2017年8月26日(土)、石川県七尾美術館で「七尾歴史たびマップ」の第1回目の完成報告会がおこなわれました。報告会では今回マップを制作した14名の生徒のうち、6名が登壇して発表してくれています。
(第1回目、と書いたのは今年度中にあと5回報告会の開催が予定されているからです)
夏休みとはいえ、さまざまな行事があって、生徒たちはとても多忙な様子でした。
そんな日々のなか、スライドをつくり、話す内容を考え、スライドを修正して、再度読み合わせをするといったことが本当に前日までおこなわれていました。
そして迎えた当日、開場時間になると徐々に人が集まりはじめました。受付は登壇しない生徒たちが担当してくれました。
会場が8割くらい埋まったところで定刻となり、いよいよ報告会のはじまりです。
まずは今回の報告会の主催者である、七尾東雲高等学校の川内校長の挨拶です。
つづいて七尾教育委員会教育長の高教育長の挨拶です。
教育長は最近、市内でお店をされている方から「観光客から七尾城跡への行き方を聞かれることがあるのだけど、どう案内すればいいのか」という相談を受けたことがあったそうです。まさに今日発表するマップはその課題を解決できそうな予感がしますね。
おふたりの挨拶がおわり、いよいよ発表本番です。
(彼女たちが今回発表する6名です)
まずはどうしてこの「七尾歴史たびマップ」をつくることになったのか? ということを改めてこの日お越しくださった方と共有します。
七尾市は年々人口が減少していること、つまり過疎化は将来の話ではなく現在進行形で進んでいることをグラフで説明しています。
また七尾市全体の観光客入込者のなかで七尾城跡の訪問率が非常に低い、といった説明がありました。
こうして数字で見ると、改めて現実的な課題として目の前に突きつけられた感じがするのかもしれません。会場の空気がなんとなく重くなった気がしました。
定住人口を増やすことは簡単ではないので、まずは観光に訪れてくれる「交流人口」を増やすということを目的はじめたのが本プロジェクトでした。
そしてその最初のステップとして実行したのが今回の取り組みです。
つづいては生徒ごとに担当パートを順番に説明していきます。
最初は七尾城跡についてです。「七尾城跡を知っていますか?」という問いかけに会場から手があがります。「七尾城跡に行ったことがある人はどのくらいいますか?」という問いかけには、その半分くらいの方が挙手していました。
そして昨年末に実施した七尾城跡フィールドワークについて説明がはじまりました。雪の降る、寒い時期でしたが「七尾城山を愛する会」の方々にご協力をいただいて現地を訪問しました。
春には山の寺寺院群と市街地のフィールドワークをおこないました。
フィールドワークで見学した寺院を、現地で伺ったエピソードとあわせて紹介していました。
当日も話していましたが、半日かけてもすべての寺院をまわることができなかったんですよね。
このあたりは当日参加された地元の方も案外訪れていない、穴場スポットです。
報告はそのまま市街地フィールドワークの説明に移ります。
どういった店舗があるのかをはじめ、七尾駅近くに前田家によって築城された小丸山城址公園があることなど、自分たちが見聞きしたそれぞれの見どころを説明してくれました。
さてここまではフィールドワークで学んだことの共有です。
つづいてはこの日配布されたマップの制作についての説明がはじまりました。マップは来場された方全員に配られていましたので、みなさん手元のマップを見ながら話を聞いていました。
マップの土台をつくり、着色して、アイコンをつくり、説明する文章を書き、それらを土台に貼り付けていく――言葉にすると単純な印象を受けますが、じっさいはかなり試行錯誤しながらの作業でした。
(その様子は過去のレポートをお読みいただいたみなさんにはご理解いただけることでしょう)
会場の方々もマップを見つつ、どういった作業だったのかなと想像されていたのでしょうね。
マップは表裏どちらの面にも「七尾城跡への行き方」が記載されています。地元の人ならクルマで本丸北駐車場へ行くことが多いのでしょうが、電車で来られた観光客の方にとっては「どうやって行けばいいの?」という疑問を持つ方もいらっしゃいます。その点はフィールドワーク時に観光案内所で話を伺っているのでまちがいありません。
このマップがあれば大丈夫です。冒頭の挨拶にあった、教育長が市民の方から相談された課題を解決するにはうってつけのマップですよね。
お城へ訪問される方の移動手段はクルマやバスだけではありません。攻城団の団員にも電車やバスで全国のお城をまわっている方がたくさんいらっしゃいます。
とくに駅から遠い場所にある(徒歩圏内ではない)城址へのアクセス方法や経路案内は、今後「観光客にもっと来てもらいたい」と考える地域が最初に手をつけなければいけないポイントなのかもしれません。
このほかマップの欄外には七尾の名産物が掲載されています。
見慣れていてもその歴史や由来までは知らなかったものばかりです。こうして地元の歴史や伝統を知るということはほんとうに大事なことだと思います。
ちなみにマップにはQRコードがついています。読み込むと攻城団の七尾城のページにリンクしています。
ふと見ると、さっそく会場でQRコードを読み込んで、城メモを読まれている方がいらっしゃいました。このプロジェクトがはじまったときは6記事だった城メモもいまは38記事となり、閲覧数も大きく伸びています。
報告会も大詰めです。これからの計画についての説明になりました。
まずはいままでも折に触れてお伝えしてきたように、生徒たちは七尾城跡のガイドをつとめるための練習をはじめます。ガイド練習は「七尾城山を愛する会」や七尾城跡がある地区の「矢田郷公民館」のみなさん、「七尾観光ボランティアガイドはろうななお」の方々の協力をいただいて取り組みます。
うれしいことに、七尾東雲高等学校はこの高校生によるガイドを今回かぎりで終わらせるのではなく、来年以降も継続実施して、次の学年に継承していくことを計画しているそうです。
彼女たちののガイドデビューは9月16日(土)となっています。地元学生による現地ガイド自体が珍しいことですが、そのデビューに立ち会えるというのはなかなか貴重な機会です。
参加希望の方はこのページの最後に用意したフォームからお申込みください。当日は団長やぼくも参加する予定ですので、ご都合がつくかたはぜひご参加ください!
