松本城から南へ徒歩10分ほど。
城下町の一角に湧き出る源智の井戸。松本市の特別史跡に指定されています。
松本城周辺は扇状地の扇端となっており、多くの湧き水、井戸が存在することから、「まつもと城下町湧水群」として整備されています。
中でも源智の井戸の歴史は古く、今でも多くの市民が利用しています。
現地には小笠原氏の家臣、河辺縫殿助源智が所有していたことを伝える案内板があります。
松本市特別史跡
源智の井戸一、所在地 松本市中央三丁目七四一番地ホ
二、所有者 松本市
三、指定年月日 昭和四十二年二月一日
四、由緒・来歴
この井戸は、市内の名水のひとつで、城下町が形成される以前から飲用水として使用されていました。所有者は、小笠原氏の家臣河辺与左衛門源智でその名をとって「源智の井戸」と呼ばれるようになったと伝えられています。この井戸の周辺は、女鳥羽川と薄川の複合扇状地で市内でも有数の湧水地帯です。
天保十四年に書かれた「善光寺道名所図会」には、井筒の径は八尺、高さ九寸で「当国第一の名水」とあります。松本の町の酒造業者はことごとくこの水を使い、歴代の城主は不浄を禁ずる制札を出してこの清水を保護したといいます。
五、源智の井戸関連年表
文禄三年 石川康長が不浄を禁じる制札を掲出
天保十四年 善光寺道名所図会に掲載「当国第一の名水」
明治十三年 明治天皇御巡幸 御膳水として使用
昭和八年 長野県史跡に指定
昭和四十二年 松本市特別史跡に指定
平成元年 修復整備工事を実施平成十七年三月
松本市教育委員会