山鳩さんは18件のレビューを投稿しています。
検索ページ「攻城」の言葉が表紙、裏表紙各所にあって思わずニンマリ。よく練られたレイアウト&内容で100円以上の価値ありですが、ワンコインだと一般の観光客も手に取りやすいでしょうね。
繰返し読んだ項目に順位をつけると①築城当時の明石城②見どころガイドの櫓のページ③はじめに、です。見開きの「はじめに」を読んで明石城を誇りに思うようになりました。ただこのページの文字の大きさが小さく、遠近両用メガネの私には厳しかったです
表紙に惹かれ図書館でなんとなく手にした本。まさに上杉本洛中洛外図屏風を〈歩く〉内容になっている。現在に残る痕跡(古文書や古記録)を私のような(素直だけが取り柄の)ものにも分かるように易しくかみくだきながら戦国時代の上京、下京を案内してくれる。めうかくじ(妙覚寺)や二条屋敷(二条古城)のあった通りを実際に歩きたくなった。
信長はなぜ本能寺に泊まったのか、という疑問に応えてくれた専門書。京都における信長の足跡が「信長在京表」としてまとめられている。その典拠は同時代史料、公家や僧侶などによる日記(古記録)や書状(古文書)であり信長の動静がじかに伝わってくる(ように読み解かれていて有難い)。絵画史料として上杉本洛中洛外図も要所要所で使われていて当時の様子がイメージしやすい。あと2~3巡読み返し理解を深めたいところだが、天正10年の宿所が本能寺「御屋敷」であった訳がまずはわかった。
読後ひと月たっても読んで良かったと度々思い返す。画人 狩野永徳の生きざまを描いた小説。個人的には若い頃の洛中洛外図作製の経緯と、人生後半 父 松栄を理解する場面が特に印象深かった。wikipediaや解説本などで知り得る情報がストーリーとして語られている。他の登場人物(歴史上主要な人々多数!)とのつながりも面白い。単に絵を描くのが好きで飛び抜けて上手い青年が時代の要請を読み解き己の力を尽くして狩野派の潮流を太く深くしたことに涙。二条城二の丸の金碧障壁画鑑賞に奥行きがプラスされるように思う。
〈(上杉本洛中洛外図からは)祇園祭の賑わいや市井の子らの遊ぶ声が聞こえてくる。可愛い。〉平安遷都1200年記念(1994年)特別展での鑑賞メモが出てきたので再び埋もれないようにここに載せてもいいかな、永徳さま筆とは当時知りませんでしたけれども。
*文庫本のレビューにあと押しされて読みましたが図書館にあったのは単行本。装幀も素敵でした。
明智光秀に関する最新の学術論文がびっしり並んでいる。日本中世史、日本文化史、城郭考古学などの専門家による執筆。それぞれ注や主要参考文献が記され「~その史料を丁寧に、そして慎重に読み解(編集後記)」いた過程をたどることが出来る。
巻頭は討議(小和田哲男×柴裕之)、
テーマを列記すると
・光秀と信長
・明智光秀とは何ものか
・明智光秀と人びと
・明智光秀をめぐる想像力
・明智光秀を読み解く―知性・文化・政治
「光秀の城」の題で千田先生も寄稿している。河内先生の「信長はなぜ本能寺に滞在していたのか」を立ち読みしようと書店に行ったのだが最後の一冊だったことと、装丁が素晴らしかったので即購入。目次は淡い桔梗色の紙の上に濃い紫の文字、紫色の表紙裏にも光秀の花押が。鉛筆でじゃんじゃん書き込みしながら読んでいる。
高校の教科書に沿った資料集で史料や年表、模式図などがびっしり載っている。攻城団の「日本史の知識をアップデートするための勉強会」に参加中、話題にのぼった事柄を確認するのに便利なので多用している。聚楽第図屏風、大坂城鳥瞰図などミニミニサイズだが見ていて楽しい。
歴史上有名人のサイン帳。花押2045点、印章393点が使用した人物名の五十音順に並んでいる。総勢1,112名には天皇、公家、僧、書家・画家などもみられるが武将、大名が大半かな。花押は肉筆なだけに人柄を想像してしまう。個を立てつつ恭順の気持ちも込めてデザインを考えたのかな、筆の勢いとかバランスとか(本人 or 右筆が)何度も練習したのかなと思うと楽しい。バリエーションの豊さ第1位は伊達政宗で花押21種印章9種。細川忠興の印章で「tada uoqui」とアルファベットを使っているのには目を引かれた。雪舟や長谷川等伯らの名前もあってページをめくっていたらあっという間に日が暮れてしまった。
男性ばっかりと思うなかれ、高台院、光明皇后の印章、そして春日局の花押も掲載されている。巻末には没年順の索引があって光明皇后(701~760年没)はその筆頭だ、偉い。
中世から近世にかけて兵庫県下には千を越える城郭があったというが、上下巻で71の城についてその歴史や現状を写真・現況図付きで紹介している。1998年発行。
特に興味深く読んだのが2つ。
・2019年12月、発掘調査後の現地説明会に参加した松原城が「蒲公英(たんぽぽ)城」の名で載っていて、その成り立ちや造成される前の山城の様子が本に残っていてうれしく思った。
・金山城の「(光秀が丹波攻略で)敵中深く楔を打ち込んだのが金山城の築城である」の一文に大いに納得。先の大河ドラマでは描かれなかったので寂しかったが、広重の浮世絵「鐘坂」に江戸時代の金山の姿が(名所・鬼の架け橋がメインで)描かれているとは、へぇ〜!
