新装版 私説・日本合戦譚 (文春文庫) 文庫


西国将軍さん

私説としながら、綿密な考証がなされたとても真面目な歴史読本となっている。合戦に至るまでの経緯を概説し、その上で合戦の模様を詳述するという構成で、主眼はあくまで合戦の実際を再現すること。各陣の動きを地図上に表記するとともに、実況中継よろしく再現されている。そうしておいて、例えば『川中島の戦』では、史上有名な謙信と信玄の直接対決などを描いては、「史実的にはまことに疑わしく、ここに書いた戦況も、一種の講談と思っていただきたい」と、読者を煙に巻く。史料がいわゆる俗書しかなく、自信が持てないことを率直に表明し、見てきたような嘘はつかないという姿勢に好感が持てる。
自分としては、日本史の復習をする感じで読み進めたのだけれど、著者は随所に現代との類推を述べるので、それが面白い。自衛隊の制服組と背広組みに例えたり、サラリーマン社会の日和見的な行動パターンを揶揄したり、政治家の無責任ぶりは昔も今も変わらないと指摘したりする。歴史好きであればあるほど、この作品の目次を見て、「いまさら読まなくても」と思うかも知れないが、そこは松本清張の著作であり、一読の価値はあったように思う。

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書籍の情報

タイトル 新装版 私説・日本合戦譚 (文春文庫)
著者 松本 清張
出版社 文藝春秋
発売日 2008-07-10
ISBN
  • ISBN-10 4167697130
  • ISBN-13 9784167697136
価格 745円
ページ数 447ページ

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