デュラけん(でゅらけん)さん 家老   フォロー

晴攻雨読、聖地巡礼、山城トレッキング。
基本自転車、遠方は公共交通機関を利用し、輪行にて攻城しております。
レビューの関連書籍は、ネット予約し図書館で借りて読んでいます。

デュラけんさんのレビュー(書籍)

デュラけんさんは49件のレビューを投稿しています。

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茜唄(上)

“祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり”
有名な冒頭文からはじまる平家物語を
筆者独自の視点で描いた歴史小説です。
“歴史とは勝者が紡ぐもの”
敗者側から見たこの物語は 余計に悲哀に満ちたストーリーとして後世に語り継がれていると思います。大河ドラマ”鎌倉殿の13人”を見ていたので、登場人物がイメージしやすかったです。

【第18回中央公論文芸賞受賞】パシヨン

キリシタン大名小西行長の孫で、“最後の日本人司祭”となった小西マンショを主人公とした物語です。
長崎、天草、にて圧政のなかで禁教されたキリスト教に救いを求めた人々が描かれております。
“自由”とは学ぶことにより、行動することにより勝ち取るものであると教えられたのと、京都大学の掲げる”自由”がふと頭によぎりました。
井上正重、天草四郎なども登場します。
原城攻城の際はご一読おすすめします。

室町無頼

室町時代 応仁の乱直前の京において
赤松残党の末裔で不遇な生い立ちがあるが故、武術のみでしか生計をたてられない17歳の少年が主人公の物語です。

お城は登場しませんが、伏見稲荷大社、向日神社、相国寺大塔、糺の森などが出てきます。
藤木 久志先生の著書”雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り”を参考文献の一冊とされており、時代考察もある程度取り入れていると思われます。

信長の原理

織田信長の生まれてから亡くなるまでを蟻の法則をひとつのテーマとした歴史小説です。
家臣達の心の内がまことしやかに描かれており、諸説あるなかで、明智光秀が何故”本能寺の変”をおこしたのか?自分としては 一番しっくりきました。

見果てぬ王道

革命いまだ成らずと遺訓をのこし亡くなった中国革命の父、孫文を支援し続けた日本人・梅屋庄吉の生涯を描いた歴史小説です。
波瀾万丈の生涯であり、経済的にゆとりがあったわけではなく、事業を成功させて求められれば経済的支援にまわす、お人好しというのかお金に執着しない庄吉は人間的な魅力があり面白かったです。
宗三姉妹のうちの長女・靄齢(あいれい)次女・慶齢(けいれい)も登場します。
映像の世紀バタフライエフェクト「中国 女たちの愛と野望」をみていたので、興味深く読むことが出来ました。

光秀の定理 (単行本)

牢人時代から本能寺の変までの明智光秀を描いた歴史小説です。
著者 垣根涼介さん”涅槃”が面白かったので、他の作品も読んで見たいと手にしました。
天性の才を持ちながら、誠実過ぎるが故に不器用な光秀を、架空の人物を交えながら描かれております。
大河ドラマ”麒麟がくる”を見たあとに読みましたので、より一層光秀像がイメージできました。

幸村を討て (単行本)

戦国時代最後の戦、大阪夏の陣での真田幸村に焦点をあてた歴史小説です。
物語の主要人物、(徳川家康、真田信之、織田有楽斎、南条元忠、後藤又兵衛、伊達政宗、毛利勝永)の夏の陣に加わるまでのエピソードを各論で紹介しており、それぞれが描いた夢と想いを叶えるため、タイトルにある”幸村を討て”が色んな形で表されています。
直木賞に選ばれた”塞王の楯”もよかったですが、個人的には本作品のほうが面白かったです。

涅槃 上

戦国の梟雄と謳われた宇喜多直家の生涯を描いた歴史小説です。

官能小説かと思わせるくらいの性的な描写があるにも関わらず、全体的に低俗な印象は無く、人間味溢れる物語でした。

備前、備中のお城がよく登場し、下巻では三国一の美女おふくさんもしっかり登場します。

現在のJR岡山駅界隈の発展の礎を築いた人物であると改めて認識しました。

塞王の楯

一乗谷の戦いから関ヶ原の戦いまで、強固な石垣を組み、城を守ろうとする石垣職人集団・穴太衆。強力が故に決して使われない砲をつくろうとする鉄砲職人集団・国友衆。己の信念を貫き、それぞれの技術の競いあう様を描いた歴史小説です。
石垣から当時の歴史が見えてくる、そんなことを考えさせてくれる一冊であると思いました。