他に姫路城、置塩城、黒井城、篠山城など計36の城について6人が執筆している。白旗城、利神城は下巻なので図書館で借りようと思う。
安土桃山時代の貿易商人、呂宋助左衛門(るそん すけざえもん)の物語。自治都市堺の盛衰記でもあり、信長の隆盛から豊臣大坂城の落城までの動向が商人たちの目線で語られているところがハラハラドキドキ面白い。安土城、鳥取城、大垣城、伏見城など自分が攻城した城がつぎつぎ出てくるのでそれだけでも読むスピードが早まる。
個人的には戦場で開かれる茶会の様子を興味深く読んだ。更に秀吉と千利休の関係性(エピソード)の描写が巧みで、利休が死に至る道すじが示されていて納得。ルソンで客死する高山右近の信仰の深さも絶妙にストーリーに絡み印象に残った。
大河ドラマの原作であり、放映時の記憶として鮮烈なのは善住坊の鋸引きのシーン。四十数年ぶりの再放送(4月からBSにて)ではあそこもここも興味津々、ドラマでどう描かれているかを注視している。
源頼朝から徳川慶喜まで「幕府の長としての将軍」39名がずらりと並んでいる。ビッグネームも儚い存在も一人ひと項目ずつ(同一人物だが足利義材と義稙は二つの項目に分けて)公平に取り上げた「総覧」だ。
出色はコラムで、将軍になれそうでなれなかった面々の紹介が面白かった。その一人、尾張藩主・徳川宗春は地元では「名君として愛されていた」とか。いつか名古屋城攻城の暁には郵便ポストの上の宗春公も見てこようとグーグルマップに印をいれたところだ。
私は歴史に疎く見逃しが多いが、将軍を軸にして日本史の常識をこの「総覧」は補ってくれる。「日本坊主列伝」とともに貼りまくった付箋のところを読み返し、城下町探索に深みを持たせたい。
2022年3月に増刷と聞き予約して購入。帯に「在りし日の城の姿!」とある。初版同様、100城全126点。精密な鳥瞰・復元イラストには構造としての城だけでなく、人々の営みも書き込まれているものも多くて気に入ってます。人々が関わってこその城だと思うので。
石垣山城は天守台建設中で人々が土木工事をしてるし、杉山城では堀に渡された木橋を人が通ってます。亀居城に舟入があったことはこの本で知りました。伏見城のページには在りし日の巨椋池が広がっています。城が躍動していた頃の姿を眺めてうっとりするのはロマンと言うのかな。出版社はワン・パブリッシング。
これまで個々の城に行った際にうっすら感じた疑問が一つ一つ氷解していくので一気に読み終えた。
櫓、城門について網羅的体系的、かつ具体例にそって詳細に書かれている。ページ数こそ少ないが土塀についても詳しく類型されている。
櫓の名称(の変遷)について明解に述べられていて大いに納得したが、大坂城大手門についての厳しい指摘は“マイ推し門”なだけにちょっと凹んでしまった。
索引がないので少し不便と思われるが、図書館へ返却後も度々確かめたくなると予想されるので購入必至。
江戸の遺構を外堀から内堀、大名屋敷(庭園)、寺社、土木遺産と巡り、最後に江戸城本丸へ登城するという章立て。カラー版とある通り写真が多めだが新書であることに変わりなく、柔らかな文章で意匠や成り立ち(歴史的変遷)についてしっかり知識欲(確認欲?)を満たしつつ江戸への「時間散歩」に連れ出してくれる。読みたいところから行きつ戻りつ熟読しているが、ぜひとも足を運びたい遺構が一気に増えてしまった。
2021年初版で写真はすべて著者撮影とのこと。本書の「おわりに」に「摩天楼の乱立する東京のなかに、誇りうる江戸の遺産を見つけるための一助に」とあるが、お上りさんの私には一助以上である。
