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墨俣城を攻城(1)墨俣城の歴史

先日、愛知県にいく用事があったので、帰りに墨俣城に寄ってきました。

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墨俣城の歴史

よく知られるように、墨俣城は墨俣一夜城とも呼ばれていて、かつて織田信長が斎藤氏の居城である稲葉山城を攻めるために、木下藤吉郎(のちの豊臣秀吉)に築城させた城です。
じっさいにはこのへんの記録はあいまいなんですけどね。

築城時期は不明で、1561年(永禄4年)とも1566年(永禄9年)ともいわれています。 ちなみに1561年は斎藤義龍が急死して、その嫡男・斎藤龍興が後を継いだ年で、この年に信長は美濃に出兵して勝利をおさめています(森部の戦い)。なのでその年に築かれたとする説がひとつ目ですね。この年は桶狭間の戦いの翌年でもあります。 もうひとつの1566年のほうは西美濃三人衆(稲葉良通・氏家直元・安藤守就)の調略に成功して、いよいよ稲葉山城を落とす前年にあたります。部下の誰もが成し得なかった、墨俣への築城を木下藤吉郎が成し遂げて、織田軍は美濃を征服し、秀吉はここからトントン拍子で出世していくという話は有名ですね。 ちなみに1562年には家康との同盟も結んでいます(清洲同盟)。お市の方が輿入れして浅井家と同盟を結ぶのは1564年です。 信長はこうして美濃を孤立させて、非常に論理的、合理的に攻めてますね。墨俣城が建てられた場所(長良川西岸)は交通上・戦略上の要地でしたから、ここを押さえてから美濃攻略が長引いたと考えづらいですし、おそらく1566年説のほうが正しそうですね。 また小瀬甫庵著の『甫庵太閤記(ほあん たいこうき)』には「永禄9年(1566年)に秀吉は敵地の美濃国内で新城の城主になった」という記述があります。これは墨俣城のことを指しているとされていて、1566年説が有力なのかなと。 また墨俣城はその後、小牧・長久手の戦いに備えて当時美濃を支配していた池田恒興の家臣、伊木忠次が1584年(天正12年)4月に改修したとされますが、合戦の2年後の1586年6月に起きた揖斐・長良川の大洪水で被害を受けて、そのまま修復されることなく廃城になったといわれています。 その墨俣城ですが、城というよりは前線基地としての砦でした。 だから天守はありません。堀と馬防柵、あとはせいぜい小さな櫓があったくらいでしょう。 ちょっと反射しちゃって見づらいいですけど、こんな再現模型もありました。 DSC01040 この模型が展示されているのは墨俣一夜城歴史資料館(大垣市墨俣歴史資料館)です。 天守はないので明らかな模擬天守なんですけど、冒頭の写真にあるものがそうです。なんでも大垣城の天守を模して建てられたそうですね。 ぼくは模擬天守は(元々なかったものをでっちあげてることになるので)あまり評価してなかったんですけど、今回この墨俣一夜城歴史資料館を訪れて、評価をあらためることにしました。 なんにもしないよりぜんぜんいいですし、歴史を語り継ぐにしても、やっぱりベース基地になるような「場」は必要ですからね。 つづきます。
   
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