戦国の村を行く (朝日新書)

城主のいない独自の山城を持ち、いざ戦となれば、避難所としての役割を果たす。自衛の武装をし、外敵から自分たちの村をまもり、領主とも交渉し渡り合うなど、中世における村の人たちが どのようにして乱世を生き抜いてきたか、多くの資料を読み解いて解説されております。
同時代を描かれた児童文学”ゆき”が時代考証を元に描かれたものである再度認識できました。
後半は著者の出身地である鎌倉の村のことが詳しく書かれてます。

ゆき (講談社文庫)

雲の上の少女が戦で疲弊した下界に降り、汚れきった世界を浄化しようと奮闘する物語です。
弱者、農民の立場から見た中世の戦と暮らしが描かれております。
児童文学ではありますが、大人でも十分楽しめる作品であり、ジブリ映画を見ているような清々しい気持ちになりました。

【新版】 雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り (朝日選書(777))

戦国時代、華々しい大名中心の歴史の裏に 悲しい出来事があった事実を紹介されております。
天下統一により有り余った戦エネルギーを城づくりにまわす、文禄慶長の役で国外へ向けるなど、筆者の豊臣平和の解釈に賛同したくなります。

荒城に白百合ありて

幕末の混乱期、尊王攘夷の嵐が吹き荒れる激動の時代、薩摩藩の青年と会津藩の女性を主人公とした恋愛小説です。
主人公は架空の人物ではありますが、実在した人物を交え、時代の流れに呑み込まれなが抗う人達の心情と生き様が描かれております。

当時の江戸城下での各藩の生活、会津若松城攻めが詳しく紹介されております。
敗者側の目線でみる内容は新鮮味があり、すらすらと読めました。

なぜ秀吉は

文禄慶長の役をクローズアップした小説になります。

秀吉が文禄慶長の役を思いついたのはが当時49歳

茶々(淀の方)が芝山城に逃れてきた当時は16歳 

登場人物の当時の年齢を示されることにより、より想像を掻き立てられます。

架空の人物も交えながら、何故秀吉は思いついたのか、をテーマに物語は展開していきます。

歴史観は新しい発掘により覆される。
今迄の定説が実は全く違っていたということがあります。
妄想を膨らませ、自分なりに仮説をたててから城巡りをしてみると、より有意義な時間が過ごせると思わせてくれた一冊です。

もろびとの空 三木城合戦記

戦国時代、三木合戦における三木の干殺しを題材とした歴史小説です。
勇猛果敢に戦場を駆け巡った別所波も登場します。
負け戦であっても、名門である家名を重んじ抵抗する者、毛利と織田の間で揺れ動く者、
兵糧攻めの悲惨さを克明に記されております。
戦とはこうも残酷なものなのかと、思い知らされました。

新装版 最後の将軍 徳川慶喜 (文春文庫) (文春文庫 し 1-65)

司馬遼太郎著の江戸幕府の最期の将軍、徳川慶喜の生涯を描いた歴史小説です。
尊王攘夷思想の水戸史観を持ち合わせ、多芸多才で、家康公再来ともてはやされるも、賢しこ過ぎるが故に孤立してしまう人物像に惹かれました。
城巡りをしている時に、偶然出会った19歳の司馬遼太郎ファンの方に紹介してもらい、読むことにしました。
彼にあっていなければ、読んでいなかったかもしれない、思い出に残る書籍となりました。

宝島

沖縄のコザを舞台に、沖縄戦直後から日本返還までの 米軍と対峙する沖縄の人たちの物語です。
米軍から物資を盗んで、地元の人に配る英雄 戦果アギヤーの失踪からストーリー(ミステリー)は始まります。
基地問題など、沖縄のことは知ったつもりでいましたが、小説で読むと、見えていなかった真実が見えたような気がします。
癒されることのない深い傷を負ってでも、なんくるないさと立ち上がろうとするウチナンチュたちに、心を揺さぶられました。
特定のお城(グスク)は出てきませんが、琉球神道における祭祀などを行う施設の御嶽(ウタキ)が登場します。
沖縄でお城巡りの際には、このウタキを実感しながら行きたいと思います。
第160回直木賞受賞作品

