国吉城
国吉城

[福井県][若狭] 福井県三方郡美浜町佐柿25-2


  • 平均評価:★★★★☆ 3.53(--位)
  • 見学時間:1時間11分(--位)
  • 攻城人数:1045(166位)

国吉城の歴史

織田信長が越前攻めの際に本陣として使用した国吉城の歴史を時系列でまとめています。

国吉城とは

国吉城は現在の福井県美浜町佐柿にあった山城で、佐柿国吉城という呼び方もされています。
若狭国と敦賀国の境に位置しており、国境を守護する境目の城とも表現されることがあります。

佐柿地区の東部にある標高約197mの山頂から、北西の尾根筋に向けて連続する5つの曲輪群をもつ連郭式の構造となっていました。
本丸とその虎口、そして本丸に隣接する曲輪群には石垣が設けられていますが、本丸虎口のそれは天正期(1573年~1592年)に改修を受けたものと考えられています。

1556年(弘治2年)、若狭国守護・武田氏の家臣であった粟屋越中守勝久が、当地にあった古城跡を利用して築城したのが国吉城の始まりとされています。
伝承ではその昔、そこに城を築いた者の名を国吉としており、これが城の名となっています。
国吉城は1563年(永禄6年)から越前朝倉氏の攻撃を受け、以降1568年(永禄11年)までほぼ毎年のように籠城戦を強いられましたが、ついに落城することはありませんでした。

1570年(元亀元年)には、朝倉氏を攻撃するため着陣した織田信長が国吉城に来訪。粟屋勝久は信長に合力して朝倉氏と戦いました。
勝久はのちに羽柴秀吉に仕えて国替えとなり、1583年(天正11年)には秀吉家臣の木村常陸介が城主となりました。

1585年(天正13年)には堀尾吉晴、ついで江口三郎右衛門が入城。
1588年(天正16年)の浅野平右衛門、1594年(文禄3年)の松平三左衛門と次々と城主が代わり、1600年(慶長5年)には京極高次家臣・多賀越中守がその座におさまりました。

しかし1634年(寛永11年)に酒井忠勝が小浜藩主として入部。佐柿に町奉行を設置したことにより国吉城はその役目を終え、廃城となりました。

名城の旧跡として記憶に刻まれた国吉城は、1983年(昭和58年)に美浜町史跡に指定。
以降、幾度かの発掘調査を経て2009年(平成21年)、若狭国吉城歴史資料館が開館しました。
2017年(平成29年)には続日本100名城に選定、歴史を伝える重要な遺跡としてその評価が高まっています。

秋の若狭国吉城歴史資料館[国吉城]
提供:若狭国吉城歴史資料館 | 秋の若狭国吉城歴史資料館[国吉城]

数年にわたる攻城戦をすべて退けた、不落の山城

国吉城がその名を知られるのは、先述した1563年(永禄6年)に始まる朝倉氏からの攻撃をことごとく防いだ、国吉籠城戦と呼ばれる奮戦ぶりによっています。
江戸時代初期に成立した『佐柿国吉之城粟屋越中以下籠城次第』によると、朝倉勢の大軍を侍200名・農民600名による籠城戦で迎撃し、朝倉勢は死者260名、総勢の半数が負傷するという大損害を受けたと伝えています。
朝倉勢は以降1564・65・67・68年と、ほぼ毎年のように攻城戦を仕掛けましたが国吉城は一度も落城せず、城の堅さと粟屋勝久以下の精強さが知れわたるようになりました。

1570年(元亀元年)、朝倉氏攻略の途次にあった織田信長軍が当城に立ち寄ったことはすでに述べましたが、この時に信長・秀吉・家康の三英傑に加え、明智光秀も同時に参陣していました。
境界防衛を長きにわたって担ってきた国吉城は、まさしく歴史が大きく動く舞台のひとつとなっていたことがわかります。
難攻不落の言葉にたがわない、戦国期有数の強力な山城のひとつだったといえます。

国吉城の歴史・沿革

西暦(和暦) 出来事
1556年(弘治2年) 若狭国守護武田氏の家臣・粟屋越中守勝久が、古城跡に築城
1563年(永禄6年)~ 越前朝倉氏から攻撃を受ける。以降、1568年(永禄11年)まで籠城戦が断続するが落城はせず
1570年(元亀元年) 朝倉氏攻めの途次、織田信長が着陣。国吉城に迎えた勝久も参戦
1583年(天正11年) 羽柴秀吉家臣・吉村常陸介が城主に
1585年(天正13年) 堀尾吉晴・江口三郎右衛門が入城
1588年(天正16年) 浅野平右衛門が城主に
1594年(文禄3年) 松平三左衛門が城主に
1600年(慶長5年) 多賀越中守が城主に
1634年(寛永11年) 酒井忠勝が佐柿入部。町奉行を設置し国吉城は廃城に
1983年(昭和58年) 美浜町史跡に指定
2000年(平成12年)~ 国吉城址発掘調査実施。以降、土塁・石垣・礎石等を検出
2009年(平成21年) 若狭国吉城歴史資料館が開館
2017年(平成29年) 続日本100名城に選定
このページに記載してある内容の大半は「戦国ヒストリー」編集部に寄稿していただきました。ありがとうございます!
   

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