刊行されたものですが、2021年に全面改訂され最新の情報で新編として出版されました。古写真、現況写真、古地図などのカラー図版、中井先生おすすめの見どころをセットにしてわかりやすく解説してくれています。何より、そのお城の情報をもっと詳しく知りたい人には、webサイトがQRコード付きで載せられています。そして、写真協力一覧には、我らが攻城団の名が…。とにかくパラパラめくっているだけでも楽しめる本です。
最新の発掘情報が多くの写真と共に紹介されています。説明も詳しく、とてもわかりやすいです。文中で出てくる考古学用語や昔の儀礼など、「この言葉は何?」と思うものは、豆知識として説明してくれているし、内容も文化庁編集なので確かです。それぞれの遺跡を管轄している教育委員会などの連絡先も明記されていて、もっと調べたいときにも便利です。2021年版のわたし的目玉は「大内氏関連遺跡」と「京都新城」です。毎年出されているようなので、情報のアップデートにもってこいですね。
図書館で何気なく借りてきたのですが、エピソードの一つ一つが面白く、じっくり読んでいるとあっという間に返却期限がきてしまったので、自分で買いました。著者の松平定知氏は、自らも伊予松平藩の傍流とは言え末裔であり、お城、歴史に造詣も深い方です。NHK時代の松平氏の番組への向かい方も前書きに書かれていますが、すごいなと思いました。中身はお城にまつわる55のエピソードですが、お城と人を関連付けて書かれているのが興味深いところです。お城好きの皆さんには既知のエピソードも多いと思いますが、なかなか面白いですよ。
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