攻城団ブログ

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「全国入城者数ランキング」についての補足動画をアップしました

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攻城団テレビに新しい動画を公開しました。

www.youtube.com

今回はお城ニュースの動画版ということで、いつもとは違う感じでお送りしています。内容としては8月末に発表した「全国入城者数ランキング」の結果について少し補足を加えているのですが、なぜこのタイミングで公開したかというと、じつは9月27日に「令和2年(2020年)熊本市観光統計」が発表されて、不明だった熊本城の数字が判明したからです。
しかもその人数がランキングのトップに相当するものだったので、これはちょっと補足と訂正が必要だなと。

あとこれはついでにというか、前から挑戦したいと思っていたことで、いわゆる背景の合成をやってみました。
今回使った御殿の背景画像は「ビジュアル再現 村上城」で配布されているものを使用させていただいたのですが、突然の相談にもかかわらず快諾いただき感謝いたします。

vr-murakamicastle.jp

今年発表した「全国入城者数ランキング」について

まず最初に今回の調査にご協力くださった自治体・観光協会のみなさま、その他城郭関係者のみなさまに心から御礼を申し上げます。
みなさんコロナ対応などでお忙しい中、ご協力いただきありがとうございました。

今年で6年目となるこの調査ですが、いまではかなり大規模な調査になっており、去年はテレビ東京「ガイアの夜明け」でも使われましたし、先月も2冊ほど「過去のランキングを使いたい」と使用依頼がありました。
ランキングについての賛否はあるでしょうし、ぼくもお城に優劣をつけることには興味ありませんが、努力した結果や自然災害などによる影響を記録しておくことはきっと将来役に立つと思うので、これからも継続していく考えです。

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テレビ東京「ガイアの夜明け」2020/9/15

結果についてはプレスリリースでも記載したとおり、今回はすべてのお城でコロナの影響が見られ、そのほとんどで前年比7割減〜8割減と大きく減少することになりました。
これは一年の大半が休館・休業や入場制限だったことを考えれば致し方ありません。

おそらく来年発表するランキングも今回同様あるいはさらに悪化している可能性が高そうですが、良いときも悪いときも事実は事実として記録を残していくべきだと考えています。
今後もし緊急事態宣言がまた発出されるような事態になったときの減少幅を知っておくことはリスク管理において有効ですしね。

攻城団の調査ではメールとFAXを使って直接回答をいただくほか、新聞報道や「観光統計」など自治体発表の数字も調べて補完しているのですが、松本城をはじめ、数字が取れなかったお城がいくつかあります。
(ネットで検索しても自分が調査して書いた記事しか出てこない)

例年上位にランクインしているお城で抜けているのは、松本城・弘前城・高知城・浜松城あたりです。
また無料だと、金沢城・米沢城・二本松城・高岡城あたりが空欄です。
 
プレスリリースを出したときは熊本城も空欄でしたが、冒頭に書いたとおり9月末に発表されたので埋めることができました。

それから、全国のお城には入城チケットが必要な有料の場所と、城址公園として整備されており無料で見学できる場所がありますので、攻城団では公平を期すため、有料のみのお城に限定したランキングと、有料無料を問わない総合ランキングのふたつを発表しています。
以上を踏まえて、8月末に発表したランキングをご覧ください。

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全国のお城の入城者数(入場者数・観光客数)調査レポート【2021年版】 – 攻城団合同会社

有料ランキングでは4年連続1位だった大阪城は外国人観光客が激減したこともあり、今回は7位という結果でした。
トップ3(二条城、名古屋城、姫路城)含め、基本的に上位のお城はインバウンドへの依存度が高かったけど、とくに大阪城が大きかったことがわかりました。
そして前年比の列を見るとわかるように、いずれも5割〜9割近くマイナスとなっています。

なお例年、NHK大河ドラマの舞台となるお城は観光客が大幅に増える傾向にあるのですが、「麒麟がくる」関連のお城ではトップ10には入らなかったけど、14位に一乗谷城が、15位に福知山城がランクインしていました。
とくに福知山城は臨時休業などもありながらも前年比7.9%増で過去最多の入館者数でした。もし緊急事態宣言による休業がなければトップ10入りしてたかもしれませんね。
たしか福知山城は大河ドラマに出てこなかったと思いますが、明智光秀ゆかりの城として特番などでたびたび紹介されたのが大きかったのだと思います。一乗谷城(復原町並=福井県福井市)のほうは「ブラタモリ」の効果と考えてまちがいないでしょう。調べたところ、初回放送が2019年2月2日、アンコール放送が2019年6月20日でした。

