山崎城
山崎城

[京都府][山城] 京都府乙訓郡大山崎町字大山崎


  • 平均評価:★★★☆☆ 3.16(--位)
  • 見学時間:1時間13分(--位)
  • 攻城人数:469(270位)

山崎城址までのルート(天王山山頂まで)

JR東海道本線・山崎駅の改札を出て、線路を渡ると登山口があります。

坂をのぼると、すぐ道がふたつにわかれています。
どちらからでもいけますが(先で合流します)、右側がアサヒビール大山崎山荘美術館、左側が宝積寺(宝寺)に向かう道になります。

美術館に寄ってからのぼる、あるいは天王山ハイキングコース陶板絵図「秀吉の道」をすべて見るなら右側になりますし、「山崎の合戦」の際に羽柴秀吉が建てたとされる宝積寺の三重塔(重要文化財)を見るなら左側を選ぶことになります。
(ちなみにぼくは美術館に寄りたかったので右側からのぼり、下りるときは宝積寺側のルートを選びました)

合流地点までのルートをそれぞれ紹介します。

美術館ルート

こちらのルートのほうが比較的ゆるやかになっています。

美術館の入口を横目にそのまま直進して坂をのぼります。

舗装された道のつきあたりからは左手にのぼっていく登山道があります。
(ここを50mほどのぼったところが合流地点)

宝積寺ルート

分岐点を直進(左手)に進むと宝積寺へ向かうルートになります。
かなり急勾配なので雨などで足元がすべりやすい日などはとくに注意して進んでください。
(落ち葉ですべることもあるのでご注意を)

数件の民家の横を抜けていくと、宝積寺の山門が見えます。

あとは宝積寺の参道を通り、境内を抜けていくと合流地点があります。

合流地点からのルート

フェンスがあるのは最初の100mほどだけです。

観光案内図があります。

ここから先は急斜面をのぼるハイキングコースになります。
履きなれた靴で、できるだけ身軽な格好でのぼることをオススメします。ただし山道は危険なので肌の露出がないように服装は長袖長ズボンがいいと思います。
(自販機はないので水分を持っていったほうがいいかもしれません)

ところどころに山頂の方向を示す立て札があるので迷うことはないと思います。

杖がほしくなるくらいの山道です。

10分ほどのぼると、休憩スペースがあります。
ここは正式には「青木葉谷展望台」と呼ばれる展望台で、7合目付近にあります。

ここからの眺めも美しいです。
桂川、宇治川、木津川の三点合流地点(三川合流地点)を見ることができます。

引き続き、山頂を目指します。

少しのぼると、開けた場所に出て、大きな石鳥居が見えてきます。
この石鳥居は、この先にある酒解神社(さかとけじんじゃ)鳥居です。

鳥居の手前に「山崎の合戦」の石碑が建てられています。

願文
 天正十年六月十三日 豊臣秀吉は 京都本能寺において、主君織田信長を討った明智光秀とここ大山崎で激突した。
 この合戦後、天下統一を目指し亡信長の意志を受け継いだ秀吉は、天王山頂に城を築き 天下人への地固めをしていった。
 山崎合戦こそ中世から近世への幕明けを告げた歴史上重要な合戦であり、今日、天下分け目の天王山と呼ばれるにふさわしい重要な意義をもつ合戦であった。その日本合戦史上欠くことのできない山崎合戦をこの記念碑を建立することによって、一人でも多くの人々に知らせ、また後世に受け継いでいくため秀吉ゆかりの地旗立松の地に建立するものである。 昭和五十八年十一月吉日
大山崎町

ここにある松は「旗立松(はたたてまつ)」と呼ばれ、「山崎の合戦」の際に秀吉が味方の士気を高めるため樹上高く千成ひょうたんの旗印を掲げた老松が生えていた場所だと伝えられています。
(現在の松は7代目の松)

旗立松(天正山崎合戦の史跡)
 天正十年六月二日、洛中本能寺に宿泊していた織田信長公は、家臣である明智光秀の手によって暗殺された。信長死去の知らせは備中高松城(現岡山県)を攻略していた羽柴秀吉の元にも届き、秀吉は急ぎ毛利氏(城主清水宗治)と和義を結び京都へと向かった。一方明智光秀は秀吉の帰洛に備え御坊塚(下植野)に本陣を敷き、六月十三日夕刻天下分け目の天王山の戦い(山崎合戦)の火ぶたは切っておとされた。
 羽柴秀吉は天王山へ駆け登り、味方の士気を高めるために松の樹上高く軍旗を掲げた。これを見た羽柴軍は一気に敵陣内に攻め入り明智軍はその結果防戦一方になり総くずれになってしまった。これによって光秀は僅かな手勢を従えて近江へと落ちていくのである。
 その初代と伝えられる松も明治中頃まで槁木(こうぼく)の姿をとどめていたが朽ちてしまい、その後三回の植樹をへた昭和六十三年、再び枯れたため、国民体育大会を機に五代目の旗立松を植樹し今日に至っている。
  平成元年三月 大山崎町文化協会

