巽櫓は、駿府城二の丸の東南に設けられた2重3階の隅櫓です。
駿府城には二の丸の四隅にそれぞれ隅櫓があったそうですが、そのうち十二支であらわした巽(辰巳)の方角に位置することから「巽櫓」と呼ばれました。
隣接する東御門と同様に、1635年(寛永12年)に焼失し、1638年(寛永15年)に再建されましたが、幕末近くの1854年(嘉永7年)に起きた安政大地震(安政東海地震)によって全壊してしまったと考えられています。
1989年(平成元年)に復元され、現在は資料館として公開されています。
巽櫓の南面です。
城内側から見た巽櫓です。
案内板はここにあるので、見逃してしまうかもしれません。
巽櫓
巽櫓は、駿府城二之丸の南東に位置する木造矩折三層二重の建物です。
この巽櫓は、寛永十二年(一六三五)城下から出た火によって延焼焼失し、寛永十五年に新たに建設されたといわれています。
巽とは、十二支で表した方位で辰と巳の間、すなわち南東の方角をいいます。また櫓とは
一、武器を納めておくため
一、四方を展望するために設けた高楼
の役割をしたものです。
巽櫓の復元は、「駿府御城内外覚書」や「駿府御城惣指図」の資料をもとにしており、三か年の歳月をかけ、平成元年三月に完成しました。静岡市
矩折(かねおり)というのは建築用語で「直角にまげる。または直角に曲がった形。」のことをいうそうです。
TATSUMI YAGURA (THE SOUTHEAST TOWER)
The Tatsumi Yagura is a wooden L-shaped tower made by a special construction called "sansou, futae" (three levels, two roofs). It is located in the southeastern section of the Ninomaru (the secondary enclosure) of Sumpu Castle. It is though that the original tower was rebuilt in 1638 after having burnt down in a fire spread from the castle town in 1635."Tatsumi" signifies the direction of the tower, built according to the geometric principles of the twelve animals corresponding to the twelve signs of the Oriental Zodiac. Tatsumi means "between the dragon (tatsu) and the snake (mi)," or, in other words, a south-easterly direction.
The replica of the tower was constructed based upon documents such as "Sumpu Onshiro Naigai Oboegaki" (the memorandum of Sumpu Castle inside and out) and "Sumpu Onshiro Sousahizu" (an overall view of Sumpu Castle). Construction was begun in February 1989 and took three years to complete.
内部には東御門の多門櫓を抜けて入れるようになっています。
1階は畳敷きの部屋があります。
2階には何点かの資料の展示のほか、徳川家康が幼少期の人質時代に太原雪斎から教えを受けたとされる、臨済寺の部屋を復元した「竹千代手習いの間」があります。
この巽櫓は、全国にある城の櫓建築でもほかに例の少ないL字型の平面をもち、駿府城の櫓の中ではもっとも高い櫓でした。
巽櫓の構造
- 矩折三層二重入母屋造
- 木造本瓦葺き
- 外壁白漆喰仕上げ
- 建築面積
- 68.07坪(224.992)
- 延床面積
- 150.42坪(497.14m2)