瀬田城
瀬田城

[滋賀県][近江] 滋賀県大津市瀬田2-13


  • 平均評価:★★☆☆☆ 2.29(--位)
  • 見学時間:17分(--位)
  • 攻城人数:280(363位)

瀬田の唐橋

瀬田の唐橋(瀬田橋、勢多の唐橋)は「急がば回れ」の語源ともなった橋として知られています。
日本列島のほぼ真ん中にある琵琶湖から注ぎ出る川は瀬田川だけで、東から京都へ向かうには瀬田川か琵琶湖を渡るしかなく、その瀬田川にかかる唯一の橋であった瀬田の唐橋は京都防衛上の重要地でした。

このことから、古来より「唐橋を制する者は、天下を制す」といわれ、じっさいに壬申の乱や治承・寿永の乱(源平合戦)など数多くの合戦の舞台となりました。そしてそのたびに橋は焼き落とされたそうです。

唐橋を現在の位置に移してかけなおしたのは織田信長で、架橋奉行は瀬田城主の山岡景隆が務めました。
橋は90日で完成し、このときに大橋と小橋の形になったとされます。
この橋が焼け落とされたのは「本能寺の変」のときです。織田信長を討った明智光秀安土城を攻めようとしたため、景隆は唐橋と瀬田城を焼いてこれを阻止しましたが、橋は光秀によってただちに修復されてしまったそうです。

江戸時代には膳所藩(本多家)が管理し、東海道を行き交う旅人で橋はにぎわいました。
当時の様子は歌川広重によって描かれた「瀬多の夕照(せきしょう)」で広く知られています。

『近江八景』シリーズ(歌川広重)のひとつ「瀬多夕照」に描かれた往時の唐橋

1979年(昭和54年)には木造の橋が現在のコンクリート製に造り直されましたが、橋の特徴である擬宝珠(ぎぼし)は歴代受け継がれており、「文政」「明治」などの銘が入ったものも現存しています。

また、瀬田の唐橋は京都府宇治市の宇治川に架かる宇治橋、京都府大山崎町の淀川にかつて架かっていた山崎橋とならんで日本三名橋・日本三古橋のひとつとされ、日本の道100選にも選ばれています。

「急がば回れ」の語源

江戸時代初期の安楽庵策伝『醒睡笑』は連歌師・宗長の歌を引用し、「急がば回れ」の諺の発祥であると紹介しています。その歌は以下のものです。

武士(もののふ)のやばせの舟は早くとも急がば廻れ瀬田の長橋

東から京都へ向かうには矢橋(やばせ)の港から大津への航路がもっとも早いとされていたが、反面、比叡おろしの強風により船出・船着きが遅れることも少なくありませんでした。
瀬田まで南下すれば風の影響を受けずに唐橋を渡ることができ、日程の乱れることもないとして、これを「急がば廻れ」と詠んだそうです。

古田織部と瀬田の唐橋

瀬田の唐橋は戦国時代から江戸時代初期にかけての武将、大名で、茶人としても知られる古田重然(古田織部)のエピソードにも登場します。

千利休が弟子たちが集まっている席で「瀬田の唐橋の擬宝珠の中に見事な形のものがふたつあるが、見わけられる人はいないものか」と訊ねたところ、一座にいた織部は急に席を立ってどこかに行って、夕方になって戻ってきた。利休が織部に何をしていたのか訊ねると「例の擬宝珠を見わけてみようと思いまして早馬で瀬田に参りました。さて、ふたつの擬宝珠は東と西のこれではありませんか」と答えた。利休をはじめ一座の者は織部の執心の凄まじさに感心した。 久須見疎安『茶話指月集』

古田織部を主人公にしたマンガ『へうげもの』にもそのシーンが出てきます。

山田芳裕『へうげもの』4巻、第三十五席「別離のつぶやき」
   

この記事をいろんなキーワードで分類してみましょう。

この記事のURLとタイトルをコピーする
これからあなたが訪問するお城をライフワークとして記録していきませんか?(過去に訪問したお城も記録できます)新規登録(登録は無料です)

瀬田城の城メモ一覧

あなたのお城巡りをより便利に快適に、そして楽しくするためにぜひ登録してください。

新規登録(登録は無料です)

フォローしませんか

攻城団のアカウントをフォローすれば、SNS経由で最新記事の情報を受け取ることができます。
(フォローするのに攻城団の登録は不要です)

今日のレビュー

戦国の終わりを告げた城―八王子城を探る (ロッコウブックス)

おそらく、八王子城の解説本の中で最も重要な一冊でしょう。
八王子城跡が現在のように整備されたのは、落城400年にあたる1990年以降のことです。本書の出版も同時期で、出版後に発見された遺構もあれば、今は目にすることのできない遺構も多数あります。言い換えると、1990年当時の八王子城跡の姿を記録した書であるとも言えます。八王子城に興味を持ってくださった方にはお薦めの一冊です。すでに廃刊となっていますので、古書店か図書館で探してください。
トンネル工事や台風・地震などにより、現在は失われてしまった石垣などの貴重な写真も多数掲載されていますが、白黒で小さいため分かり辛いのが残念。

赤ヱ門さん)

書籍ページを表示する

すべてのレビューを表示する

フィードバックのお願い

攻城団のご利用ありがとうございます。不具合報告だけでなく、サイトへのご意見や記事のご感想など、いつでも何度でもお寄せください。 フィードバック

読者投稿欄

いまお時間ありますか? ぜひお題に答えてください! 読者投稿欄に投稿する

トップへ
戻る