浜松城の本丸には「若き日の徳川家康公の銅像」という徳川家康の像があります。
この銅像は1981年(昭和56年)に建てられました。
家康が手にしているのは「勝草」と呼ばれた、めでたい羊歯(しだ)です。
銅像撰文
徳川家康公は天文11年(1542年)三河国岡崎城内に誕生した。
父は松平広忠、母に生別、駿府に少年時代を過ごしたが、岡崎に戻り独立の一歩を踏み出した。
元亀元年(1570年)遠江国へ進出、浜松に築城し、ここを根拠として着々と地歩を固めた。
その間17年、武田信玄のために大敗を喫した三方原合戦、正室築山殿嫡男信康を一時に失うような家庭危機に遭遇したが、隠忍自重よくこれを克服し、東海を制圧、その領国は遠江・三河・駿府・甲斐・信濃の五か国に及び、海道一の弓取り武名を馳せるにいたった。
そして常にこれを支えたものは浜松の地の利と人心の和であった。
浜松より駿府へ、さらに江戸に移り、江戸幕府を開き、二百六十年余の泰平の基礎を固めたが、やがて駿府に退隠、元和2年(1616年)薨じた。
乱世を生きぬいた努力と忍苦の75年であった。
像は浜松時代の若き日の公の姿。
手にしたのは勝草と呼ばれためでたい歯朶である。
昭和56年12月20日
徳川家康公若き日の銅像建設委員会
彫刻 水野欣三良
鋳造 河野敏彦
台座 株式会社林工組