艮櫓(うしとらやぐら)は、1677年(延宝5年)に東ノ丸の北東の隅櫓(すみやぐら)として建てられたもので、現在残されている月見櫓と同時期に建てられたものです。
北東の方角のことを丑寅(艮)ということから名づけられました。
東ノ丸は生駒氏にかわって入府した松平氏によって新造された部分で、1671年(寛文11年)頃より行われた大改修の際に北方の海辺を埋め立てて築かれた曲輪です。
この3重3階、入母屋造、本瓦葺きの隅櫓は、1965年(昭和40年)8月に当時の所有者であった日本国有鉄道より高松市が譲渡を受け、国庫、県費の補助金を得て、同年10月より工期2年、工事費2800余万円を費やして解体修理を行い、1967年(昭和42年)に現在の旧太鼓櫓(たいこやぐら)跡に移築復元されました。
この移築にあたって、艮櫓の規模にあわせて城内側に石垣の拡張工事を行ったほか、石落しの取付の関係上、建物を右に90度回転させています。
また、移築修理の際、この櫓は建立直後に補強的な改造を受けているほか、1856年(安政3年)には、ほとんど解体に近い大修理を受けていることがわかっています。
櫓の構造としては、3重3階の総塗籠で、初重には二重の屋根を貫く大きな千鳥破風が南北に設けられているほか、城外側の隅には袴型の石落としが設けられている。
また、各階の窓の土戸に特異な形状をもち、さらに2階と3階には城内側にも銃眼を設けるなどの特徴が見られます。
1950年(昭和25年)8月29日に重要文化財に指定されました。