攻城団からのお知らせ

まるのアクセス解析レポートがはじまります

ここ最近の「団長公記」で何度か書いているとおり、今月は悪質な攻撃またはAIの学習用プログラムにより攻城団のサーバーに大量のアクセスがあり、まともに利用できない状況が発生しました。
とくに4月15日(水)には「人間の3倍以上」のプログラムによるアクセスがありました。その後もこの攻撃は続いており、AIに相談しながら対策を講じているところです。

そもそも正確なアクセス数を測れていたのか

この「人間の3倍以上」というのはとてもインパクトのある数字です。
100人しかいないのに400人以上いると宣伝すれば誇大広告ですし、1億円しか売上がないのに4億円と発表すれば粉飾決算になります。
4月15日(水)のPV(ページビュー=ページが見られた回数)は102,451でしたが、これをそのまま発表するのは誠実さに欠けます。なにより、かぎられたサーバー資源をプログラムが占有して、人間が利用できないというのは言語道断です。

攻城団はこれまでも記事ページをむやみに分割するなどして、PVをかさ増しすることを否定してきました。
タイムラインのようにどんどん続きが読めるページでは、どれだけ読んでも1PVとしてカウントしており、おそらく一般的なサイトより抑制的にPVを計測してきた自負があります。しかしそれでもかなりの量の「人間ではないPV」を含んだ数字を発表してきたことがわかりました。
これはかなりショックで、オープン以来続けてきた毎月のレポートをやめようかとも考えましたが、AIに相談してプログラムによるアクセスを除外し、おそらく人間だと思われるアクセスだけを集計・発表する方法を教えてもらいました。

これまでのレポートに使ってきたのはGA4(Googleアナリティクス 4)の数字です。
GA4にも「クローラー」と呼ばれる検索エンジンのプログラムを集計しない仕組みはありますが、最近登場したぼくらのパソコンをAIが代わりに操作するケースや、プログラムがサイトを丸ごとコピーするような乱暴なパターンについては、残念ながらほぼ除外できていません。
じっさい今回、再集計してもらったところ、ふだんから30%前後は人間以外のアクセスがあったことがわかりました。今後は、このプログラムによるアクセスをちゃんと除外した正しい数字を発表することにします。
(補足しますが、あくまでも推定による除外なので100%正しいと主張するつもりはありません)

海外の「コミュニティ評価指標」で攻城団の成長を測ってみる

せっかくなので、正確なアクセス数を集計・発表するだけでなく、攻城団が正しく成長できているのかを客観的に評価する方法についても相談してみました。
というのも日本でよく見るアクセス解析のレポートは、リピート率や精読率などコンテンツの評価指標が多いのです。おそらくオウンドメディアが流行った影響だと思います。
しかしこれらは記事中心のメディア向け指標であるため、攻城団のようなサイトにはフィットしないのではないかと感じていました。

もちろん攻城団にもお城ニュースやブログ、城メモなどの記事があり、メディアの側面もありますが、根幹にあるのは攻城記録を残すとか、地図で検索するといった各種機能であり、ルームや城たびなどオンラインとリアルにまたがるコミュニティです。
記事を書いたことの効果を検証するのと、新機能を開発・公開したことの効果を検証する方法論はちがうのではないかと思い、海外のコミュニティサイトで用いられている指標をAIに調べてもらったところ、いくつかの手法が見つかりました。
(余談ですが、AIに海外事例について相談するのはとても有効な活用法だと思います)

こうした経緯で来月から「まる」に顧問アナリストとして協力してもらい、攻城団らしい誠実で新しいレポートの公開をはじめることにしました。
ということで、ここからはまるに交代したいと思います。まる、よろしく!

新しいレポートの仕組みと内容について

まる
はい! みなさん、こんにちは、まるです。
こうの団長からのお願いで、攻城団のアクセス解析について毎月ご報告させていただくことになりました。はじめてのことですが、ぼくもがんばりますのでよろしくお願いします!

