みなさんこんにちは、攻城団のコースケです。
12月17日(木)、駿府城がある静岡県静岡市に行ってきました。訪問先は静岡市役所です。
駿府城は今川義元の時代に、徳川家康が19歳までの12年間を人質としてすごしたお城です。
また、1606年(慶長11年)、前年に征夷大将軍職を息子の徳川秀忠に譲った家康公が、「大御所政治」の拠点の地と定めて再び戻ってきた地でもありますね。
まだ夜が明けきらないうちに最寄り駅を出発しました。
東海道新幹線に乗り換えます。ちなみにこの時点で、自宅をでてから4時間ちかくが経過。座っていけるから、あまり負担はありません。
新幹線に乗ってるあいだ、いろいろ想いをめぐらせていました。
現在の静岡市の市街地の原型をつくったのは徳川家康ですけど、人質時代を過ごした場所なら、あまりいい思い出がない場所だったんじゃないか、どうしてかつての拠点だった浜松城じゃなくて駿府にもどってきたんでしょう?
そんなことを考えていると、あっという間に静岡駅に到着。浜松城も掛川城も車窓からながめるのをすっかり忘れてた......。
静岡駅構内には「家康公四百年祭」ののぼりがあちこちに掲げられています。
徳川家康公顕彰四百年記念事業として静岡商工会議所が中心となって県内各地でさまざまなイベントや顕彰がおこなわれているようです。
時間に余裕をもって到着しましたので、先に駿府城公園へ。雪景色とまったくちがう青空ですね。
散策していると新幹線のなかで考えていたことに、ちょっと思いあたることが。
それは気候のこと。青空が広がって気候がとっても穏やかなのです。
徳川家康が駿府にもどってきたときは65歳。戦国時代は小氷期だったという説もあります。まず「あたたかい気候穏やかな地域に住みたかった」んじゃないですかね。
「あたたかい地域に住みたいのぅ」と考えたときに、東海道の抑えにもなる場所で、富士山もきれいに見える景勝の地で、しかも江戸からもそこそこ離れている、といった条件がそろっている。さらには小さいころに過ごしたことで土地勘もあったでしょう。
そんな経緯があって駿府を選んだんじゃないのかなぁと思ったんです。どうだろう、ちがうかなぁ。
巽櫓のそば、二ノ丸堀(中堀)のほとりにある 「東海道中膝栗毛」の弥次さん(左)、喜多さん(右)に見送られながら、静岡市役所へむかいました。
今回の静岡市役所への訪問は、静岡市が進めている駿府城の「天守台跡地の発掘調査」に関するご提案をすることが目的です。
「天守台跡地の発掘調査」は2016・2017年度をめどに実施し、成果の検証と並行して駿府城天守再建構想の策定に入るそうです。また2010年(平成22年)には「
第1期静岡市観光戦略アクションプログラム」が策定されています。
このなかに徳川家康を軸とした歴史観光に関する項目があります。この内容がまさに、ぼくたち攻城団が掲げている「
コンテクスト・ツーリズム」に一致しているのです。
「コンテクスト・ツーリズム」とは、攻城団が提唱する新しい観光のスタイルで、複数の観光スポットを「ある文脈(=コンテクスト)」で繋ぐことで、ストーリー性のある旅をすることを指します。具体的なコンテクストの例としては、「織田信長、上洛の軌跡」や「築城名人・黒田官兵衛が築いた城」といったもので、とくに攻城団では歴史的な背景をもとにした文脈を想定、重視しています。
こうした背景をふまえて「ぜひ一度ご提案させていただけないでしょうか」とお願いしたところ、アポイントをいただくことができました。
市役所にはいると、1Fロビーには徳川家康の人形が飾られています。
駿府の職人さんがつくられた人形だそうです。アップで撮影したボードも飾られてましたが、けっこうリアルですね。
とつぜんの連絡にも関わらずアポイントを快諾していただいた静岡市役所の芝原さま。事前に関係部署に話を通してくださっていて、当日は多くの方に集まっていただきました。
静岡市では「天守台跡地の発掘調査」をおこなっているなか、「寄付募集」が今年からはじまっています。すでに攻城団では、各地の一口城主や寄付募集に関して一覧でまとめていて、じつは隠れた人気ページになっています。
だけど一般的には静岡市にかぎらず、お城に関する「寄付募集」が行われていることは、あまり知られていないのではないでしょうか。
自治体が募集しているため、大々的に広告を打ちにくいという面もあります。
しかしそれよりも「
寄付募集を行っていることを、どこで告知すればいいのかわからない」ということが課題です。当日もやはり「お城好きの方に伝えるのには、どこに告知すればいいのかなあ」といった話が出ました。これは各地域がかならず抱えているテーマのようです。
また静岡市は観光戦略アクションプログラムにもとづいた、歴史・史跡の観光集客構想を掲げています。その構想と並立するかたちで今回の「天守発掘調査」や「天守復元」にむけた動きがあります(復元するかどうかはまだ決定していません)。
