阿波一宮城(徳島市民双書・27)

形式:B6版

 阿波一宮城は著名なわりに史料は少ない。巷間史料として伝えられているものの中には史料的価値に欠けるものが少なくない。このたび地元の一宮町文化おこし委員会によって一宮城顕彰事業が企画され、本書の編集委員であるわれわれに協力を求められた。われわれはご要望におこたえし、平成3年(1991)『阿波一宮城史料集』(B5判・本文311ページ)を刊行した。一宮城についての基本的文献を出来得るかぎり収集し一冊にまとめたもので、この史料集の刊行によって一宮城研究は一歩も二歩も前進したものとおもう。
 さらに平成3年9月22日、23日一宮コミュニティセンターを会場に「一宮城シンポヂウム」を開催した。県外からの研究者を含め約150名が2日間にわたって熱心に討議を重ねた。とくに中世史・城郭研究者として著名な高知大教授秋沢繁氏、大阪外大教授脇田晴子氏、奈良女子大教授村田修三氏の記念講演があり参会者に感銘を与えた。本書はこうした実績の上に築かれたもので、阿波中世史・城郭研究の指導的立場の方がたから示唆に富む労作を寄せられた。本書によっていままで誤まり伝えられたことが明確に正され、またわからなかった多くの事柄を明らかにすることが出来た。
 『阿波一宮城史料集』、『阿波一宮城』の刊行、さらに「阿波一宮城シンポヂウム」の開催によって一宮町文化おこし事業に魂を入れることが出来た。さらに阿波中世史研究にも少なからぬ貢献をすることが出来た。これらの成果の上に今後多くの研究成果が花咲くとともに、地元一宮町の文化おこし事業がますます活発化されんことを切望したい。
 最後に本書の編集・刊行にあたりご尽力いただいた編集委員、一宮町文化おこし委員会はじめ関係者の方がたに心から御礼を申しあげます。

 1994年3月
 『阿波一宮城』編集委員長 湯浅良幸

書籍の情報

タイトル 阿波一宮城(徳島市民双書・27)
著者 「阿波一宮城」編集委員会
出版社
発売日 1993-03-31
価格
ページ数 325ページ

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