11月9日に京都市内で「攻城団お城講座」を開催しました。
初開催となる今回は「めっちゃよくわかる二条城」というタイトルでぼくが講師をつとめました。3時間弱となる長時間の講座ではありましたが、みなさんとても熱心に聞いてくださって、今後の継続開催につながるいいスタートをきれたと思っています。
以下に簡単ではありますが、レポートを書きます。
なお当日話した内容の詳細については有料講座であることを踏まえて「さわり」だけご紹介します。今後も定期的に同じテーマで開催するつもりですので、また次回二条城の講座を開催するときにご参加いただければうれしいです。
(次回開催時のお知らせメールについては記事の最後で案内しています)
講座の内容をどのように構成するかについてはギリギリまで悩み、また何度も変更しました。
最終的にはすでに攻城団の公式イベントとして開催している「二条城ガイドツアー」と相互補完になるように、全体の構成を整理しています。具体的には前半の約1時間で二条城の歴史について話し、後半の約1時間で桃山文化の集大成としての二条城という切り口で、とくに現存する二の丸御殿障壁画を担当した狩野派について説明しました。ほんとうは御殿建築や二の丸庭園についても話したかったのですが、時間の関係で障壁画にしぼりました。
日本建築・日本庭園の歴史や見方についてはまた別の講座としてやれたらいいですね。
ガイドツアーでは現地案内ということもあり目に見えるものの紹介が中心になるので、講座では天守や行幸御殿などすでに失われていて見ることができないものの紹介や、現在の二条城に至るまでの歴史について話すことにしました。さらに見えているものをより深く理解できるように、その背景や周辺情報についてもたっぷりお話ししました。
かなり詳細に書き込んだ配布資料を用意したので、講座ではその補足情報を中心にお話しています。
二条城というお城はじつに変わったお城で、もともとは家康が上洛時に宿所として使用するために築いています。
その後、天皇の行幸という一大イベントに使われたわけですが、このような利用目的では戦うことをまったく想定していないと言ってもいいでしょう。
にもかかわらず、現在も見られるように本丸の東西に枡形虎口(しかも内枡形と外枡形!)を構築し、多門櫓や雁木といった防御設備を備え、おまけに天守は最新式の層塔型天守で天守台の天端石には鉄砲狭間の痕跡も見られるし、当時の「戦うためのお城」としての最先端技術が詰め込まれているというのはなんとなく矛盾していますよね。
この矛盾の解釈はいろんな考え方があると思うのですが、とくに寛永の改修に関しては天皇に披露するためのモデルルームとしてあえて城郭の構造を見せたのではないかとぼくは思っています。
ぼくの推理が当たっているかはともかく、天守こそ焼失して現存してませんが、二条城は典型的な輪郭式の縄張りで、内堀と外堀があり、石垣も野面積みっぽいものから切込接ぎの箇所まで揃っていますし、先に上げたような枡形虎口や雁木も含め、初心者がお城の構造を理解するのにもかなりオススメです。
もちろん大阪城でも同様の遺構を見ることができますが、かなり広大なので見学の所要時間を考えると、コンパクトにまとまった二条城ってちょうどいいと思いませんか?
また当時の最高の絵師や彫師が内装を手がけており、それらが見事に残っているのも二条城のすごいところですが、ただ「きれいだなあ」「金箔は豪華だな」で終わらせるんじゃなく、ひとつ一つの画題の意味なども理解することで、二条城がいかに敬意と祝賀に満ちた空間だったかがよくわかります。
今回は二の丸御殿の障壁画を手がけた狩野派について詳しく話しましたが、このとき彼らは天守や行幸御殿などすべての建物の障壁画(天井画も)を担当しているおり、それを1年2ヶ月で描き上げています。
それができたのは2代・元信がつくりあげた工房としてのシステムによるのですが、そういった話もしました。
(以下は資料の一部です)
部屋の格式に応じて画題を自動的に選べるようにしたのも大量の注文をさばくためのスピードアップの手法です。
こういう背景を知っていると、なぜ二条城二の丸御殿も名古屋城本丸御殿も最初の部屋に虎の絵が描いてあるのかがわかりますよね。
質疑応答の時間も用意しましたが、みなさん積極的に質問してくださったので、ほかの参加者にとっても有意義な時間になったのではないかと思います。
ガイドツアーの3時間と比べると目標どおり、その5倍くらいの情報はお伝えできたかなという手応えはありますが、時間の都合で割愛した内容もまだまだたくさんありますので、また別の機会に紹介できればいいですね。
最後になりますが、今回ご参加くださったみなさん、ほんとうにありがとうございました。
講座の内容を振り返りながら、あらためて二条城を訪問してみてくださいね。ガイドツアーも来年にはやりますのでぜひご参加ください。
また個人スポンサーのうち2口以上ご支援くださった方には近日中に当日の配布資料をお送りしますので楽しみにお待ちください。
次のテーマを考えているところですが、これからも攻城団お城講座は継続的に開催していきたいと思っています。
当初はぼくが講師をつとめますが、いずれは外部講師もお招きしながら月イチくらいのペースで開催できればいいですね。
とりあえず次回の開催が決定したら知らせてほしいという方は以下のフォームに登録しておいてください。日程と内容が決まり次第、速報としてご連絡させていただきます。
(予約ではありませんので、内容を見てから参加の判断をしていただければけっこうです)
今回のアンケートで「継続的に参加したいので今後のスケジュールを公開してほしい」という声もいただいているので、できるだけ早く先々の予定を決めていくようにしますね。
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