城下町の仕事人たち

コースケさんによる各地でお城を活用したマーケティングに取り組んでいる方々へのインタビュー企画。第3回は丸岡城のお膝元にある一筆啓上茶屋の辻店長に話を伺ってきました。

城下町の仕事人たち vol.3

攻城団の印象について

  瀧田
今日はよろしくお願いいたします。
じつは攻城団を法人化するって決めて最初の訪問がここだったんです。
 辻
そうだったんですね。
  瀧田
メールを送って「こういう会社なんだけどお会いしてくれませんか」って。そしたら坂井市観光連盟の吉田さんから「じゃあ、一筆啓上茶屋に来てくれないか」と返信をいただいて、お邪魔したのをいまでもよくおぼえています。
ちなみにそのときの攻城団ってどういう印象でしたか?
 辻
ちょうどその頃、FacebookなどのSNSや食べログで、自分が行った飲食店の記録を残して共有するのが流行っていたので「その延長線上にいる会社かな」って思いました。
それに少し前の話で言えばmixiのように日記を残すのはハードルが高いけれど「お城に訪れて、ボタンを押すだけ」というのは使いやすそうだなって。
  瀧田
「食べログのお城版」ってのはわかりやすいというか、理解してもらいやすいですよね。
攻城団は利用者間でやり取りする機能がほぼないので、厳密にはいわゆるSNSとは異なるのですが、「キーワードや地図でお城を探して、記録を残す」という点では同じ部類かな。
 辻
そういえばバッジの機能って、いらっしゃったあとにいろいろ増えましたよね。たしか「丸岡城は桜がきれいなので、さくらのバッジっていいですよね」って話になったんじゃなかったかな。
  瀧田
そうです、そうです。丸岡城をはじめ「日本さくら名所100選」に全国の29城が選ばれているんですよね。帰宅後にこうのと話してすぐに「さくらの名城」バッジをつくりました。
そのあと坂井市観光連盟さんには「城たび」の記事を出稿していただいたり、「マンガでわかる丸岡城」執筆のご支援をいただいたり、一筆啓上茶屋ではご当地缶バッジやクリアファイルを取り扱っていただいたりと、攻城団とコラボした丸岡城のプロモーションをかなりおこなっていただいています。
 辻
いろいろやってますよねぇ。
  瀧田
メーカーという視点でいえば、戦国グッズをつくっているメーカーは、日本全国にたくさんあると思います。一方、攻城団のようにメディアでありながらコラボ企画を進めていける会社は、かなりユニークな存在なんじゃないかなと自分たちでは思っています。
まずお聞きしたいのは、辻さんが攻城団と「やってみるか」という考えにいたったのはどういうポイントがあったのでしょうか。
 辻
やっぱり「お城に特化しているところ」ですね。
戦国時代でもいいのですが、まだ広い気がしていて、そのなかで「お城」というわかりやすい切り口で展開されている点が印象的でした。
広告やメディアを活用して情報を発信した際に、じっさい自分たちが届けたい人たちに情報が届いているのかという疑問があったので、それを解決してくれそうだと思えたのが大きいですね。

