萩城は徳川幕府との緊張状態にあったこともあり、江戸時代に築かれた城としては珍しく、いわゆる「詰めの城」を備えていました。
本丸背後に立つ、指月山の山頂に設けられており、案内板には「萩城要害跡」とも表記されています。
石垣と土塀で囲まれた本格的な城郭で、東側の上段を本丸、西側の下段を二の丸として、石垣と塀で仕切られていた両者の間は棟門で繋がれていました。
二の丸の南側に枡形虎口と櫓門による表門があり、本丸東側に裏門として埋門があります。
現在は残念ながら、詰丸には現存する建物はなく、また天守があったという記録もありませんが、二の丸には海と陸を監視する番兵たち(平時でも6・7名が泊まり込んでいた)が詰める番所と居小屋が、本丸には藩主のための茶屋があったとされます。
また、門櫓以外に7基の櫓が建てられており、櫓には籠城戦のために武器が備えられていました。なお、山頂には井戸がないので水溜があり、1965年(昭和40年)に土塀の一部と共に復元整備されました。
石垣とする石を切り出した石切場も残されています。
詰丸跡(国指定史跡萩城跡の一部)
萩城は、山の名をとって指月城とも呼ばれ、ふもとの平城とあわせ山頂に詰丸を設け、せまいながら本丸・二の丸を置いて陸と海とを監視するため、矢倉数箇所・天水溜二箇所などをもつ望楼であった。
昭和四十一年度に山口県の補助をうけ、市民の憩いの場として整備され、登山道約七百三十メートル、所要時間二十分で詰丸跡に達します。
指月山(国指定天然記念物)
今から約三百年前から、お城山と呼ばれていたこの指月山城は、犯しがたいものとして人手を加えられないままに、樹木は成長し現在ではうっそうと木木は茂り、美しい森林となっています。
シイ・タブノキなどの常緑かつ葉樹が最も多く、落葉樹もまざり、ふもとの海岸には黒松林があって、この附近ではめずらしい原生林であります。
指月山のミカドアゲハ(萩市指定文化財)
ミカドアゲハは南方産の蝶であって指月山では昭和三十二年にはじめて発見されました。
現在わが国における本種分布の北限地であります。
捕らえないように保護しましょう。萩市教育委員会
山麓にある萩城本丸からは20分程度でのぼることができます。
旧厚狭毛利家萩屋敷長屋に展示されている模型には山頂の詰丸も再現されています。