私は戦国前期など中世武家社会系の歴史ものが大好きでして、道なき道を歩いて山城跡を見に行ったりしていました。そんな私が思わず「オオッ! これ見てみたい!」と思ったのが、佐賀県神埼市にある佐賀特有の構造を持った平城跡。ということで、さっそく神埼市を代表する城跡「横武城跡(クリーク公園)」を見に行ってきたので紹介します。
まず、佐賀特有の平城というのがどんなものかというと、下にある写真を見ていただくと一目瞭然。佐賀平野は湿地帯で細い水路(クリーク)が縦横に張り巡らされています。その水路を堀として縦横にめぐらせ、曲輪を浮島のように配置して土橋や木製の橋で連結させるというおもしろい城です。
写真を見ると、外堀の役割を持っていたと思われるいちばん外を縁どるような水路と、主郭を含む曲輪が浮島のように配置され、それぞれを橋で結んで迷路のようになっている場所があります。多くの部分が田んぼや住居で潰れていますが、それでも十分に当時の様子をうかがわせる水路と曲輪群が残っていますね。
水路が縦横に巡らせてあり、曲輪のひとつから見ると浮島がたくさんある湖のようになっています。
写真の場所は主郭らしき浮島への最後の通路で、虎口になっています。真っ直ぐ行くと行き止まりで、水路に落ちます。
直角に右方向へ木の橋がかけてあり、この橋を落とせば主郭へ渡るには水路に入って泳ぐしかありません。また、虎口となっているため立ち往生すると、周辺の曲輪から矢や鉄砲の集中砲火を浴びることになりますね。
隣の曲輪へと続く土橋。何もないので水路を泳いで渡ることも出来そうですが、実際に城として使われていた頃には土塁や壁が設けられていたと思われるので、かなりやっかいな城だったのではないでしょうか。
主郭らしき部分を上空から撮影した写真。もう、これ見たら興奮度マックスです。見事な遺構が残っていますね、城の様子がイメージしやすい素晴らしい場所です。
このような迷路上に浮島を配置した曲輪群は、公園部だけでなく実際にはもっと広範囲に及んでいたそうです。現在の主郭に当たる部分には、近くの民家が移築されていて内部を見学する事が出来ます。
クド造りという佐賀で多く見られた建物らしく、内部も味があって落ち着きます。
見てください、この見事な水路を利用した堀。大軍で力攻めすれば簡単に落ちそうな城ですが、地方豪族同士の争いなら攻め落とすのに相当な苦労を強いられそうです。迷路上になっているので、内部に侵入したところで分断されて各個撃破されそうですね。
この城跡は、十分攻められますね。いや、攻めてほしい城です。もう堀瑞に立っただけで、どうやって攻略しようかなどと妄想が膨らんでしまうこと間違いなしの良物件! 戦国末期や江戸時代初期に作られた巨大な城郭と違い、各地を支配する地侍や豪族の城のイメージがリアルに伝わってくる素晴らしい遺構でした。
横武城は実際のところよくわかっていない城で、いつ築かれたかも不明。主郭らしき場所に古民家が建っていますが、そもそも主郭がどこだったかも不明という城跡です。
しかし、戦国中期ごろまでは使われていた城で、佐賀平野独特の水路を利用した縄張りが残された貴重な城跡です。また、龍造寺隆信が生まれた佐賀市内にあった水ヶ江城も、同じような水路を利用した縄張りの城だったと言われています。
他の地域では見られない珍しい平城。ここは中世の武家社会に思いを巡らせて城跡を眺めながら妄想にふけるには絶好のスポットなので、戦国好きなら絶対に一度は訪れてもらいたい場所ですね。駐車場から、妄想しながら城攻めするのもおもしろいですよ。
佐賀県神埼市には横武城跡だけでなく、複数の同じような遺構が残されています。当サイトでも順次紹介していきますが、中世城郭好きな人はぜひ神埼を訪れてみてください。
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