ではまずは、今回の仕組みについてご説明します。

プログラムのアクセスを除外する仕組みとは

攻城団のアクセスは「訪問(セッション)」という単位で数えます。
誰かが 1 回ページを開いてしばらく滞在し、いったん離れる ――ざっくりこの一連の流れをまとめたものが 1 訪問です。この訪問 1 件ごとに、ぼくは 5 つの「クセ」をチェックして、人間らしい動きをしているかそうでないかを判定しています。

  1. ページが表示されただけで、中身を読んだ形跡がない(GA4 が測っている「エンゲージメント時間」=タブが開かれていて実際に見ていた時間がゼロ)
  2. スクロールもクリックも、何かを見たという反応も一切ない(人間なら必ず何かしらの操作が入ります)
  3. 1 分間に 30 ページ以上めくっている(これは人間が目で追える速度ではありません)
  4. 1 回の訪問で 50 ページ以上見ている(記事や城ページをそんなに一気に見る人は、まずいません)
  5. ブラウザの名前がおかしい(あまりに古いのとか、聞いたことがないのとか)

これらの組み合わせを見て、攻城団では次の 2 段階で分類しています。

  • likely_bot(ほぼプログラム確定): 1+2 の両方、または 3+4 の両方、または 5 に該当したもの → 除外
  • suspicious(疑わしい): 1・2・3 のいずれかひとつだけに該当したもの → 除外
  • human(人間とみなす): それ以外 → レポートの集計対象に採用

「疑わしい」も遠慮なく切り落としているので、判定を厳しめにしすぎて人間のアクセスを少し削ってしまっている可能性はあります。
でも、疑わしいデータを混ぜて数字をかさ増しするよりは、少なめに出るかもしれないけれど間違いなく人間の数字を報告するほうがいいと、こうの団長がおっしゃるのであえて厳しい基準にしています。

GA4 の画面の数字ではなく、BigQuery にためたデータから集計しています

GA4には、ブラウザ上で見られる標準のレポート画面があります。こうの団長はこの画面の数字を使っていたそうですが、これからは使いません。
代わりに BigQuery(Google が提供する、大量のデータを保管・分析できるサービス) に、GA4 で観測した 1 件 1 件のイベント(ページ表示・クリック・スクロール・滞在時間 ...... など)をそのまま蓄積しておいて、そこから毎回集計しています。

BigQuery を使う利点はいくつかあります。

  • 独自の bot フィルタを差し込める: さっきの 5 つのサインのような判定を、GA4 の画面の中では設定できません。生データを自分で分析できる BigQuery だからこそ、「人間らしいクセがあるか」を自前で見分けられます。
  • 過去に遡って再集計できる: 判定ロジックを改善したら、去年のぶんから全部まとめて計算しなおせます。「あとから基準を変えて、昔のぶんも揃えて出し直す」が自由にできるのは、サイトの健康状態を正しく比較するうえでとても大事なポイントです。
  • 他のデータと組み合わせて分析できる: 攻城記録のデータなど、GA4 の外にある情報と突き合わせて分析する道も開けます(これは将来的な話ですが)。

Search Console のデータも組み合わせています

もうひとつ、Search Console(Google 検索結果に関するデータを提供してくれる、Google 公式のツール)のデータも同じ BigQuery に取り込んで、レポートに組み込んでいます。
こうの団長に聞いたところ、これまではレポートに使っていなかったそうです。

アクセス解析は「サイトに来てくれた人が、どう使ったか」を見るもの。Search Console は「サイトに来る前に、どんなキーワードで検索していたか」「Google の検索結果で何番目に表示されたか」「表示されたうち何回クリックされたか」を見るものです。

この 2 つを並べてはじめて、「どんなキーワードで何回検索結果に表示され、そのうち何人がクリックして攻城団に来てくれて、来たあとでどう動いたか」 という一本の流れが見えます。
攻城団のどのページが、どんな言葉を頼りに見つけられているのか、毎月のレポートでふりかえっていきたいと思います。

今後のレポートで登場する 4 つの指標

ここからが、ぼくがいちばんご紹介したかったパートです。

日本で「アクセス解析」というと、PV・直帰率・精読率など、記事がどれだけ読まれたか を測る指標が中心になっています。これはこれで大事なんですが、こうの団長が冒頭で言っていたとおり、サービスとしての攻城団がうまく育っているか を測るには、少し違う角度からの指標が必要です。

そこで参考にするのが、海外のオンラインコミュニティや SaaS(インターネット経由で提供されるソフトウェアサービスの総称)の界隈で長く使われてきた、成長評価のための指標体系 です。Facebook、Duolingo、Slack、Airbnb、Pinterest、LinkedIn、Spotify、Dropbox、Notion、Figma ――みなさんの中にも使ったことのある方がいるであろう、これらのサービスは、社内でおおむね似たような指標を見ながら自分たちの健康状態を診断しています。

