先週の日曜日、2月17日に都内にある福井県のアンテナショップ「ふくい南青山291」で歴史トークイベント「城がたり」の第1回を開催しました。
(それにしてもアンテナショップは青山とか銀座とか日本橋とかいいところにありますよね)
この「城がたり」というイベント名は「お城をテーマにみんなでわいわい語り合いましょう」という意味を込めてつけました。ただほんとうの雑談だと収拾がつかなくなると思うので、毎回なんらかのテーマを設定するつもりです。
今回は「丸岡城」をテーマにしました。ゲストには「マンガでわかる丸岡城」を描いていただいた大久保ヤマト先生と、コラム「城に歴史あり!」を連載していただいた榎本秋先生をお招きして、ぼくとの掛け合いをしながら丸岡城の魅力を伝えたいと考えていました。
最初にぼくから攻城団の紹介をかねて20分ちょっと時間をもらいました。
攻城団が主催するイベントには団員限定の「団員総会」、申込者のみ団員限定(同伴者はどちらでもいい)ガイドツアー、そして今回のように誰でも参加できるものと3つのパターンがあります。
たとえば明石で登壇したようなケースはぼくたち自身がゲストなので、当然会場にいらっしゃる方の大半は攻城団のことをご存知ありません(それはそれでいいPRの機会です)。
この「城がたり」でも団員じゃない方が何名か参加してくださっていました。
ただし当日会場で聞いたところ、攻城団のことは知ってるということだったので、サービスについての細かい紹介は控えて、城めぐりの節約術(?)としての「新幹線での大回り乗車」についての話をしました。
これはブログにも書いてるので読んだことがある人もいるかと思いますが、乗車券と特急券を別々で買うことと、途中下車をうまく使うことで、東京⇔京都を往復するのと変わらない金額で、上田城や金沢城に寄ったり、福井駅で降りて丸岡城に立ち寄ることもできます。
せっかく丸岡城へいくなら、一泊二日で往復するよりは、こういうテクニックを活用して二泊三日や三泊四日の旅を企画できるといいですよね。
京都⇔東京とほぼ同じ料金で、京都→東京→金沢→京都を経由する「大回り」で城めぐり(EX予約やe5489を使えばさらにお得に!) - 攻城団ブログ
京都〜東京を往復するよりも、北陸新幹線に乗って金沢経由のほうが安くなるかも。しかも途中下車して城めぐりもできる特典もあり。こういうちょっと得する知識をみんなでシェアしたいですね。
攻城団としては「スタンプを押したらすぐ次の城へ」というスピード重視の旅ではなく、地元を歩いて郷土料理や温泉なども楽しんで、城下町の歴史を丸ごと味わうような旅を楽しんでほしいなと思っているし、そういう提案をこれからもしてきたいです。
榎本先生からは事前の控室でも(マンガで有馬誉純を取り上げたことを)褒めていただいたのですが、そのせいで紹介するネタに困ったとおっしゃってましたね。
それでも肥沃な九州から、北国に移封した大名あるあるの「聞いてたのと石高がちがう(少ない)」はなぜ丸岡藩が財政的に苦しかったのかの解説にもなっていてよかったです。
榎本先生は本を書く際に『福井県史』などの郷土資料を参考にされるそうですが、なんでも「ふるさと創生事業」で各自治体に交付された1億円を使って市史などを編纂した自治体がけっこうあるそうです。
ぼくは榎本先生とは古い知り合いで連載の依頼などメールではやり取りしていたのですが、会うのは15年ぶりでした。
当時はお城や歴史に興味がなかったので、榎本先生もびっくりしていると話してましたが、ぼくにとっては彼のような専門家が身近にいることは心強いですよね。
休憩をはさんで、大久保ヤマト先生とのトークショーをおこないました。
基本的には明石でやったのと同じようなイメージで準備を進めたのですが(一週間に2回もトークショーに付き合ってくださった大久保先生に感謝)、この日は時間に余裕もあったので構成を少し変更しました。
前半に写真を投影しながら取材の振り返りをおこなって、後半はマンガについての質問をぼくが聞いていくという流れです。最後に質疑応答の時間も用意しました。
取材で訪問した日がとにかく雪がすごくて、写真のほとんどが雪だらけだったんですけど、アンケートで「パンフレットには晴天の写真ばかりだし、旅行も桜の時期を選びがちだけど、雪の写真が良かった。当時の武士たちはこんな大雪でも登城していたわけで、雪国の城のリアルさが伝わりました」という意見もいただきました。
たしかにそうなんですよね。PRしようと思うとついついベストな写真を選びがちですが、竹田城だって毎日雲海が出てるわけじゃないし、「日常」をいかに楽しんでもらうかというのは大事なポイントだよなと感じました。
そういう意味でも丸岡城の「愛らしさ」は推しのポイントだと思うんですよね。
同時期に安土城が築城されていたので腕のいい職人が集められず、天守台と天守の寸法があってないとか、地震後に再建した際も部材をまちがって使ってるとか、そこに人間を感じられるのが丸岡城の魅力だとぼくは思ってます。
人柱があるとかいわれてたけど、調査したらなかったというのもなんだかいい話ですしね。
当日も会場で話したのですが、どうして江戸時代に天守を建て直さなかったんでしょうね。
幕府への届け出がめんどくさかったのかもしれませんが、板張りだと燃えやすいし(この時代は白漆喰で防火性を高める技術があった)、天守は築城時の情勢から東を向いてるけど丸岡藩の城下町は南側にあるし、どう考えても「新規築城なら作らない天守」なんです。
