団員が投稿した書籍のレビューを最新順で表示しています。
買う前は「明治維新前後の城郭の保存史を詳しく記した本」と個人的に思って買いましたが「城郭を軸に見る幕末維新の歴史」と言った感じの本です。時代の動乱期に戦場となった城郭が次々と登場します。買う前に個人的に思っていた「城郭の保存史」の点では福岡城の項目などは大変興味深いものでした。
中公新書ですがそこまで硬くて読みづらい本ではないです。
測量系ガチ勢による労作。大労作。
私がはじめて八王子城を訪問したときは真夏でもあったため、体力的に本丸まで登って下山するまでが精一杯でした。
再訪に向けて購入しましたが、おっそろしいほどの広さと大量の遺構に、逆に
「これ全部回るの無理……」
と心がくじけそうに。いや、ワクワクもするんですけどね。
解説では八王子市その他への不満の吐露が目立ちます。いや、八王子城に関することならともかく、政権批判や著者の考える少子化対策など、八王子城に関係ないことまで話が広がってるのはちょっと……ブログでやれ、と思わないでもありません(が、筆者によればネットは情報収集には良いが発表には適さないということなので……)。
とはいえ、唯一無二の大労作であり、この価値ある仕事の前には著者の筆誅が止まらなくなってることなど、些細な問題でしょう。
自然谷と竪堀の見分け方についての情報は役立つ者でした。著者の経験則ではありますが、尾根から30mまでに自然谷はほとんど形成されない、と。
そして、(そうはいっても)地震などもあるので、尾根から30mまでに絶対に自然谷が形成されないわけではなく、目視で判別できないケースはどうしても存在する、と。
これほどの測量達人が言うのだから、スキルのない自分が目視で判断できないのはしかたがない……と、すこし心がラクになりました。
書籍の形ではなく、A1サイズの大きな地図が4枚という形態。全体を把握するのはよいです。マップルのような書籍形態でもよかったのではないか?と思うのですが、そのへんは当然に比較検討した上で、大きな地図の方が良いという判断なのでしょう。
家康はタヌキ、三成はサルのように武将が動物になっています。(タコとか玉虫とか動物じゃないのもいます。あ、吉川広家は臼です。)配下の兵も同じ動物です。
午前6時から午後3時まで時間を追って両軍の動きが俯瞰図で細かく描かれています。子供やお孫さんにプレゼントのつもりで買って自分が楽しんでしまうかも?
紀州徳川家初代藩主、徳川頼宣の付け家老、安藤帯刀と、伊達政宗の懐刀、片倉小十郎の物語への興味から手に取った本です。
特に、安藤帯刀は、三河以来の家康の重臣で、戦でも数々の武功を挙げた武将です。安藤家の城があった紀伊田辺城を攻城したときに調べたのですが、「何とスゴい人が、我が県にいたのか」と感動したものです。小説なので、脚色はあるでしょうが、頼宣との色々なやり取り、主君を守るために切腹覚悟で将軍秀忠に立ち向かう姿など、生きて動いている姿が想像でしながら、楽しく読みました。片倉小十郎は、対に語られる伊達政宗の印象が強すぎて、影が薄いような気もしました。しかし、伊達政宗を支え、共に伊達氏の繁栄の基を築き上げていく様子が、一種のサクセスストーリーなので、安心して読み進められました。
作者の津本陽氏 は、和歌山出身なので、作品を読む機会はあったにもかかわらず、重厚なイメージがあり、今まで読んだことがありませんでした。残念ながら、もう新しい作品を読むことができませんが、氏の時代小説、特に有名な「下天は夢か」などを、また読んで見たいと思います。
戦国時代に現代人の主人公がタイムスリップする設定の作品はいくつかありますが、本作は現代での記憶を持ったまま戦国乱世の小領主に転生してしまう歴史好き中年サラリーマンという笑劇の設定。
かわいいイラストとコミカルな展開に目が行きがちですが、内容は奥深く歴史ファンも満足させる作品だと思います。
特に、六角家・三好家・天皇家(朝廷)・将軍家との琵琶湖湖西の小領主としての関係性がよく描かれていて、これからの展開(どうやら史実を突破してしまうことも)に期待大です。
「教科書には書かれていない」というワードと、教科書会社出版という2つにひかれて手に取った本です。
教科書に書かれている事実(とされている事柄)の間を丹念に埋めるような内容です。
「参勤交代の経済学」は、面白かったです。「大名は本陣に泊まるときには、宿泊料を払わなかった」とか、「『超高速参勤交代』は、超高速じゃなかった」とか、「参勤交代で、行列同士が出会ったら」とか、面白くて一気に読みました。
あとは、「武士道と切腹」「幕末のとある旗本の一生」「天璋院篤姫」「徳川慶喜はなぜ大政奉還したのか」「江戸の庶民」「江戸の学問、名君池田光政と花畠教場・閑谷学校」など、事実だけではなく、そこに至る経緯、人の思惑、顛末など教科書のすき間を埋める事柄がたくさん書かれています。
授業で教えてくれたら、面白かっただろうな、でもきっと決められた時間数では終わらないだろうな、なんて考えながら読みました。
面白くて一気に読めました。次巻が楽しみ。家康19歳、桶狭間の戦いから物語がはじまります。家康視点で桶狭間を描くと、こうなるのかと。城や地名、登場人物を検索しながら読み進めると現地に行きたくなりますね。信長と出会って流通経済に気づき学ぶなど、経済論的視点からのストーリーも入っています。
見たところ、チープなつくりのように感じますが、中身は結構濃いです。
関西が世界に誇る姫路城を始めとする国宝3城、その他の名城、山城の見所、立ち寄り所も掲載されている城専門のガイドブックです。サイズ的に、持ち歩きにもぴったりです。山城では、本郭までの目安時間も書かれていて、計画に便利です。少し足を伸ばした遠征城攻め旅についても書かれています。
その他現代にも受け継がれている「穴太衆」のこと、国宝5城の城もなかなど、興味をそそられる記事もちりばめられています。中でも、最後の城取材後記がとても面白かったです。
歴史上の偉人の「しくじり」「ざんねん」などのワードは、なかなか魅力的で、つい手に取ってしまいます。誰しも自分のざんねんな所は隠したいもので、監修の小和田哲男先生も、正史ではなく稗史(はいし)や伝承にも目を配ったと、あとがきに書かれています。
全てのエピソードに、リアルなのになんか可愛いイラストがついているのもグッドです。
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