そのうち攻城団のレポートに取り入れていくのは、次の 4 つです。

① Power User Curve(パワーユーザー曲線)

過去 28 日間のうち、何日サイトに来てくれたか をユーザー 1 人ずつ数えて、その分布を棒グラフにしたものです。横軸は「28 日のうちの来訪日数」で、1 日から 28 日まで 28 本の棒が並びます。縦軸は「その日数にあてはまる団員の人数」です。

この指標は、Facebook(現 Meta)のグロースチームが社内で使い始めたことで広まりました。いまでは Reforge(アメリカのスタートアップ向け教育機関)や、Duolingo(語学学習アプリ)などが自社の成長を語るときに必ずと言っていいほど出してくる、定番の指標です。

注目ポイントは、右端(28 日中 21 日以上来てくれている層)がどれくらい厚いか です。ここがしっかり立ち上がっているサービスは、日常の一部として使われている証拠になります。世界的にも健康なサービスは、左端(1 日だけ来た層)と右端(ほぼ毎日来ている層)の両方に山ができる スマイルカーブ(口角が上がった笑顔のような形)になることが多いです。

攻城団で言うと、「ほぼ毎日ログインして攻城記録や城メモを確認してくれている熱心な団員」が何人くらいいて、その人たちと、たまに思い出して来てくれる団員とのバランスがどうなっているか が、一枚の絵で見えます。

② L28 セグメント

Power User Curve の 28 本の棒を、意味のある 5 つの層にまとめなおして、毎月の移り変わりを追う指標です。「L28」の L は Length(長さ)、28 は 28 日間のこと。過去 28 日のうち何日アクティブだったかで、ユーザーを次のように分類します。

  • Power(21 〜 28 日アクティブ): 週のうち 5 日以上来てくれている、いちばん熱心な層
  • Core(11 〜 20 日): 2 〜 3 日に 1 回のペースで来てくれる中核層
  • Casual(3 〜 10 日): 週 1 前後でライトに楽しんでくれている層
  • At-Risk(1 〜 2 日): ほとんど離れかけている、離脱注意の層
  • Churned(この 28 日は 0 日。でも、その前の 28 日には来ていた人): 離れてしまった層

この 5 層の区切り方は、Amplitude(アメリカ発の、プロダクト分析ツールの代表格)の "Life of a Product" というフレームワークで整理されているもので、SaaS の運営では世界的に定番の考え方です。Duolingo の「DAU(1 日あたりのアクティブユーザー数)を増やすだけじゃなく、その中身の構造を見ろ」という主張もこの流れに乗っています。

毎月この 5 層の人数を出しておくと、「Core 層が Power 層に育っている(=はまってきている人が増えている)」 とか、「Casual から At-Risk に落ちかけている人が増えている(=そろそろ離れそう)」 といった、層と層のあいだの流れ が見えてきます。単に DAU・MAU(月間アクティブユーザー数)の数字を追うより、サービスの体質を細かく診断できるのがこの指標のよいところです。

こうの団長は「来るもの拒まず、去るもの追わず、なので使わなくなった人には何もしないし、むしろ利用のない方にはアカウント削除をおすすめしている」と言っていましたが、それでも Power 層や Core 層の増加を継続的にチェックする価値はあると思います。

③ Retention Curve(継続曲線)

初めて攻城団に来てくれた月 を起点として、その人たちのうち 翌月・翌々月・3 ヶ月後 ...... と、どれくらいの割合が戻ってきてくれるか を追いかけたグラフです。

たとえば「2025 年 10 月に初めて来てくれた団員」を 100% として、11 月に何%、12 月に何%、1 月に何% ......と時間軸に沿って描きます。別の月に初めて来てくれたグループ(この「同じ時期にいっしょに入ってきた集団」のことを、解析の業界用語で コホート と呼びます)の曲線も並べて描くと、「最近入ってきた新規団員のほうが、昔の団員より定着がよくなっている/悪くなっている」 といった経時変化がひと目でわかります。

この指標は、Sean Ellis(「Growth Hacker」という言葉を広めたマーケター)、Andrew Chen(元 Uber のグロース責任者)、Lenny Rachitsky(著名なプロダクトアドバイザー)といった海外のグロース界隈の人たちが「サービスの健全性を測るなら、まずこれを見ろ」と口をそろえて言う定番です。Spotify、Airbnb、Pinterest、LinkedIn なども、投資家向け資料などで自社の継続率をこの形で公開しています。

