9月22日(日)に第5回二条城ガイドツアーを開催しました。
あいにくの空模様ではありましたが、約3時間かけて二条城の魅力をたっぷりお伝えしてきたので、その様子をレポートします。
なお今回から集合場所や行程などいくつかの変更をおこないましたが、これらの改善はうまくいったと思います。
天気についても本丸から二の丸御殿に戻るときに少しだけ傘をささなきゃいけない状況になりましたが、あとは雨をうまく避けられたのでラッキーでした。ぼくらが二の丸御殿を見学中は激しく降っていたので、行程を変更したことが功を奏したといえますね。
今回は集合場所として会議室を借りたので、最初にミニ講座(座学)の時間を設けることにしました。
もともとは雨天時の対策で屋根のあるところを借りることにしたのですが、せっかく座って集まれる場所を確保できたので、最初の45分間は屋内で
の時間にしました。
これまでは東大手門前に集合して、いきなりガイドツアーをスタートしていたので、なんとなくよそよそしい感じがありました。いちおう参加者は団員が中心なのでまったく知らない間柄ではないですし、ツアーが進む中で打ち解けていたのですが、こうして簡単な自己紹介の時間をつくることで、最初から仲間意識が高められたように思います。
あと早く到着しすぎた人が座って待てるというのもよかったポイントですね。
またガイドツアーの中心は現地で対象物を見ながら案内することですが、その前提となる、たとえば「二条城の歴史」などについては資料を広げたり、あるいは「二条城の位置」については平安京の完成図をもとにホワイトボードを使って説明したほうがわかりやすいので、いい時間の使い方になりました。
ガイドブックや二条城の公式パンフについても歩きながらだといちいち開いて確認しづらいので、最初にざっと説明しておくことで家に帰って復習する際にイメージしやすくなったとも思います。
このミニ講座はやってよかったです。そして時間の都合で話せなかったことも多いので、こういう講座だけ開催することも検討しようと思いました(詳しくは後述します)。
そのあと二条城へ移動して、ガイドツアーの本番がスタートしました。
東大手門、番所、唐門と案内しますが、ふだんなら「金ピカできれいだな」でくぐるだけの唐門の彫刻にも意味があることを説明すると、おもしろがっていただきました。
ぼく自身が体験したことですが、見てるものは同じなのに、知識が増えると見え方が変わるんですよね。なぜ鶴が彫られているのか、なぜ唐獅子には牡丹がセットなのか、そういう知識を身につけるといままでは見てても気にも止めてなかったようなことが気になるようになります。それが楽しいんですよね。
二の丸御殿の最初の建物「遠侍」は「虎の間」と呼ばれるように、竹と虎の絵が書いてありますが、じつは「竹に虎」は唐門の彫刻にもあります。
だとすれば「来客を威圧するために獰猛な虎の絵を描いた部屋にまず案内した」という説明がおかしいこともわかります。そもそも狩野派が描く虎の絵はかわいいのが多くてぜんぜん威圧感がないし、子虎に授乳中の虎とか、水を飲んでる虎とか、めちゃくちゃくつろいでいますしね。
ほかにも黄安仙人や鸞鳥の説明をすると、はじめて聞いたという方も多く、みなさんとてもいいリアクションをしてくれてました。
二の丸庭園ではかつて行幸御殿があった場所や、能舞台があった場所など、いまは現存していない建物の位置について紹介しつつ、日本庭園の基本としての蓬莱島やそこに向かう舟石を説明しました。
さらに二の丸庭園をもっとも美しく見れる位置、すなわち大広間の将軍が座った場所からの眺めについても案内しました。滝が見えるのはここからだけなんですよね。当時はさらに天守も見えたので、いい眺めだったと思います。
そして毎回驚かれるのが後水尾天皇が天守にのぼるための特設ルートです。
行幸御殿から二の丸御殿に入り、さらに橋廊下を通って本丸御殿に向かうのですが、当時の様子をイメージしてもらいながら歩きました。
とくに本丸櫓門が残ってくれていたのは説明しやすいです。あののっぺらぼう的な外観はいろんなお城を見てきた方を案内するときには、必ず違和感を持ってもらえるのでその謎解きにもなるので楽しんでいただけます。
今回は事前に「マンガでわかる二条城」を読んできていただいたので、天明の大火についてもみなさんご存知だったのでそのときに焼けた石であることを紹介すると驚かれてました。
大久保ヤマト先生による二条城400年の歴史を描いたマンガです。二条城についての付随情報。
そして天守台です。
この日は曇天だったこともあり、行幸時に天皇が天守に二回のぼったという話をしました。
