攻城団からのお知らせ

フィールドワークがはじまりました

いよいよ新年度です!
前回までは七尾城についてのフィールドワークとマップづくりでした。3年生になったので4月からは七尾の市街地に出て、観光に来られた方にめぐってもらいたい場所を自分たちで調べて、マップにするという作業に着手します。

今回のプロジェクトでおこなう市街地フィールドワークの対象先は2か所と最初に決まっていました。
ひとつは「山の寺寺院群」と呼ばれる、寺院が集まっている場所です。もうひとつは七尾駅前を中心とした市街地です。まず4月13日に「山の寺寺院群」へフィールドワークへいくことになっていましたので、前日に観光の授業のひとコマを使って、

  • なにを調べるのか
  • なにをきいてくるのか
  • 戻ってきた後、どう整理するのか
  • グループ分けと役割分担

について事前学習をおこないました。

あけて当日。「山の寺寺院群」近くの駐車場に集合してフィールドワークがスタートです。 ちなみに昨年度いってきた七尾城は山のほうですが、「山の寺寺院群」は反対の海(七尾湾)の近くにあります。前田家が築城した小丸山城のすぐそばですね。

「山の寺寺院群」にはかつて29の寺院があったそうです。現在は16寺院と数が減ってしまいましたが、往時とおなじく小高い丘周辺に固まっています。
今回のフィールドワークも市内のボランティアガイドの方に同行していただき、詳しい説明をしていただくことになっていました。

もともと七尾城下には多くの寺院があったそうです。それがいまなぜ七尾城と離れたこの場所に寺院が集まっているのか。七尾城の城下町から移転してきた寺院はどれか。こういったことも今回のフィールドワークで学ぶ予定です。

能登畠山家が滅亡したあと、前田利家が城下から移転させたり、城下以外からも移転させた寺院があったそうです。







お寺ごとのいわれや見どころを聞きながらメモをとったり、写真撮影をしたりど大忙しです。

たとえば「龍門寺」という寺院があります。
ここは能登畠山家4代目義元の菩提寺でもあるようで、古文書も多いとか。また長谷川等伯筆の達磨図が所蔵されているそうです。

「寺院群」というだけあって、かなり広いです。竹林をとおって移動すると小丸山城跡が見える位置にきました。

写真の真ん中あたりの桜が咲いているところが小丸山城跡です。

風雪ですこし汚れていましたが、案内板もありました。

これを見て自分たちがいまどこに立っているのか、目の前にある小丸山城跡が(いまは公園ですが)、かつてはどんなふうになっていのかをすこし想像できた様子でした。

ここまで約半分の寺院をまわって午前中が終了。ランチを食べて午後の部に備えます。
ちなみに「山の寺寺院群に来たことある人?」と聞かれていましたが、来たことがある生徒さんはひとりもいませんでした。ぼくもそうでしたが、若い人は寺社めぐりをしないですよね。でもいろんな歴史との関係性を知ることで少しでも興味を持つ人が増えたらいいですよね。

午後からは案内人の方にもう2名加わっていただき、さらに詳しい話を伺うことができました。

この寺院では本堂にも入らせていただきました。ここ本延寺は長谷川等伯の実家の菩提寺で、等伯が七尾時代に彩色寄進した木像があるからです。

庫裏(くり)の裏に通していただき、彩色された実物の木像を見せていただくことができました。なかなか貴重な体験をさせていただきましたね。

大きな境内でしたので、記念撮影をすることに。

このほか高山右近が滞在していた寺院もまわりました。高山右近のことは新聞に載ったこともあって、名前を知っていた生徒も数人いました。

その後もさまざまな言い伝えがある寺院をめぐりました。
畠山家や前田家といった能登の統治者はもちろん、高山右近像や長谷川等伯の足跡、八百屋お七の供養碑まであって、いっしょに回った大人たちも知らないことだらけでした。

こうして地元のことを改めて知る機会は大人にとっても貴重な体験ですし、なにかの話のきっかけになればいいですよね。国道沿いにあるので、ふだん通り過ぎていて、「見かけたことあるー」というお寺の中にも入ってみます。

境内に入るとじつは階段があって、山門の上に登ることができました。日常とは少しちがう景色が見えることが新鮮だったようで、声もあがっていましたよ。

ちなみガイドさんによると、眼下の道はかつては海だったそうです。このお寺がある場所は小さな島だったそうです。そこで地名も「小島(小嶋)」というのだそうです。

七尾城の城主だった畠山家は京文化を積極的に取り入れていたため、京都から七尾を訪ねてくる方も多かったそうです。そして訪問された方とこの付近で舟遊びをしていた記録も残っているんだそうです。

こうして午前中から午後にかけておこなわれた「山の寺寺院群」をめぐるフィールドワークが終了です。16の寺院をたっぷり(それでも駆け足で)4時間かけて全員でまわりました。

古くからある寺院を見ていくといろんな歴史の連続性や、大名家とのかかわりを学ぶことになりますね。

「山の寺寺院群」には

  1. 能登畠山家に関係する寺院
  2. 長谷川等伯が関連する寺院
  3. 前田家の能登統治時代に関係する寺院

とおおきく3つにわかれます。

ひとつ一つの話は別々の話なのですけれど、すべては歴史の流れのなかでそれぞれに繋がりあっているんですよね。高山右近が追放されるまで滞在していた寺院には、近年の報道で高山右近を知り、訪問される方も増えてきているのだとか。

さて、このたっぷりの情報をどうやってマップにしていくのか。
まだ来たことがない観光客の方にどうやって伝えていくのか。とっても大変な課題ですが、新3年生になった彼らがどうクリアしていくのかが楽しみです。

「七尾歴史たびマップ」の制作は一般財団法人せせらぎ財団の支援をうけています
   
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七尾城プロジェクトのお知らせ
攻城団は七尾商工会議所、のと共栄信用金庫と共同で「七尾城を中心とした観光開発事業」に取り組んでいます。現在は石川県立七尾東雲高等学校に協力いただき、七尾城や七尾市内の観光マップを制作しています。
プロジェクトの様子は随時レポート記事でお伝えしていますので楽しみにしていてくださいね。七尾城へもぜひお越しください!

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