攻城団からのお知らせ

「日本史の知識をアップデートするための勉強会」を開催しました(第2回の開催も決定)

今日は京都市内で「日本史の知識をアップデートするための勉強会」の第1回勉強会を開催しました。

会場は二条城ガイドツアー後の懇親会で使わせていただいたり、最近では「嘉祥の儀」を開くのにお借りしたお店の会議室です。いつもは1Fのカフェを借りていますが、今回は会議室を使わせていただきました。

参加してくれたのは、さくらさん、たかみくらさん、もすもすさん、はつみんさん、ばやしさんの5人でした。「勉強しよう」という呼びかけに参加してくれる方がいたことがなによりうれしいです。
今日は初回ということもあり、まず自己紹介をしていただきつつ、事前に自宅で解いてきてもらったセンター試験(平成30年度「日本史B」)の感想を述べあうところからはじめました。

ただぼくらはセンター試験で満点を取ることが目的ではありません。自分が苦手としている時代やちょっとだけ自信が持てる時代のチェックをするために解いたのですが、正直「日本史の知識をアップデートするための勉強会」といいつつ、そもそもアップデートするほど習ったことをおぼえてないやということを自覚しました。
また受験時は世界史を選択していたので、あらためて日本史を通しで学んでみたいという参加者も複数名いましたが、そういう意味ではほぼ全員が白紙に近い状態ではじめることになったのは結果的によかったなと思います。

自己紹介のあとはほとんどフリートークだったので、詳細なレポートは書けないのですが、ぼくもすごく楽しかったし、3時間があっという間に過ぎ去るくらい盛り上がったので、なんとなくその雰囲気が伝わればと思いながら書きます。
今後もこの勉強会は継続していきたいので、仲間が増えるといいなと願いつつ書きます。
(今後の進め方については最後に書きます)

こんなふうに歴史を学んでみませんか

歴史というものは因果の繰り返しですよね。
物事には原因と結果があり、その結果自体が次のなにかの原因となり次の結果につながっていきます。そうして古代から無数にある条件分岐を繰り返して現代までつながってきたのが歴史です。IF(もしも)のうち、ひとつでもちがっていたらまったくちがう歴史になっていたことでしょう。

だから最初は「点」に興味を持てればよくて、そこから数珠つなぎに、芋づる式にたどっていけるのが歴史を学ぶことの楽しさだとぼくは思います。
テストがあるわけでもないし、時間もたくさんあるし、じっさいに現地にいって見ることができるのも大人になって学ぶことのメリットですから、その利点を最大限活かしつつ、楽しさと効率を両立させながら学んでいけるといいですよね。
(そしてどちらかを選ばなきゃいけない状況では迷わず「楽しさ」優先で!)

今日出た話を例にとると、狩野派が入門者に対してシステマチックに教えることになったのは、彼らが大量の受注をこなすためです。人気が出たこともあるし、また室町時代から戦国時代にかけての京都は火事ばかりだったので、大工の需要と同じように絵師の需要がすごかったんです。
次から次とくる注文にこたえるには漫画家と同じで優秀なアシスタントを短期で育てる必要があり、それが手本をひたすら模写するという教育カリキュラムにつながるわけです。

長谷川等伯も伊藤若冲もぼくらが名前を知ってるような絵師の大半は狩野派に一時的であれ師事・入門しています。
だけどまあ腕のある人ほど手本の模写ばかりだと嫌になるのですぐやめちゃうわけです。そして等伯は打倒狩野派を掲げて長谷川派を立ち上げるわけですが、狩野派から執拗な嫌がらせを受けます。仕事の妨害を受けていた等伯が智積院という大きなお寺の仕事を引き受けることができたのは狩野派のリーダー狩野永徳が亡くなったからです。しかし天才と謳われた息子・久蔵が夭折すると長谷川派も衰退します。誰かが亡くなると状況が一変するというのは現代でもよくあることです。
一方、若冲はもともと金持ちだったので趣味の世界に没頭し、コスパを考えると(受注仕事がメインの狩野派では考えられない)道楽の極致のような絵を描きます。当時は絵の具も高価でしたからね。