無料で入城できるお城も含めた総合ランキングでは、例年通り江戸城(=皇居東御苑の入園者数)が入っています。
動画でも取り上げたように玖島城の大村公園は意外でしたが、2018年の数字が461,767人だったのでもともと多かったんですね(去年は不明)。御城印も売れてるみたいだし、攻城団のチラシや攻城記念缶バッジも置いていただいてるのでうれしかったです。
無料で入れる公園ですし、オオムラザクラや花菖蒲などを見に来られてる人も多いと思いますが、こういう全国的にはまだまだ知られていないお城を紹介するきっかけのひとつになればいいですね。

大河ドラマ館の入館者数も調べてみた

どのくらいコロナの影響が大きかったかを知るために、大河ドラマ館の入館者数も調べてみました。
こちらもかなりの期間で休館となっていたため、目標としている人数に届きませんでした。たとえば「麒麟がくる 京都亀岡大河ドラマ館」は当初、50万人の来館者を掲げていましたが、結果は10万人をギリギリこえただけという厳しいものでした。

麒麟がくる 岐阜 大河ドラマ館 207,835人
麒麟がくる ぎふ可児 大河ドラマ館 89,381人
麒麟がくる ぎふ恵那 大河ドラマ館 52,089人
麒麟がくる 京都亀岡大河ドラマ館 101,260人

参考として過去の戦国時代を舞台にした大河ドラマ館の入館者数をあげておくと以下のとおりです。

  • ひめじの黒田官兵衛 大河ドラマ館、61万1576人
  • 信州上田真田丸大河ドラマ館、103万5208人
  • おんな城主 直虎 大河ドラマ館、78万923人

去年の「麒麟がくる」の盛り上がりを考えれば、けっしてこの3作品に負けてなかったので緊急事態宣言の影響がいかに大きかったかがよくわかります。

ランキングに変動がありました

前置きが長くなりましたが、冒頭に書いたとおり「熊本市観光統計」が発表されました。
その結果、なんと総合1位が入れ替わることになってしまいました。ということで、これが最新の総合ランキングになります。

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「熊本市観光統計」では

熊本城では、臨時閉園や特別公開第2弾(特別見学通路公開)の開始延期(4月29日→6月1日)などの対応を行ったことで、前年比57.7%減の891,844人。
ただし地震発生後は二の丸広場の入園者数をカウントしている。

熊本市観光統計 / 熊本市ホームページ

と書かれているのですが、たとえば同じ無料対象の江戸城(84%減)と比べるとはるかに良い結果で、特別見学通路の効果が大きかったことがわかります。

なお動画では「特別見学通路の有料見学者数は見つけられなかった」と話したのですが、別ページに特別公開(有料分)の数字もありました。
それによると、317,162人が特別見学通路で入城したようです。

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今年からは天守も再公開されているので、引き続き熊本城の数字には注目したいですね。

調査の意義

最後に「攻城団がなぜ調査するのか?」について、少しだけ。
この調査にはFAX送信代だけでもお金がかかっていますし、データを整理するのもかなりの時間を必要とします。そのわりに無視されたりそっけない態度を取られたりすることもあり、データは無償で公開しているのでなにか収益に直結しているわけでもありません。
(微々たるものですが、広報には多少貢献していると思います)

ただそれでも攻城団が毎年調査を継続しているのは、単純にどこにもないからです。
全国城郭管理者協議会が発表するランキングは過去にありましたが、それは加盟城郭(=そのほとんどは有料施設があるお城)に限定されたものでした。
もっと広く、すべてのお城を公平に網羅したデータがあればと思ってはじめました。これを書いていて思い出したのですが、ぼくはランキングをつくりたかったのではなく、それぞれのお城の入城者数について推移がわかるデータがほしかったのです。

まず事実を記録して、考察を加えていく――攻城団ではイベント情報も記録しているし、ちょっと不正確なところもあるけど日々の天気のデータも記録していますし、さらに団員が残してくれている膨大な写真やコメントもあるので、こうした定量・定性情報を組み合わせつつ、お城を観光振興に活かす成功モデルを構築していきたいと考えています。
そしてその知見を還元することが調査に協力してくださったみなさんへの恩返しになると思っています。

最近では御城印の販売が集客効果につながっていることが証明されているし、攻城団が運営している「お城ニュース」で紹介すると如実に反響があるそうです。
御城印を販売することで入城者数にどのくらい影響があったのか、なんて自由研究のテーマにしてもおもしろそうですよね。

攻城団はお城に出かける人のためのサイトなので現地に行く人を増やしたいし、それも一過性の増やし方ではなく、持続的に地域に貢献したいと思っています。
そのためにはこれからも入城者数調査だけでなく、さまざまな取り組みをしていくつもりです。

ようやく全国的に緊急事態宣言も明けました。都市部の感染者数も激減しています。
油断はできませんが、しっかりと感染対策をした上で、どんどん全国のお城へ旅立ちましょう。ぼくらの行動が未来の調査結果に反映されますしね。

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