たしかにこんなふうに曇ってると、晴天時にもう一度のぼりたいという気持ちになりますよね。
本丸最後の見どころは西門です。
落雷で焼失した天守、天明の大火で焼失した多門櫓や三重櫓など、いまは建物が残っていませんが、当時は壮観な景色が広がっていたんでしょうね。
参加者から「なぜ刻印がないのか」という質問があったのですが、いまぼくらが見ている二条城は大御所・徳川秀忠が改修させたもので、このとき借り出されたのは御三家が中心でした。刻印は所有者や縄張りを表すものなので、オール徳川で築いたことと、天守台は尾張藩といったように担当の区割りがかなりはっきりしていたので、おそらく刻印が不要となったと考えられます。
(家康が築城した際は天下普請で西国大名に気づかせているので刻印はありましたし、堀川の石垣に一部残っています)
いったん休憩しつつ、二の丸御殿に戻ります。
ここまで約一時間ですが、まだ半分ですというと、みなさん驚かれますね。
二の丸御殿内は撮影不可なので写真はありません。
ただこの日はちょうどぼくらが二の丸御殿に入るあたりから雨が降り出して、外が暗かったこともあり、御殿内に照明が置いてあって、いつもより障壁画がきれいに見えました。
ふだんは薄暗い中で見ることになるので奥のほうの絵はよく見えないのですが、曇天や雨天時はこういう特典もあります。
御殿内で案内した内容は参加者だけのお楽しみということで割愛しますが、気づいたらガイドツアー参加者じゃない人たちもたくさんついてきてて、ぼくの説明にすごくうなづいてくださってたので、多くの人に楽しんでいただけたようです。
けっきょく15分ほどオーバーしましたが、ほぼ予定どおりの時間で終了しました。
二条城は天守こそないものの、縄張りはお手本のような輪郭式縄張りですし、櫓門や二重櫓は現存しています。
また本丸には内枡形、外枡形、両方のタイプの枡形虎口がいまもはっきり残っていますし、なにより国宝に指定されている二の丸御殿、特別名勝に指定されている二の丸庭園があります。
縄張りや虎口といったお城の構造を学ぶにも、御殿や庭園といったプラスアルファの魅力を味わうにも最適なお城が二条城だと思うんですよね。
攻城団のガイドツアーをきっかけに二条城のことをより深く知っていただきたいですし、ガイドツアーに参加したあとで名古屋城の本丸御殿を見たり、金沢城の玉泉院丸庭園や徳島城の表御殿庭園を見るとさらに楽しめると思います。
ぼくとしてはすべての団員を案内したいので、ぜひ今後開催されるツアーに参加してくださいね。
参加者アンケートでいただいたコメントを一部紹介します。
二条城ガイドツアーは今後も継続的に開催する予定です。
次回の開催日は未定ですが、日程が決まりましたらサイト上で告知します。なおこちらのフォームから登録しておいていただければ、募集開始時にご連絡いたします。
平日開催もまたやろうと思っていますので、希望日がある方はフォームからご連絡ください。
(予約ではないのでご注意ください)
今回、最初にミニ講座をやってみてさらに感じたことでもあるのですが、どうしても現地を歩きながらだと移動する時間と揃うのを待つ時間が必要になるので、話せる時間が相対的に短くなってしまいます。
そのため「あれもこれも話したかったけど、話せなかった」とくやしい気持ちが毎回残ります。
もちろんこれは一長一短で、現地で対象物を見て説明するからわかったり、印象に残ることも当然あります。
その一方で、知識を増やすことが目的なら写真を見せながら解説するだけでも十分なこともあるし、そのあと自分のペースで現地を訪問して確認してもらえればいいという考え方もできます(あるいは午前中に講座を、午後にガイドツアーというダブルヘッダーもアリか)。
そこで「歩かないガイドツアー」として座って聞く講座を開催しようと思います。
1時間とか2時間かけて、ぼくが知ってる二条城の知識をできるだけ多く伝える講座を開いたら、参加したいという方はいらっしゃいますかね。
二条城だけじゃなく明石城の話もできると思うし、ほかにも庭園の見方とか、障壁画の見方とか、ぼく自身が学んだことをシェアしていければいいなと考えています。
toproadさんが城がたり「よくわかる小牧山城」を企画してくれました。愛知県小牧市と調整してくださり、学芸員の方にZoomで話していただけることになりました。小牧山城の歴史、発掘調査の成果など、いろんな話が聞けると思いますのでぜひご参加ください。
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