新しいバッジとして「東北三名城」のバッジを公開しました。
じつはこの「東北三名城」という言葉は昭和に入ってからつくられた呼称で、だからバッジの地図も(旧国ではなく)現代のものを使用しています。
攻城団ではこの手の呼称をバッジに採用する際はできるだけ事実確認をするようにしているのですが、今回も対象となっている(そしてパンフレット等で自ら使用されている)自治体や観光協会に問い合わせました。
じつは当人たちも経緯や出典がわからずに使っているケースもけっこうあるのですが、ありがたいことに今回は盛岡市の教育委員会から回答をいただくことができました。以下、概要を紹介します。
大類伸(おおるいのぶる)という大正時代の城郭研究家の方が『歴史講座 城郭之研究』という書物で、盛岡城、会津若松城、白河小峰城の3つの城が東北地方の城郭のなかで石垣の傾斜や積み方などが美しいという趣旨の文章を書かれたそうです。
それを読んだ盛岡市の誰か(どこか)が、「これは東北三名城だ」と言い出したのが広まって、「東北三名城」という呼称が定着したのではないかと推察されます。
盛岡市が言い出したようですが、「誰が」ということはわからないです。 盛岡市教育委員会・歴史文化課よりいただいた回答
さっそく本を探してみました。
若干署名は異なるのですが、同じ日本学術普及会から出ている『城郭之研究』を古本で入手することができました。調べてみると内容はおそらく『歴史講座 城郭之研究』と同じようです。
ただですね、どこを読んでもじつは「盛岡城、会津若松城、白河小峰城が東北のお城でベスト3」といった主旨のことは書いてないのです(ざっと流し読みしただけなので見落としている可能性はありますが)。
東北地方のお城について書かれたページを見ていると、むしろ仙台城を絶賛しています。それっぽい箇所を引用しますね。
此の外叉白河、盛岡の如き東北の名城たるものであらうが、仙臺、會津に比すれば頗(すこぶ)る遜色なきを得ない。蓋(けだ)し京阪地方に於て姫路、名古屋、大阪の三城が有して居る地位は、東北地方に於ては必ずや雄大なる仙臺城、整然たる會津城の二者でなければならぬと思ふ。 『城郭之研究』P.220
ちょっと昔の文章なので正確に解釈できているか自信がないんですけど、「白河(白河小峰城)と盛岡城も名城ではあるけど、仙台城や会津若松城と比べたら評価は落ちる。東北の名城は仙台城と会津若松城だよね」と読めます。
このほかのページでは秋田城や米沢城、弘前城についてもいい城だと書いてありました。
ちなみに大類先生は日本城郭史の研究者として有名ですが、東北帝国大学の教授だったのでじっさいにこれらのお城には何度も足を運ばれたのだろうと思います。とくに当時は会津若松城や白河小峰城の天守は復元されてなかったでしょうから、縄張りや現存する石垣などを基準に評価されたのでしょう。
今回そのものズバリな内容を見つけられなかったにもかかわらず、なぜバッジとして採用したのかというと、通称としてそれなりに定着しているのであればべつにいいんじゃないのかと思ったからです。「○○三名城」は学者が言ったから正解というものでもないですし、盛岡市のどなたが言い出したのかはわかりませんが、そこから数十年かけて「東北三名城といえば盛岡城、会津若松城、白河小峰城」という認識が広まっているならそれはもう十分だと思います。
ぼくらはあくまでもお城めぐりを楽しんでいただきたいと思っているだけで、そのきっかけとしてこうしたバッジを用意しているにすぎません。
だからあまり厳密に検証して採用可否を判断するというよりは、いちおう調べられるだけのことは調べた上で、あとは紹介する価値があるか、バッジ獲得を楽しんでもらえそうかということを重視して、これからもバッジを増やしていきたいなと思っています。
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