勝瑞城館には枯山水庭園があったことが発掘調査でわかっています。
この庭園は、16世紀後半に造営されたものと考えられています。
枯山水庭園(かれさんすいていえん)
枯山水庭園は、水を使わずに石や砂(すな)で水の流れを表現(ひょうげん)する庭園様式です。『作庭記』(さくていき)に「池もなく遣水(やりみず)もなきところに石を立つることあり。これを枯山水となづく。枯山水の様(よう)は片山(かたやま)のきし或(あるい)は野筋(のすじ)などをつくりいでてそれにつきて石をたつるなり」と見えます。
発掘調査(はっくつちょうさ)では、この庭の景石(けいせき)として12個の石〔緑色片岩(りょくしょくへんがん)(青石)9個、砂岩2個、チャート1個〕が見つかりました。それらはいずれも50cm~1mほどの小振(こぶ)りな石で、これらを組み合わせずに単独(たんどく)で配置している点が特徴的(とくちょうてき)です。日本庭園は、自然の風景を集約して身近なものとすることを意図しています。なかでも景石は、形や褶曲(しゅうきょく)、色つや、固さなどその素質(そしつ)を見極(みきわ)めて、山石・川石・海石など作庭者の意図に沿った自然石を用いています。様々な場所から運ばれてきた様々な形をした景石の一つ一つには、作庭者の思いが深く込められているのです。
この庭園は、16世紀後半に造営(ぞうえい)されSB1001とともに廃絶(はいぜつ)したものであると考えられます。