測量系ガチ勢による労作。大労作。
私がはじめて八王子城を訪問したときは真夏でもあったため、体力的に本丸まで登って下山するまでが精一杯でした。
再訪に向けて購入しましたが、おっそろしいほどの広さと大量の遺構に、逆に
「これ全部回るの無理……」
と心がくじけそうに。いや、ワクワクもするんですけどね。
解説では八王子市その他への不満の吐露が目立ちます。いや、八王子城に関することならともかく、政権批判や著者の考える少子化対策など、八王子城に関係ないことまで話が広がってるのはちょっと……ブログでやれ、と思わないでもありません(が、筆者によればネットは情報収集には良いが発表には適さないということなので……)。
とはいえ、唯一無二の大労作であり、この価値ある仕事の前には著者の筆誅が止まらなくなってることなど、些細な問題でしょう。
自然谷と竪堀の見分け方についての情報は役立つ者でした。著者の経験則ではありますが、尾根から30mまでに自然谷はほとんど形成されない、と。
そして、(そうはいっても)地震などもあるので、尾根から30mまでに絶対に自然谷が形成されないわけではなく、目視で判別できないケースはどうしても存在する、と。
これほどの測量達人が言うのだから、スキルのない自分が目視で判断できないのはしかたがない……と、すこし心がラクになりました。
書籍の形ではなく、A1サイズの大きな地図が4枚という形態。全体を把握するのはよいです。マップルのような書籍形態でもよかったのではないか?と思うのですが、そのへんは当然に比較検討した上で、大きな地図の方が良いという判断なのでしょう。
八王子城といえば「広大な城域を持つ山城」というイメージが強いのではないでしょうか。
しかし、このルートマップを一度見てしまった人は、「広大」の持つ意味を定義し直すことになるでしょう。どちらかと言えば、城跡マニア向けというより、八王子城マニア向けの地図です。普請にかかわった間宮綱信も平井無辺もここまで把握していなかったのではないでしょうか。あまりに細か過ぎて、「百名城スタンプをゲットしたついでに本丸まで登ってみよう」、という方にはあまり役に立たないでしょう。しかし、八王子城に対する見方を大きく変えてくれることは間違いありません。
なお、この詳細地図は完結版ではなく2016年版ということです。それにしても、この地図をひとりで作成した堀籠隆氏の八王子城愛にはビックリです。
タイトル | 巨大山城八王子城精密ルートマップ 2016年版―戦国浪漫 |
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著者 | 堀籠 隆 |
出版社 | 揺籃社 |
発売日 | 0000-00-00 |
ISBN |
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価格 | 2160円 |
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