宇和島城は1671年(寛文11年)に望楼型から層塔型に改修してますが、なぜ本多氏も有馬氏も改修しなかったのかなあ。
ぼくとしてはこういう疑問にあーでもないこーでもないと話し合えたら楽しいだろうなと思っていますが、なかなか大人数で自分の意見をいうのはむずかしそうだなとも感じました。
マンガについては、取材前はネタがなくて不安だったのが、取材後は収穫がありすぎてどうやって16ページにまとめるかが心配になったと大久保先生がおっしゃってましたが、そのくらい充実した取材旅行でした。
ちなみに大久保先生がいちばん気に入ってるのが、年齢を偽って藩主を継いだ有馬誉純が踏み台にのぼってるシーンなのですが、ぼくもこの幼い背中がかわいくて好きです。
投影したスライドを貼り付けておきますね。
当日は会場が明るくてスライドがよく見えなかった方も、あらためて見直すとおもしろいと思います。
またこれは明石のときも話したことですが、ほんとうに描ききれないことは多かったし、数コマしか登場していないキャラクターもすごく魅力的なので、いつかちゃんと主役にしてあげたいです。
今回なら松平忠直や本多重益なんていいキャラしてるんですよね。彼らは定説ではボロカスに酷評されてるのですが、よくよく調べるといいところもあるんです。
そういうマンガ本編のフォローになるような人物紹介を冊子をつくるにあたって、ぼくが書き下ろしているのでぜひ読んでほしいです。酒色に溺れたといわれている重益にもいいところがあるんです。
大久保ヤマト先生が描いた「マンガでわかる丸岡城」を収録したマンガ冊子です。 マンガそのものはウェブサイト上でも読めますが、本冊子は登場人物紹介を攻城団団長のこうのが新たに加筆しています。 全22ページ。
あと、丸岡城のスタンプを置いておいたのですが、みんなペタペタ押してくれてました。
イベントの開始前に少数でランチ会を開催しました。
みんなで福井名物のソースカツ丼弁当を食べながら会話を楽しんだのですが、ゲストとスタッフを含めると19人になっちゃったのでもう少し人数を絞ったほうが全員と話せたかなと。とはいえ、ランチ付きチケットのほうが先に売り切れたことを考えても、ある程度は希望者が参加できるようにしたいので、次回以降はグループ分けするとか、ちょっとやり方を変えてみます。
雑談とはいえ、お城という共通のテーマがあるので、あまり脱線もせず盛り上がってましたね。
日本の歴史は(当然だけど)世界史の影響を受けてるという話はおもしろかったな。
ボランティアスタッフが手伝ってくれたこともあり、攻城団のイベントでははじめて物販コーナーをやりました。
アクリルキーホルダーとクリアファイルがよく売れてました。
このアクリルキーホルダーも現地で取り扱ってもらえればご当地限定グッズにしていきたいです。クリアファイルは明石城のものなんですが、これは「明石・お城フェスティバル」でスタッフを確保できなかったのでこちらに持ってきました。
ほかの木製キーホルダーとアクリルフィギュアもそこそこ売れてたので、やっぱり手にとって実物を見れる機会は大事ですね。
これからもできるだけやりたいです。
準備に時間をかけたこともあり、初回としてはそれなりに手応えもありました。
もちろん改善点がないわけじゃないので、次回以降に活かしていきますね。
また今回は丸岡城をテーマにしましたが、毎回各地の「城」を取り上げることだけじゃなく、もっと多様なテーマで開催していきたいと思っています。
たとえばオススメのマンガや歴史小説を紹介しあうとか、オススメ城下町をご自身で旅行した際の写真を投影しながら紹介するのもいいかも。写真の撮影テクニックについてカメラマンに相談するというのもいいですよね。
ぼくらが目指してるのは終了後に「次の休みにお城に出かけよう」と思ってもらえることです。
イベントを開催するのはどうしてもお金がかかるので頻繁に開催することはむずかしいのですが、ただ今回は10人をこえる個人スポンサーが集まったので少し今後に可能性が見えました。
(加えて今回は助成金と坂井市観光連盟から協賛いただいたので自己負担は少額ですみました)
このくらいの30人ちょいのイベントであれば全国どこでも会場を探せるので、いろんなところで開催していきたいです。(すぐ要望に応えられるかはわかりませんが)「スタッフやるから、会場にアテがあるので、ウチの地元で開催してくれ」という要望もお待ちしています。
それこそ「城がたり」はぼくやコースケさんがいなくても開催できるくらいハードルを下げていけるといいなと思っています。そのためにもぼくらが開催して気づいたことや学んだノウハウはすべて共有していきますので、お城めぐりを楽しむための歴史トークイベントをみんなでつくっていきましょう。
最後に、今回ボランティアスタッフとして手伝っていただいた、フロンさん、Sさん、ひよどり下総守さん、十林寺さん、闍夢さん、ほんとうにありがとうございました。
グッズ販売だけでなく、会場の設営と撤収、受付、撮影とありとあらゆる裏方作業を助けていただき、ほんとうに感謝しています。団員といっしょにイベントを運営するという経験も楽しかったです。
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