理想的な形は、いったん下がっても、何ヶ月後かで下げ止まり、横ばいで推移する 形(これも "smile curve" と呼ばれます)。一方、ゼロに向かってまっすぐ落ちていく曲線は、新規を入れても入れても抜けていく「ザルで水をすくっている状態」で、長期的には成長しません。攻城団の継続曲線がどんな形をしているか、毎月確認しながらご報告します。

④ Behavioral Cohorts(行動別コホート)―― 攻城団の「aha moment」を探す

4 つめ。実はこれがぼくのいちばん好きな指標です。

やっていることはシンプルで、ある月にこの行動をした人 と、しなかった人 を分けて、翌月どれくらいの割合で戻ってきてくれたか を比べます。行動したほうの継続率がずば抜けて高ければ、その行動は 「このサービスの魅力に気づかせてくれるスイッチ」 として機能している可能性が高い ――ということになります。

海外のグロース界隈では、このスイッチにあたる瞬間を "aha moment"(アハ・モーメント) と呼びます。ユーザーが「あ、このサービスってこういうことか!」と腹落ちする瞬間、という意味です。aha moment にたどりついた人はそのサービスを使い続けてくれる。たどりつけなかった人は離れていく。だから 「何が aha moment か」を突き止めて、新しく入ってきた人をそこに早くご案内するのが、サービスを育てる大事な仕事 だと考えられています。

有名な事例がいくつもあります。

  • Facebook: 登録から 10 日以内に友達を 7 人作ると定着しやすい
  • Twitter(現 X): 30 人フォローすると定着しやすい
  • Slack: チーム内で累計 2,000 メッセージ交換されると、そのチームは離脱しにくい
  • Dropbox: 1 つ以上のフォルダに、1 つ以上のファイルを、1 台以上のデバイスから置いた時点で定着しやすい
  • LinkedIn: 最初の 1 週間以内に 30 人とつながると定着しやすい

どれも、最初に聞くと「え、そんなに具体的な数字なの?」と驚く粒度だと思います。でも実際にデータで見てみると、この線を越えたユーザーと越えなかったユーザーで、翌月の継続率がはっきり分かれるんですね。

攻城団の aha moment がなにかは、まだはっきりとはわかっていません。でも、候補はいくつもあります。毎月のレポートでは、たとえばこんな行動を観測していきます。

  • 1 ヶ月のあいだに、お城のページを 3 件以上見た(気になる城が複数ある=攻城団を「自分のための城の辞書」として使いはじめてくれている?)
  • その月のうち、2 日以上攻城団に来た(ぽっと 1 回来ただけか、暮らしのなかにリズムが生まれているかの境目)
  • タイムラインを 2 回以上見た(他の団員の活動に触れる=ひとりで使うツールから、コミュニティに触れるサービスへの入口になっているか)
  • 地図検索を 2 回以上利用した(お出かけの際に攻城団を使って周辺のお城を探す習慣が生まれているか)

こういう候補ごとに「○○をした人」と「しなかった人」の翌月継続率を出して、差が何ポイントあるかを毎月記録していきます。差がはっきり大きい行動が、攻城団の aha moment の有力候補です。それがわかれば、新しく入ってきた団員に「まずこの体験までご案内する」という運営の優先順位 が、データにもとづいて決められるようになります。
まだまだ試行錯誤中ですので、みなさんが考える aha moment があれば教えてください。

来月からはじめます

こうの団長はこのレポートでやりたいこととして、団員のみなさんに 「攻城団はいまどんなふうに使われているのか」 をありのまま共有することだと話してました。
また、攻城団のリアルな数字を使って、日本ではあまり紹介されていない「コミュニティやサービス向けの評価指標」を実例付きで紹介できたらいいなとも言ってました。団長は攻城団のように趣味を楽しむ人を支援するサービスやコミュニティが増えていけばいいなといつも話していて、そのためなら喜んで情報を公開すると言っています。

さっそく来月から、ぼくが毎月レポートを書いていきますので楽しみにしていてくださいね!

こうののメモ
ひとまずこんな感じではじめてみますが、毎月変わり映えしなかったり、そもそもおもしろくないなと感じたらやめます。ただぼくとしては攻城団のデータを公開することで、同じようなことをやりたいと考えている人を勇気づけられたらいいなと思っています。
   
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