福井県の名物のひとつに「越前おろしそば」があります。
越前おろしそばは「越前そば」に大根おろしとダシ汁をたっぷり使って食べるそばで、農林水産省選定の「農山漁村の郷土料理百選」にも選ばれています。
福井でのそばの歴史は、朝倉孝影が一乗谷城を築城した1473年(文明4年)頃からはじまっていると伝わっています。
播種(はしゅ)から約75日間という短期間で収穫できるため、当時は籠城用食糧として重宝されたそうです。その頃は現在のような麺状ではなく、「そばだんご」や「そばがき」が主でした。
大根おろしと一緒に食べる「おろしそば」が登場したのは江戸時代に入ってからです。
「関ケ原の戦い」後、1601年(慶長6年)に府中城主となった本多富正が、そば師の金子権左衛門を伏見から同行させ、そば栽培と食べ方を推進したそうです。
金子氏が麺状にする「そばきり」の技術を広め、栄養面を考慮し、保存食だった大根のおろし汁をダシに混ぜる食べ方を生み出したとされています。
嶺北地方について
ちなみに「嶺北(れいほく)地方」というのは、福井県の木ノ芽峠以北の呼称です。越前地方(えちぜんちほう)と呼ばれることもあります。木ノ芽峠が「木嶺」と呼ばれることから「木嶺以北」、略して「嶺北」となったそうです。具体的には、次の自治体が対象です。福井市・大野市・勝山市・鯖江市・あわら市・越前市・坂井市・永平寺町・池田町・南越前町・越前町