本書は新田氏が別著『武田信玄』で魅せた緻密な史料考察をそのままに情感溢れる外伝作品に仕上げられている。短編ということもあり、より大胆な筆致で物語が展開される。
新田氏の作品の特徴は、「読者に対する配慮」だと思う。他の作家が作品中で歴史考察を挿入するのに対し、新田氏は各章毎の終盤に自身の考察・史料の引用部分を載せるという構成を採る。このような手法は、興を削がれる人もいるとは思うが、「史実との線引き」に対して少なからず配慮を求めてしまう読者には助かる仕様と思う。
『武田信玄』を既読の方もそうでない方も、またあまり歴史が得意でない方も楽しめる文学作品になっている。
タイトル | 新装版 武田三代 (文春文庫) |
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著者 | 新田 次郎 |
出版社 | 文藝春秋 |
発売日 | 2006-10-06 |
ISBN |
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価格 | 572円 |
ページ数 | 263ページ |
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