攻城団なら誰に届くのかがはっきりイメージできるので安心

 辻
これっていろんな企業が抱えている悩みだと思うんです。
この情報をこんな人たちに届けたいなと思っていてもなかなかそれに応えてくれるメディアは少ないと思います。
お金を出せばたくさんの人に届けることはできるかもしれないけど、無関係な方、まったく興味を持っていただけそうにない方にまで届いてしまうので実質で見るとコスパが悪くなります。
それが攻城団であれば、まず団員さんという明確な対象者がいらっしゃるので、まずは彼らに対して発信をおこなえる。さらにその先には攻城団のサイトを訪問される方々がいらっしゃるので「誰に届いているか」がじつに明確だってところが安心できます。
  瀧田
ありがとうございます。専業メディアの強みでもありますね。
 辻
誰に届いているかよくわからないところに広告を出すくらいなら、攻城団とコラボしたほうが、リーチできる量と質が自分たちにとっては期待値とイコールになりやすい、コスパも高いんじゃないかなって。
  瀧田
なるほど。情報を求めていて、かつこちらが情報を届けたいユーザに届けることができそうだなと思っていただいたってことですね。
 辻
はい、そうですね。
  瀧田
ちなみにその対象者を絞ったグッズとしてご当地缶バッジとクリアファイルを扱っていただいていますが、売れ行きはどんな感じですか?
 辻
缶バッジだけを購入する方もいれば、クリアファイルとあわせて買う方もいらっしゃいます。もともと攻城団をご存知の方もいれば、そうじゃない方が購入されるケースもありますので幅広くお買い求めいただいています。
あ、そうだ。発売日に攻城団の団員さんが店内にいらしたんですよ。
  瀧田
え?
 辻
ちょうど陳列を終えたところで「これください」って。
あまりに絶妙のタイミングだったので「これはもしかして仕込みなのか」ってスタッフみんなで思ったという(笑)
話を伺ったらたまたま来られてたらしいです。「たぶんその頃に発売されると思いますよ」って聞いたので、お店に立ち寄ろうと考えていたところ、攻城団のブログで発売を知ったとおっしゃっていました。 陳列して5分で売れました。最初の試験販売のときでしたけど、置いてすぐ売れたのでインパクトありましたね。
  瀧田
出足の良さは印象に残りますものね。
ところで丸岡城に関連する缶バッジがほかにもあるんです。先ほどの「さくらの名城」バッジもそうですし、ほかにも「現存十二天守」バッジや「旧国宝」バッジなど、サイト上のバッジと連動してつくっているので、これを一筆啓上茶屋でも取り扱いませんか。
「マンガでわかる丸岡城」冊子版の販売もはじまりますので、あわせて関連グッズとして販売するのはどうでしょう。
 辻
あぁいいですね、ちょっと検討してみます。
  瀧田
ちなみにこんなふうに「攻城団とやるよ」っていうときに、スタッフのみなさんはどういう反応ですか。
 辻
いまはまだひとつのメーカー、仕入先って感覚だろうと思います。
お城にやってくる人を増やすための会社だよってのは、予算稟議をあげる上長のみなさんは知っていますけど、なにぶんマーケティングとかソーシャルメディアとかカタカナが多いので(苦笑
いつも説明するのに苦心しています。
  瀧田
最初に名前が出た食べログなどを日常的に使ったりはしてないのでしょうか。
 辻
ぼくらはほとんど見ないですね。たとえばGoogleで検索して出てくるクチコミは読むことはありますが、地方と都心部ではだいぶ感覚がちがうのかもしれません。
もちろん都心部の方や、若い方たちがネットやSNSで情報を見たり、共有しあったりして情報が拡散していくことは理解しているのですが、自分たちの身近な例としてはまだ実感できてないですね。
  瀧田
なるほど。そのあたりの知識と経験のギャップを埋めていくこともぼくらの課題ですね。

今後、丸岡城をどうやってPRしていくか

  瀧田
次に今後の丸岡城プロモーションについてお話を伺いたいと思います。
丸岡城について「こんなふうにプロモーションをしていきたい」っていう要望やイメージはありますか。
 辻
そうですね、まず天守だけでなく霞ヶ城公園や周辺の寺院も含めて、城下町全体を散策してもらいたいと考えています。いまはどうしても天守だけ見に来て帰られるお客様が多いので、いま見えてる区域全部が丸岡城なんだってことを知っていただきたいです。
そうして城下を観光客が歩くようになれば、地元の方々の意識も変わるでしょうし、経済もちょっとは動き出すでしょう。その結果、整備にも予算を割くことができるようになるかもしれないし、ひとつずつ好転するような気がしています。
  瀧田
具体的に動きはじめているんですよね。
 辻
はい。丸岡城天守の近隣にも空き家があるので、いまそこに手を入れて、お城めぐりに訪問された方が立ち寄れる場所にしようという計画が動いています。
この施設自体は宿泊できないのですが、別途近くのアパートを活用して宿泊できるようにしたいという話も出ていたり、いろんなプランがあります。
  瀧田
観光という枠組みでよく活用される指標として、一人あたり消費額の増加、滞在時間の増加というのがあると思いますが、丸岡城だけだと限界もあるので、坂井市内にある三国温泉や隣接するあわら市の芦原温泉などとの連携も必要になってきますね。
 辻
そうですね、お城と温泉はセットで計画される方も多いでしょうから。
あとは北陸新幹線が延伸されるので、これもいい追い風にしたいです。
(※瀧田注:金沢―敦賀は2022年度に開業予定)
  瀧田
施設を用意したり、そこで対応するスタッフを確保したりといったことは地元のみなさんにがんばっていただくしかないのですが、たとえば交流施設の存在を興味のありそうな方々にニュースとして届けるお手伝いはできると思います。
よく駅にパンフレットを置いてプロモーションされるケースがありますが、たとえば福井駅まで来ちゃってる時点でなかなか予定変更とはいかないですよね。もう訪問先を決めてる方に「丸岡城もどうですか、新しく施設ができましたよ」とアピールしても遅すぎます。
攻城団はサイト上のいわゆるネット広告だけじゃなくて、印刷物もつくりますし、イベント運営もおこなっていますので、訪問前の情報提供からはじまり、現地での回遊率アップ、帰宅後のシェア(情報拡散)にいたるまで一気通貫でサポートできるのが強みです。
 辻
たしかにプロモーションは質と量だけでなく、タイミングも重要ですね。
知られていないものが選ばれることはないので、「周辺にはなにがあるのか、あったのか」「どうやって行けばいいのか」という情報をしっかり発信しないといけませんね。
丸岡城周辺の散策ガイドとして制作した「城たびポケット」