黒牢城

反逆の城主 荒木村重と囚われの軍師 黒田官兵衛の有岡城(伊丹城)を舞台に繰り広げられる歴史小説です。

惣構えのお城での生活、勝ち戦での首検分の作法、籠城戦での家臣の働きなど、解りやすく表現されてます。

何故当主を追放をしたのか、家督を守るとはどういうことなのか、武士とはどうあるべきなのか、登場人物の心の葛藤が見えてきます。

この小説を書くきっかけになったという芥川龍之介の俊寛も読んでみたいです。

2021年山田風太郎賞受賞作品

海神の子

明から清へとうつる動乱の時代、長崎平戸から、中国、台湾を舞台に繰り広げられる海賊の物語です。

近松門左衛門の国性爺合戦を著者川越宗一先生が独自の視点で描いております。

それぞれの立場の人達が、行き場を失い、運命に争い、大海原に活路を求めて生きていく様は心を打たれました。

燃えよ剣(上) (新潮文庫)

司馬遼太郎の代表作であり、幕末の騒乱期、新撰組を描いた歴史小説です。
筆者は、元新聞記者であり、徹底的に調べてから書くスタイルなので、時代考証も信頼出来ると思います。
子供の頃から活字嫌いで、本を読むことが苦手であった私でさえも夢中にさせられました。
京都の通り名と地名、関西から北海道の由縁のある名所からお城まで、聞いたことのある場所、知っている場所も沢山出てきたので、どういう軌跡を辿っていったか容易に想像すること出来ます。
機会をみて巡りたいと思います。

対になる作品、「竜馬が行く」も同時期に書き上げたらしく、次に読もうと思います。

豊臣家の人々 (中公文庫)

貧農の出であるがゆえ、征夷大将軍ではく公家の最高権威 関白になる道を選んだ豊臣秀吉と運命を翻弄される一族を描いた歴史小説です。
北の政所寧々に対する淀殿茶々と秀頼、追い込まれる秀長、政治の道具として扱われる妹と母など、短編でありながら物語は繋がっており、登場人物の性格 特徴 生き様を見事に描いた司馬遼太郎ワールドにひきこまれます。
関連するお城もたくさん出てきます。

新装版 箱根の坂(中) (講談社文庫)

戦国時代の口火を切った北条早雲の生涯を描いた司馬遼太郎の歴史小説です。
京都で足利家に仕えていたころから物語は始まります。室町時代の混沌とした世の中に、禅宗の教えから自らを律し、民の平穏、時代の流れを変えようとした生き様が描かれております。
北条早雲の生まれが、岡山説である聞き、曹洞宗のお寺を訪れたことがきっかけで、この作品を読みました。
随所に、詩を用いて、登場人物のイメージを膨らませる、また言葉の意味 語源を深く解説するなど「司馬遼太郎ってやっぱり凄い!」っと思わせる作品でした。

宇賀島水軍伝

山口県周房大島界隈、宇賀島水軍の人々を中心に描かれた歴史小説です。
厳島の戦いで負けた側の人たちの物語は少ないとのこと。
いきなり夜這いからはじまる書き出しは、 正直びっくりしましたが、成長していく過程で、次男坊の主人公の実直さ真面目さが上手く表現されております。
村上水軍がよくとりあげられる中、瀬戸内には、こういった存在が歴史の裏に存在したのだと再度認識させられました。

じんかん

麒麟がくるが放映されている間は、同時代の小説は読まないつもりでおりましたが、図書館にて今村先生の名前を目にした瞬間に即借りしました。
伝聞では、悪役の松永久秀ではありますが、戦の世を終わらせようと、心のうちが描かれており、期待を裏切らない面白さでした。

アイヌ神謡集 (岩波文庫)

銀の滴(しずく)降(ふ)る降るまわりに、金の滴降る降るまわりに。
19歳の若さで亡くなったアイヌの少女、知里幸恵さんが、絶滅に追い込まれていたアイヌ伝統文化を残そうと魂をこめて神謡を編訳されたものです。
「熱源」を読んでなければ、出会わなかったと思います。スピンオフ作品のつもりで読みました。
動物にも、草木にも、大地にも神がやどるという考え方に心惹かれました。
末尾に、金田一京介先生とアイヌ初の北海道大学教授となった弟の知里真志保先生の解説あります。