またここは8合目付近にあたり、旗立松展望台があります。

「山崎の合戦」について書かれた案内板があります。

眼下に広がる平野部で合戦が行われました。
当時のこのあたりは湿地帯だったようです。

ここにも「秀吉の道」の陶板絵図があります。

ふたたび頂上を目指します。

途中、分岐しているところが2カ所ありますが、どちらもあとで合流します。
(石段のあるところは、のぼると幕末期の史跡である「十七烈士の墓」があります)

道なりに進むと、建物が見えてきます。

酒解神社の三社宮です。
右から天照大神・月読神(ツクヨミ)・蛭子神(ヒルコ)を祀る小祠が並んでいます。

この先にあるのが酒解神社の本殿です。

境内を抜けて、さらにもう少しのぼります。

5分ほどのぼると、「天王山山頂」を示す案内が見えます。

この上が天王山山頂、山崎城址になります。
少し石の残る道をのぼります。

ようやく山頂に着きました。

所要時間は合流地点から山頂まで、のぼりがおおよそ30〜40分ほど、くだりは15分ほどです。
休憩を入れつつのぼることを考えると、1時間ほどは見ておいたほうがいいと思います。

阪急京都線・大山崎駅からのルート

ちなみに阪急電鉄(京都線)の大山崎駅からは、大山崎町歴史資料館と反対側(妙喜庵のほう)に向かって50mほど歩くと、ハイキングコース近道を示す案内板があります。

天王山観光案内図

登山口のところに観光案内図があったので内容を紹介します。

天王山の位置と歴史
 古来、大山先は軍事、交通上の要衝として歴史上重要な役割を果たしてきました。その要の位置をしめている山が標高二七〇・四メートルの天王山です。天王山は摂津国と山城国の境をなし、また西国と東国を結ぶ重要なポイントであり、山と川との間は最も狭い部分で二〇〇メートルたらずしかなくここを通らずして西へも東へも行けないという位置にあります。
 古代、この山には名はなく、中世になって山崎山、そして山頂近くに酒解(さかとけ)神社が建立されて牛頭(ごず)天王を祭ったためそれから天王山の名が生まれました。しかしこの名が知られるようになるのは室町時代の応仁・文明の乱の時からで、地域的な重要性から天王山に城が築かれ、たびたび合戦が行われました。やがて最も知られている天下分け目の天王山「山崎合戦」が天正十年(一五八二)六月十三日、夕刻四時ごろ山頂、山麓で明智軍、羽柴軍との間で繰りひろげられました。やがて勝利をおさめた羽柴秀吉は天下統一をめざすため天王山山頂に天守閣をそなえた城を築城し大山崎を城下町としたのです。
 このような歴史をもつ天王山には今日数多くの神社仏閣、史跡等が残され、おとずれる者に歴史の重みを感じさせてくれます。中世の繁栄を今に受けつぐ離宮八幡宮や宝積寺(ほうしゃくじ)には数々の文化財があり近世の幕明けとともに建てられた妙喜庵(みょうきあん)内茶室「待庵(たいあん)」(国宝)は利休が建立した唯一の現存茶室として有名です。その他にも古代から近世に至る様々な歴史を秘めた天王山の探訪を心ゆくまで楽しんでください。
   

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図説 近世城郭の作事 櫓・城門編

三浦先生が書かれた「近世城郭の作事 天守編」に続き、今回は「櫓・城門・土塀」編を読みました。特に、城門、土塀については書いてあることのほとんどが初めて知る事でした。城門の種類ですが、薬医門は安土桃山時代だけで、高麗門は文禄・慶長の役で朝鮮半島での築城時に発明され、構造は薬医門と変わりませんが屋根が小さいので防戦上で有利、屋根が小さいので用材が少なくて済むなど、関ヶ原の戦い後、薬医門から進化した高麗門に取って代わられたそうで、現在城跡に残っているのは圧倒的に高麗門で、医薬門は少ないとの事です。また、関ヶ原以前の櫓門では石落がないので、櫓門の石落は関ヶ原以降の発明と考えられるとの事を初めて知ります。土塀についても、付壁塀、築壁塀など色々な種類があるそうで、天守、櫓以外に城門、土塀にも注目することにより、新たなお城巡りの楽しみを再発見させてもらえた一冊だと思います。

まーちゃんさん)

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