本日から榎本先生の連載「10大戦国大名の実力」をブログで公開していきます。
この連載も過去に出版された『10大戦国大名の実力』(SB新書)をもとに再編集したものです。
伊達家、佐竹家、上杉家、北条家、武田家、織田家、斎藤家、毛利家、長宗我部家、島津家――いずれも戦国時代を好きな人ならなじみのある大名家です。有名武将も輩出していますし、このうち半数は江戸時代まで存続しています。
この10家の由来もバラバラです。鎌倉時代からつづく名門武家もいれば、下剋上によってのし上がった大名家もあります。織田信長の家(弾正忠家)が尾張の下四郡を治める守護代・清洲織田氏の配下の三奉行家のひとつにすぎなかったことは有名ですね。
戦国時代を俯瞰しても一代で世に出て大名レベルにまでのし上がることができたのは豊臣秀吉など数例しかなく、ほとんどすべての戦国大名は代々を通じて力を蓄え、家臣団を強固にして大きくなりました。まさに「家」の重要性です。
この連載では「家」や「血族」に注目して、なぜその家が戦国大名として生き残れたのか、成功と失敗の分岐点はどこにあったのかといったことを読み解いていきます。
歴史を点ではなく線で捉える、というのは攻城団も主張する歴史の楽しみ方ですが、まさにその視点で書かれた本なのでぜひみなさんも楽しんで読んでみてください。
最後に榎本先生からコメントをいただけたのでご紹介します!
【10大戦国大名の実力】戦国大名と「家」の基礎知識 - 攻城団ブログ - お城や歴史のおもしろくてためになる記事がいっぱい!
まずは戦国大名とは、大名家とはなんなのかという基本的なところを押さえておきましょう。ぼくらはついつい江戸時代の大名をイメージしがちですが、戦国時代(とくに戦国時代初期)の概念は少しちがっていました。
なお余談ですが、ぼくは「歴女」という表現が好きではありません。
歴史にかぎらず「○女」という表現に良くないニュアンスが含まれていると感じてしまうからです。どんな趣味であれ、年齢や性別に関係なく楽しめばいいし、それを「○女」や「○○おじさん」と分類し、命名するのは断固反対です。
そのため、榎本先生のコメント冒頭(この文章は新書のまえがきから引用して加筆修正)については削除することも検討しましたが、ここで述べられている歴史ゲームファンが戦国時代に注目して全国のお城や博物館に足を運んだのは事実であり、またそれまで男性比率が高かったがゆえに(ゲームファンには当然男性もいるけれど)女性が目立ったことも事実であることから、原文をそのまま載せることにしました。
もちろん榎本先生に女性を蔑視・軽視する意図がないことも理解しているからです。
攻城団はこれまでも、これからも老若男女すべての方が自由に歴史を楽しめる環境をつくっていくことをお約束します。
toproadさんが城がたり「よくわかる小牧山城」を企画してくれました。愛知県小牧市と調整してくださり、学芸員の方にZoomで話していただけることになりました。小牧山城の歴史、発掘調査の成果など、いろんな話が聞けると思いますのでぜひご参加ください。
つづきを読む昨年に続いて第6回目となる団員総会を開催したのでレポートを書きました。今年は去年と同じ会場でしたが、内容はかなりアップデートしています。とくに「お城ビンゴ」は盛り上がったので、今後の定番ゲームにしていきたいですね。来年はさらに多くの団員と集まりたいです。
つづきを読む美濃守護・土岐氏の庶流である久々利氏の居城、久々利城にも攻城団のチラシを置いていただきました。可児郷土歴史館と久々利地区センター、さらに可児市観光交流館で入手可能です。
つづきを読む小栗信濃守によって築かれた本陣山城(御嵩城)にも攻城団のチラシを置いていただきました。「東美濃の山城を制覇せよ!」キャンペーンの缶バッジ受取場所でもある、御嶽宿わいわい館で入手できます。
つづきを読む土岐明智氏の居城であり、戦国時代にはその一族である妻木氏の居城になった妻木城にも攻城団のチラシを置いていただきました。もとてらす東美濃で入手できます。
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ゼロ年代あたりからの戦国時代ブームもすっかり定着した感があります。
振り返ってみてもビックリなのは、このブームを動かしていたのは従来「歴史ファン」という単語から想像される人々だけではなく、一見、歴史に全く縁がなさそうな女性――人呼んで「歴女」たちの存在があったことです。
ブームの火付け役になったのは、コーエーの『戦国無双』やカプコンの『戦国BASARA』などの戦国時代を舞台にしたゲームや、『風林火山』『天地人』『真田丸』といったやはり戦国時代ものの大河ドラマのヒットでした。近年だと『刀剣乱舞』もそうですね。
おかげでTVではしょっちゅう歴史ネタの番組をやっていますし(かくいう私もその種の番組で取材を受けたことがあります。ひどく緊張してガチガチでした)、書店でも戦国時代を扱った本が山のように積まれているのを見ることができます。ただ、そうした本の多くは戦国武将たちのキャラクター性やエピソードに注目しているものがほとんどだったりします。
面白いところでは、「聖地巡礼」と称して戦国武将ゆかりの史跡や博物館、祭りなどに出かける女性の数がぐっと増えた、というのもあります。コバルト文庫の小説『炎の蜃気楼』のファンや、新撰組のファンなどが同じような行動をするのは以前からよく知られていましたが、それがここまで広まったのは近年のことです。これも、キャラクター性への注目ですね。
一方の私は研究者ではないものの、史跡めぐりが趣味で、本も小説もゲームも「歴史」と名のつくものは一通り触って見るのが信条の歴史ファンです。なにか別の視点から、戦国時代を切り取ることはできないものか――そこで思いついたのが、「家」に注目することでした。
「ローマは一日にして成らず」という言葉があります。同じように、戦国大名の基本構成単位である「家」もまた一日にしては成らない。そこには数百年から千年に及ぶ、綿々たる歴史が隠されているのです。
本連載のコンセプトはその「家」をとっかかりとして、戦国大名の真の姿に迫ろうというものであります。そのためにバラエティに富んだ十家の戦国大名を用意しました。彼らがどのように始まり、どのように戦国時代を迎え、そしてどのような結末を迎えたのでしょうか? それらを紹介する中で、戦国大名の実情が理解出来るような内容を目指しました。
そうしていくつもの「家」を見てきてまざまざと実感させられたのですが、戦国時代の「家」と現代の「企業」にはかなり近い部分があります。どれだけ時が経過しても、人間の作る組織はそうそう変わったりはしない、ということでしょう。
成功する「家」の形、失敗する「家」の形は、そのまま成功する企業の形、失敗する企業の形になります。そうした組織論の部分でも本連載を楽しんでいただければ幸いです。
なお、本連載で「戦国大名」と表記した場合は家や氏などの血族を中心とした武力・政治集団を示し、その頂点にいるリーダーは「当主」と表現します。大名は当主を指す言葉として一般的には使われることが多いのですが、本連載では血族を指す言葉として統一しています。
織田信長や伊達政宗といった傑出した個別の当主の力量のみを論じるのではなく、彼らを輩出した「家」や「血族」などの総体を戦国大名として捉え、読み解いていくのが狙いです。この連載の元になった本のタイトルを『10大戦国大名の実力』としたのも、そのような文脈においてのことでした。
それから、「氏」と「家」の使い分けについては、複数の「家」を含む血族集団を「氏」と表現しました。ご了承願います。