さて、いよいよまとめです。
今回マップをつくるためにフィールドワークに出向き、市内の各団体の方、店舗の方をはじめとした多くの方々にご協力いただきました。この体験を通して「知らなかったことを知る楽しさ」や「共同作業の大切さ」を理解し、「まだまだ知らない地元のことがたくさんある」ことを実感したそうです。
また知っているからこそ、第三者に伝えることができるようになる、ということにも気づいたそうです。「あなたの地元はどんなところ?」と聞かれたとき、とくに卑下しているつもりもなく、ごく自然に「ウチの地元は何もないよ」と答えてしまう方は多いと思います。でもそれはたんに自分が地元のことを知らないだけなのかもしれません。
たくさんのことをこれからも知り、学んでいくことで、七尾に来られた方に伝えていくことができそうです。またもし自分が将来どこかの街で暮らすことになり、誰かに聞かれたとしても「七尾にはこんないいところがあるよ」「こういった歴史がある街だよ」と答えることができるんじゃないでしょうか。
こうして6名の生徒による報告は終了しました。
今後、石川県内各所で報告会があと5回予定されています。その際は今日登壇できなかった生徒が代表して報告する予定です。次回はガイドを体験してみたスライドも追加されていくでしょうし、内容は随時アップデートされていきますので、またのレポートを楽しみにお待ちください。
このあとは講評として、こうの団長が少し話をさせていただきました。
団長は、観光客がその街の印象を決める大きな要素は、観光協会の方やホテルの方などいわゆる観光業に携わる人たちじゃなくて、むしろ地元で暮らすふつうの人たちの対応なんです、ということを話していました。
講評の様子を撮影したので、ご覧ください(音が出ますのでご注意ください)。
最後に七尾商工会議所の大林会頭からの講評です。
昨年11月のキックオフセレモニーがはじまったときは「いったいどういう仕上がりになるんだろう」と一抹の不安をお持ちだったとか。しかし今日の報告を聞いて、想像をはるかに上まわる出来栄えと、取り組み姿勢にとても感激されたとおっしゃっていました。またこの取り組みを継続していくことで、商工会議所としても地域活性化に貢献したいとも話されていました。
最後に生徒さんたちと記念撮影です。
文中で触れているように、このあとは9月16日(土)に生徒が案内役となる七尾城跡のガイドツアーが実施されます。みんなの練習風景やガイドしている様子もレポートしていきますね。
七尾城跡で開催される七尾東雲高校生によるガイドデビューにご参加いただける方はぜひ以下のフォームからお申込みください!
当日は団長やぼくも参加する予定です。また翌日の9月17日(日)は「七尾城まつり」が開催されますので、ぜひ泊まって参加いただけるとうれしいです(この日も団長とぼくは参加する予定です!)。
イベント名 | 七尾東雲高校生とめぐる七尾城跡 |
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開催日時 | 2017年9月16日(土) 14:00〜16:00(終了予定) |
集合場所 | 七尾城本丸北駐車場 13:40受付開始 ※マップを持ったスタッフがお待ちしています |
参加費 | 無料 |
予定コース | 駐車場〜調度丸跡〜本丸跡〜桜馬場跡〜遊佐屋敷跡〜温井屋敷跡〜二の丸跡〜三の丸跡〜袴腰〜安寧寺跡〜沓掛場〜樋の水〜調度丸跡〜駐車場(約120分) |
注意事項 |
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今後、石川県内でも報告会が何度か予定されています。この報告会も可能なかぎり参加してスライドのアップデート状況などをお伝えできればと考えています。
それでは9月16日にお会いできることを楽しみにしています!
toproadさんが城がたり「よくわかる小牧山城」を企画してくれました。愛知県小牧市と調整してくださり、学芸員の方にZoomで話していただけることになりました。小牧山城の歴史、発掘調査の成果など、いろんな話が聞けると思いますのでぜひご参加ください。
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