足柄城址がある足柄峠に設置されている案内板の内容を紹介します。
足柄峠(あしがらとうげ)
足柄峠は標高(ひょうこう)七百五十九米の箱根外輪山から派生(はせい)する尾根(おね)上に位置し、静岡県小山町と神奈川県南足柄市との境にあり、古くから官道(かんどう)として、防人(さきもり)や旅人の往来(おうらい)も盛んであった。また軍事的にも重要な場所であったため、多くの史跡(しせき)や遺跡(いせき)、石仏(せきぶつ)、文学碑(ぶんがくひ)等が残され、その上旅情豊かな風景は訪れた人達の心を離さない。一、足柄の関(せき)
昌泰(しょうたい)二年(八九九年)盗賊(僦馬(しゅうま)の党という)を防ぐ目的で設置された関である。一、足柄城址(じょうし)
創築(そうちく)者・年代は不明であるが、平安末期ごろから戦略(せんりゃく)上の要地(ようち)として何度か軍事的な施設が設けられた形跡がある。
城郭(じょうかく)としては、小田原後(ご)北条氏の属城で、数ヶ所の曲輪(くるわ)と土塁(どるい)、井戸跡(いどあと)、倉屋敷(くらやしき)跡、数値点に砦(とりで)(矢倉)等があり、天正十八年(一五九〇年)豊臣秀吉の小田原攻めの後、廃城となった。一、笛吹塚(ふえふきづか)
新羅三郎義光(しんらさぶろうよしみつ)は、兄八幡太郎義家(はちまんたろうよしいえ)の苦戦している後三年の役(えき)(一〇八三―一〇八七年)に、参戦(さんせん)する途中、足柄峠において笙(しょう)の笛の師豊原時元(ふじわらときもと)の子時秋に、笙の秘曲を伝授したといわれる。一、聖天堂(しょうてんどう)
弘法大師(こうぼうたいし)の建立と云われ、本尊(ほんぞん)は等身大(とうしんだい)の石仏で、秘仏として公開されない。福運厄除(ふくうんやくよけ)、縁結(えんむす)びのご利益があるとして参拝(さんぱい)者が絶えない。
毎年、四月二十日に大祭(たいさい)が行われる。一、万葉公園(まんようこうえん)
足柄峠は古来(こらい)から官道(かんどう)であったため、多くの人々が通り、歌を詠(よ)んでいる。
万葉集にも数首詩(うた)われているのが見られる。
万葉の歴史を記す公園として、昭和五十七年度に南足柄市によって設置された。一、万葉集から
足柄(あしがら)の御坂(みさか)に立(た)して袖振(そでふ)らば
家(いは)なる妹(いも)は 清(さや)に見(み)もかも一、その他の遺跡、句碑など
あずまはや橋、六地蔵(ろくじぞう)、芭蕉句碑(ばしょうくひ)、足柄明神(みょうじん)、唯念(ゆいねん)上人名号碑、生田蝶介(いくたちょうすけ)歌碑、足柄古道(こどう)など。
小山町観光協会・小山町