【第162回 直木賞受賞作】熱源

北海道、樺太のアイヌの人達を中心に描いた歴史小説です。 
明治から昭和にかけて、二度の世界大戦の中、日本とロシアの間で、それぞれの都合を押し付けられ、翻弄される樺太の人たち。
ドイツとロシアの間で、独立を夢見るポーランドの人たち。
生まれ育った故郷、文化を守るため、大国、強者の理念、時代に抗いながら生きていく人々の熱い思いが伝わってきます。
一つの出来事にたくさんの文字を連ねることなく、感動を与える表現力は流石だと思います。
図書館の予約待ちで、半年後にようやく読むことが出来ました。
著者、川越宗一先生の小説は、まだそんなに出回っておらず、今後も期待したいです。

桃山絵画の美―天才、異才、奇才の華麗なる世界 (別冊太陽 日本のこころ 145)

狩野永徳、長谷川等伯などの桃山時代を代表する絵画を紹介している書籍になります。
皆さんのレビューで「花鳥の夢」を読んで、狩野永徳の『洛中洛外図屏風』に本当に足利義輝公か描いてあるのか興味があり、図書館で借りてきて読みました。
右から6枚目の御所の西側(下側)の斯波氏屋敷の前で闘鶏を見物している中央の子供が義輝公とのことです。
写真では小さすぎてわからなかったので、ネットで調べてやっとわかりました。

監修者は近世日本絵画研究者の元同志社大学文化情報学部教授、狩野博幸氏であり、「作品と画家名の羅列と紹介のみで済めりとする教科書的記述は筆者のもっとも厭悪すべきこである」と書いているように、それぞれの絵の細かい解説と作者の生い立ち、時代背景など詳しく書かれております。

義輝公か望んだ、戦のない平和で豊かな京の町、「洛中洛外図屏風」の実物ををじっくり見てみたいと思うと同時に、改めて京都市内を散策したくなりました。

異国合戦 蒙古襲来異聞

鎌倉時代、1274年の文永の役と1281年の弘安の役、いわゆる元寇を描いた歴史小説です。
フビライハンの意向で日本を配下に置こうとする元、否応でも従わざるを得ない高麗王朝、それに南宋がからみ一斉に乗り込んでこようとしますが、それを阻む自然の猛威、神風が吹きあれる。
日本側は、のちに蒙古襲来絵詞を残した九州の地侍、竹崎季長を中心にに描かれております。
機会があれば、舞台となった九州北部の対馬、福岡などの跡地を巡ってみたいです。

天地に燦たり

学び時に之を習う亦説ばしからずや
論語の冒頭の教えが、心に響く、そんな風に思わせてくれる時代小説です。
豊臣秀吉の九州併合から、文禄・慶長の役、を経て、薩摩藩による琉球併合までのあいだを描かれております。
豊臣秀吉に破れ、朝鮮出兵に駆り立てられる島津の武将。
朝鮮の被差別民でありながら儒教を学び、世の理不尽さを受け止めながらも生き抜こうとする者。
自国を愛し、礼をもってつくそうとする琉球の官人。
それぞれの立場で懸命に生きる意味を探ろうとしております。
本屋が選ぶ時代小説大賞の存在を知り、受賞した「熱源」から、著者川越宗一先生の小説を調べ、拝読したところ、期待通りの面白さでした。
沖縄のお城廻りに行きたくなると同時に、朝鮮半島のお城にもいってみたくなりました。

アイヌを描いた「熱源」は、直木賞もとったようです、機会があれば読んでみたいです。

利休にたずねよ (PHP文芸文庫)

秀吉の怒りをかい、切腹させられる千利休。
この切腹シーンよりはじまる物語です。
侘び寂びの世界を求め、美を追求をし、戦相手に茶をもって講和をとりつける。
晩年から若かりし頃の利休が描かれております。
皆さんのレビューより、花鳥の夢を読んで、山本兼一先生の作品をもっと読んでみたいと思い辿り着きました。
狩野永徳の絵も所々にでてきます。
山本先生の文章は非常に読みやすく、中盤から一気に読み込めました。
第140回直木賞受賞作品であり、
市川海老蔵さんが主演で映画化もされたようです。機会があれば見てみようと思います。

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今日のレビュー

冗談新選組

マンガ本編も最高だけど、作者のみなもと太郎先生と『真田丸』の脚本を担当された三谷幸喜さんの対談がすごくいいです。このふたりの歴史の楽しみ方はすごく共感できます。

こうの)

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