ガイドとの交流も旅の思い出に

  瀧田
観光誘客によって交流人口を拡大し、地元経済への貢献率を高めたい、となるときちんとストーリーをつくって、マーケティング/プロモーション計画を立案・推進していく必要があります。
ちなみに丸岡城付近で回遊してもらいたいとなるとどの辺りになるんですか。
 辻
それこそマンガで取材されたエリアですね。
寺院中心になりますけど、一帯は丸岡城の城域ですし、石碑的なものも建ててありますから、まわってみると縄張りをイメージしやすいと思います。
  瀧田
丸岡城にはボランティアガイドの方々がいらっしゃいますし、ぼくらが取材で訪問した際も大霜さんに2日にわたって案内していただきましたが、見知らぬ土地にやってきて、それも城下町を散策するとなると、やはりガイドさんの存在って欠かせないと思うんです。
城下町といっても地元の方はふつうに生活してらっしゃるわけで、なかなかよそ者が歩くのは心理的にも抵抗があります。
 辻
たしかにそうですね。
  瀧田
ガイドさんに同行していただければ堂々と城下町を歩くこともできますし、地元住民との橋渡しにもなってもらえますよね。 今年の2月に都内で開催したトークイベント「城がたり」でもこうのと漫画家の大久保先生が大霜さんのガイドがじつによかったと絶賛していましたが、そのあと参加された方が「私も大霜さんにガイドしてもらったけどわかりやすかった」とおっしゃってました。
いいガイドさんの情報もみんなでシェアしあう時代になっているし、ガイドさんや地元の方々と交わした会話もいい思い出になるんだなと思いました。

「城がたり〜マンガとトークでわかる丸岡城〜」開催レポート [城がたり] | 攻城団(全国のお城検索サイト)

攻城団主催の歴史トークイベント「城がたり」の第1回を開催したのでレポートを書きました。楽しいイベントになったと思います!

 辻
あとはせっかく本格的な調査をしているので、その最新情報も広く知っていただきたいですね。地元の方でもご存知ない方は多いと思うので、小学校で教えるとか、いろいろやれることはあるんじゃないかな。
  瀧田
子どもたちが学ぶと親を巻き込んでいくこともできますしね。
「今日学校で、丸岡城のこと勉強したんだ」「え、なになに?」って会話がでてくると、地元の方みんなが関心を持ってくれますよね。
観光客って地元住民が醸し出す空気に敏感じゃないですか。
 辻
「こんなところに来てもなにもないよ」っていう雰囲気ですね。それを好転させるきっかけになりそうです。
観光業でいうと、外にでていく旅行手配の代理業が中心ですが、外より内=地元をめぐってもらうための観光業を発展させることが、観光振興にも地域振興にもつながるのでしょうね。

丸岡城に来て「異日常」を体験していただきたい

  瀧田
辻さんが攻城団に期待していることってなにかありますか。
 辻
いっぱいありますよ(笑)
まず観光客数が増える施策は引きつづきやりたいんですけど、せっかく交流施設ができるのでお城好きの方々との交流を増やしたいです。
広告の話で言うと、来るか来ないかわからない広告媒体に投資するんじゃなくて、たとえば「攻城団のサイトを見てやってきました」という、いま目の前に来てくれた人のためにお金を使いたい。
もちろん「来てください」にお金がかかることはわかっているのですが、その費用の一部を「来てくれてありがとう」に使いたいんですよね。
  瀧田
すごくいいと思います。
たしかに攻城団はメディアでもあり、コミュニティでもあるので、単に「伝える」だけじゃなく「対話する」や「交流する」にはうってつけだと思います。
最後に、この記事を読まれるであろう方々を想像しながら、コメントをいただいてもよろしいですか。
 辻
丸岡城の天守はもちろんですが、そのあとで城下を歩きながら特徴的な五角形の縄張りを味わっていただきたいですね。江戸時代の屋敷などは残っていないのですが、門跡などには石碑がありますし、当時の堀も川になって残っていますので。
  瀧田
城下を歩くといろんな場所から天守が見えるのもいいですね。
 辻
それと丸岡城の天守はみなさんがご存知のように現存十二天守のひとつで、北陸地方では唯一の存在ではあるのですが、福井震災で倒壊したあと、町民が総出で元通りに再建したとエピソードも知っていただきたいです。
お城にはいろんな修復や再建、あるいは復元のかたちがあると思うのですが、丸岡城はかなり独特な歴史を持っていると思います。
  瀧田
マンガでも取り上げましたが、たしかにほかにないユニークな歴史ですよね。