「狩野永徳が『唐獅子図屏風』を描いた」と丸暗記するだけじゃなく、永徳はどんな人たちと親交があったのか、誰と同時代なのかといったことも拾っていくと、点と点がつながっていきますし、そこが楽しいのです。
ちなみに『唐獅子図屏風』は現存していて、いまは宮内庁が所有しているというのも知っておくといいネタです。皇室の私有物は文化財保護法の対象外なので『唐獅子図屏風』は国宝に指定されていません。これは江戸城の富士見櫓が国宝や重要文化財でないのと同じ理由ですが、今日話すのを忘れてたのでここに書いておきます。
このように「ちなみに」や「余談だけど」がぼくだけじゃなく参加者からもどんどん出てきてて、参加者おのおのが知識を持ち寄ってシェアする場としても有益だなと感じました。

基本的にはこんなふうに連想ゲームのように「○○といえば」で話が次々とつながっていきました。
ぱっと思い出せるものだけでも、中村重遠や大隈重信の功績、全国にある軍の駐屯地だったお城、駿府城の天守台石垣、土地と茶器と位階、木材確保のための築城、複数ある「最後の城」、移築の意味、ほかにもいっぱいあったけど書き出すと止まらないのでこのへんにしておきます。
読んだ本、いったことのあるお城など、各自の体験をもとにした話もたくさん出ていました。

どうあれ「学ぶ」ということは「暗記する」ことが中心になりますが、ただ単語を記憶するのではなく、因果を含めて、周辺の出来事や関係者もまとめて記憶していきたいんですよね。
正確な年号がわからなくても、前後関係をちゃんと把握できているほうが望ましいというか、理解をしながらおぼえていくということを目指したいです。

読み比べのために事前に購入した教科書

今後の進め方について

主催者も参加者も非常に満足度の高い会になったので、今後も継続的に開催していくことにします。
今日参加者と決めたこととしては、

  • 開催日は奇数月の第三土曜日を基本としつつ、参加希望者の予定を聞きつつ毎回調整
  • 共通の教科書を買って、まず自分たちがいちばん興味を持てる戦国時代・江戸時代あたりから読んでいく

というふうに進めようと思います。
教科書は山川出版社の「新日本史 改訂版」に決めましたので、参加される方は事前に購入しておいてください。
Amazonでは買えないのですが、直販で買えます。もしかすると近所の書店でも教科書を取り扱っていれば買えるかもしれません。

新日本史 改訂版 日B315 | 山川出版社

新日本史 改訂版 日B315(教科書・指導書)/大津透他のご購入は、山川出版社公式サイトで。「歴史書・教科書・学習参考書の山川」として様々な歴史刊行物を出版しています。一部書籍は目次もご覧いただけます。

資料集や用語集などの副読本は必要に応じて買えばいいと思います。
今日参加者が持ってたのを紹介すると、山川出版社の「詳説 日本史図録」と帝国書院の「図説 日本史通覧」がどちらも充実してて良さそうでした。

勉強会専用のルームも公開ルームに切り替えましたので、興味のある方はぜひのぞいてみてくださいね。

「日本史の知識をアップデートするための勉強会」参加者用ルーム

参加者の声

最後に参加者からコメントをもらえたので紹介しておきます。参加を検討される際の参考にしてください。

今日はどうもありがとうございました。周りに同じ趣味で話せる人がいなかったので、どうしても自分の読んだ、見たものが全てという感じがありました。色んな方のお話を聞いて、色んな視点から歴史をみることができて、それがつながるところに感動しました。
ゆるやかなギブアンドテイクの現実版という感じで心地よかったです。日本史という大枠の中で皆さんそれぞれのお城愛が見えかくれしていて攻城団いいね~と実感しました。(さわやかハンバーグ、徳川美術館、秀忠エライなどあれこれメモしたのでこれからの私の独習も楽しみです。)
攻城団らしい、緩やかで和やかな会で、参加してよかったなぁと思いました。トークで進行していく勉強会も大いにありだと思いました、また今後も参加させて頂きたいです。ありがとうございました。

第2回の開催も決定!

第2回の勉強会は9月21日(土)に決定しました。興味のある方はぜひご参加ください!

参加の受付は終了しました。
   
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