この本は日経新聞の土曜朝刊別刷に掲載中の「何でもランキング(1〜10位)」の旅に関する記事をまとめたもの(2019年8月発行)。《第1部、絶景を見に行く》のコーナーには「闇夜に浮かぶ城、冬こそ必見」、《第2部、そぞろ歩きを楽しむ》には「1日で散策満喫、ほどよいサイズの城下町」のページがあってそれぞれ10の城と城下町が紹介されています。松本城と弘前城は両方にランクイン、また「〜城下町」の方にはこうの団長のコメントや「調査の方法」のところには「お城ファンサイト「攻城団」などの推薦や…」というちょっと嬉しい表記も。
たまには攻城しないお出かけ先を探してみようと久しぶりに書棚から出したのですが、やっぱり「城、城下町」のページを真っ先にチェックしました。さて、同行者の満足ポイント(街歩きと地元の食やお酒)があって、ほどよく攻城できる次の行き先はどこになるかな。
千姫が比類なき姫であったことがお付き女中〈ちょぼ〉の視点から語られていて、愛すべき千姫像が浮かび上がります。
ゆかりの地名「上野新田郡世良田」や柳生家の副紋(そえもん)「二蓋笠」など、私にとってのときめきワードが続々出て来てあっと言う間に読了、藩主本多忠政の住まい(現ぼたん園の辺り)より一段高い西の丸に千姫と忠刻の住まいがあったことに大いに納得しました。
千姫が神社に奉納した羽子板(複製)は姫路城百間廊下に、菱の門二階(特別公開、2023年3/12まで)には後世の黒漆塗長持(現物)が展示されていますが、双方に付けられた「葵の御紋」に徳川家との強いつながりが感じられます。
さて、作中に出てくるいくつかの城の中で未攻城なのは桑名城。調べたら、物語の中で丁寧に描かれる「蟠龍櫓」の写真が色々な角度からアップされていて即「♡行きたい」のボタンを押しました。
攻城団のサイトの「地図から検索する」が紙ベースもあったらいいのになぁ、という願いが叶った本です。小学生の頃から良く馴染んでいる「地図帳」のお城版で城写真や資料も満載されています。県別地図の他に、城によっては縄張り図や古地図、鳥瞰図、勢力図など、巻末には「鉄道図」も。特集やコラムも楽しいです。帝国書院の「旅にでたくなる地図シリーズ」の一冊。奥付けのページには攻城団の名前がありました。A4版でずっしりしてますが雨の日や旅のお供にしたいと思います。
福井県小浜市太良庄という農村の土地を巡る訴訟の記録がこんなに克明に残っているのはなぜ?第2章のページをめくる手を止めて、著者の研究対象の一つ「東寺百合(ひゃくごう)文書」をググッてみて驚いた。京都の東寺には8世紀からの膨大な古文書が保管されており、江戸時代には加賀藩主が文書保存のための桐箱を百個寄進したことも今回初めて知って震えてしまった。WEBでは各函をタップすると文書そのものを見ることができるのだが一般人が全容を把握するのは到底ムリ。高名な歴史学者が読み解いた著作も全集の形だったら尻込みしていたかもしれない。そこで本書、2023年12月発行の岩波文庫版である。私のような歴史に疎い者でも、巻末の清水克行氏の解説や「本書のおもな登場人物」を頼りに読み進むことができた。この文庫本は出版翌月には最寄りの図書館の蔵書となり、攻城団テレビで榎本先生オススメの本に選ばれている。北条泰時の名もチラッと出てくる歴史ツアーに日々の雑事を忘れて没頭してしまった。
曜変天目と呼ばれる国宝の茶碗、3碗をたっぷり鑑賞できる一冊。雑誌らしいカジュアルな切り口で、基礎知識から茶の湯と茶碗の変遷まで網羅している。とじ込み付録の「名茶碗図鑑30」では松江藩主松平不昧のコレクションの一端をみることができる。
マンガあり、8Kカメラの超ドアップあり、年表ありと巧みな構成。2019年の雑誌だが、カフェで手にして読みふけってしまったのでバックナンバーを購入した。永久保存版と思っている。
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