マンガでわかる丸岡城 | 丸岡城のガイド | 攻城団

大久保ヤマト先生による丸岡城と丸岡藩の歴史を描いたマンガです。丸岡城についての付随情報。

 辻
観光に来られた方との交流については先ほどから何度か出ていますが、みなさんには異日常(異なる生活文化)を感じてほしいですね。そして地元のみんなで「(観光客に対して)こういう体験を提供しようよ」と伝えていきたいです。
観光客と地元民が交流することで、その人の日常とは異なる日常を体験してもらえるといいなと思っています。
たとえば福井だと冬はこたつにみかんじゃなく、水ようかんを食べるんですよ。これって県外の方から見れば異日常ですよね。そうした自分の普段の暮らしとは異なる日常、ライフスタイル、生活文化が観光地にはあるので、丸岡の歴史や文化を掘り起こし、それをみなさんに体験していただける仕組みをつくっていきたいと考えています。
ぜひ丸岡城を訪問して「異日常」を体験して帰ってくださいね。
この日の取材は丸岡城の天守がのぞめる一筆啓上茶屋の二階でおこなわれました

インタビューを終えて

「城下町の仕事人たち」、第3弾は丸岡城の天守近くにある一筆啓上茶屋の辻店長にインタビューさせていただきました。
一筆啓上茶屋は飲食店のほかにお土産売り場もあるので、丸岡城を訪問した際に立ち寄った方も多いのではないでしょうか。

丸岡城は北陸地方唯一の現存天守であり、あの古式ゆかしい望楼型天守の印象も強く、落ち着いた雰囲気がある町です。あとは映画やドラマでお馴染みの東尋坊が同じ市内(坂井市)だったとは丸岡城にいくまで知りませんでした。

今回のインタビューを終えて思ったのは、辻さんは「番頭さん」という言葉がぴったりだなということでした。番頭――つまり店舗の最高責任者ですね。
人と交流することが大好きで、商売繁盛を目指して日々お仕事をされ、往来の人通りを増やすために日々知恵を絞っている姿がお話の中から伺えました。ときには参謀として新しい企画を提案し、ときには調整役として万事を見渡し、関係者の間を走り回っている、そんなふうに仕事と向き合ってらっしゃる様子を想像しながら、話を聞かせていただきました。

どの地域でも必ず出てくる課題ですが、辻さんは「知ってもらう」ためのプロモーションに対する課題意識を強く持っている方です。
地元への観光集客による賑わい創出、経済活性化、最近でいうと「地方創生」というワードで語られることが多いこの領域ですが、来城・来市を期待するなら、まずは広く知っていただくためのプロモーションをおこなう必要があります。
しかし不特定多数に呼びかけたところで無視されるだけです。ほんとうに興味を持ってくれそうな方、関心を持って聞いてくださる方に絞り込んで届けなければ意味がないことも辻さんはよく理解されています。

ご当地缶バッジなど攻城団グッズの販売など、辻さんとはこれまでも多くの取り組みをさせていただきましたが、攻城団への信頼を改めて実感することができました。
丸岡城はいま国宝化を目指し、市を挙げて調査研究を進めています。丸岡城の過去の歴史についてはマンガコンテンツにしましたが、これからも丸岡城の歴史はつづいていきます。辻さんは今後も「城下町の仕事人」として課題に向き合いつづけられるでしょうし、ぼくらも引きつづきそれをサポートしていきたいと思っています。

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攻城団では常にプロモーションする側(みなさま)とされる側(読者・利用者)の双方が納得し、また最大限の効果を発揮できるよう、細部にわたるまで入念に企画を立案いたします。検討の結果、お断りせざるを得ないこともありますが、まずはお問い合わせください。
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