ぼくがご提案した骨子は、まず「天守台跡地の発掘調査」に関する寄付募集をおこなうにあたり、
- 「天守台跡地の発掘調査」をなぜおこなっているのか
- 「天守台跡地の発掘調査」をおこなうとなにがわかるのか
- 「天守台跡地の発掘調査」は現時点でどういったことがおこなわれているのか
といったことを、お城めぐり愛好家向けの専門メディアでもある攻城団のコンテンツとして連載しませんか、というものでした。
知ってもらう、理解してもらうために、なるだけ平易な言葉で説明されたレポートを、それも1回だけではなくて継続的に伝えていきませんか、ということですね。
レポートだけじゃありません。駿府城公園のことをもっともっと「知っていただく」「理解していただく」「来城のきっかけにしていただく」「応援していただく」ための情報発信強化策として、
- 攻城団が用意できる告知プロモーション
- 駿府城がふくまれる公式バッジのスポンサード
のご提案もさせていただきました。
現在、駿府城は公式バッジとして
のふたつに登録されています。さらにもうひとつ。近々公開予定の「天下普請」バッジにも登録されます。
バッジってまさに歴史・史跡をめぐるための提案であり、きっかけなんですよね。
「天下普請」のバッジにはどのお城が登録されているんだろう、なんてちょっとドキドキしませんか。これらバッジの公式スポンサー(一口スポンサー)のご案内をいくつかのお城にはじめたところです。
そして発掘調査。発掘調査はウォッチしていると各地でおこなわれていることがわかります。
だけど、調査の途中経過はどうなっているのか、どうして調査をおこなっているのか、結果どうだったのか、ということってなかなか情報が伝わってこないんですよね。
発掘に関するレポートを積極的にウェブサイトに掲載されている自治体もあります。だけど多くはPDFファイルを掲載していたり、専門用語が多くて「読みもの」としてはちょっと手を出しにくいのです。
そしてなによりも大半の人は――それこそぼくらのようなお城好きであったとしても――各地の市役所のウェブサイトを定期的にチェックしませんので、せっかくの情報も届けたい人にほとんど伝わってないんじゃないでしょうか。
発掘調査の報告会を開催すると、それなりの人数が集まるということは、興味関心があるからと考えられますよね。ならばそのプロセスも伝えていく価値があるはずです。
ご提案させていただいたのは、そんな背景があっての企画でした。
また寄付金を募っていくのであれば、目的と結果の報告が必要なのは自治体でも、企業でもおなじです。できることなら、そのプロセスも開示していくほうが誠実です。
こうした情報発信が、「知っていただく」「理解していただく」「来城のきっかけにしていただく」、そして「応援していただく」ことにつながっていくんじゃないかなと思っています。
以上のような攻城団側からのご提案の話をしつつ、「駿府城公園」に関する静岡観光の現状についてのお話を、みなさまから聞かせていただきました。
そして今までとはちがった話も、ちょっとだけさせていただきました。それは「地元の旅行代理店のかたとお会いしたい」というお願いです。その理由は、
地元の旅行代理店だからこそ主催できるツアーを共同で企画したい、からです。
たとえば今回お伺いした静岡市。ここには徳川家康をコンテクストにまわれる史跡がたくさんあります。さらに幕末も含めれば
徳川慶喜や
勝海舟にまつわる史跡もあるんですよね。
交通の便がじつにいい立地だからこそ、たとえばお昼前に東京や大阪から新幹線で集合して、午後に市内を散策しつつ、夜には徳川家康が食べた(かもしれない)お食事を......といったツアーが企画できたら楽しいと思いませんか。
ぼくたち攻城団が実現したいことのひとつに、こうしたお城や城下町を舞台に、歴史を楽しく学びながら史跡めぐりができるツアーを地元の旅行会社さんといっしょに企画もしていく、というのがあります。
静岡市役所のみなさまにもそんなお話をしてきました。このブログを読まれた旅行会社の方や、観光協会の方も、少しでも興味を持っていただければぜひご連絡ください。
駿府城のデータ強化については、当日資料をご用意していただいており、掲載許諾もいただきました。近日中には城メモとして登録できるかと思います。
今後の展開を楽しみにしながら、静岡市役所をあとに帰路につきました。駅前はすっかり夕方。
連載レポートは、当初はトライアルとして掲載することも提案しています。こちらについても続報があればまたお伝えさせていただきます。
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