大名家が改易処分を下される。企業が倒産する。それは、即座に組織が消滅することを意味するわけではない。
もちろん、収入が断たれ、将来が閉ざされ、拠って立つ基盤も失うわけだから、構成員たちは自分の生活のために次第に(あっという間に?)そこを離れていき、組織は消滅の方向に向かうだろう。組織そのものではなく、組織内における個人の立場、という意味でも同じことだ。
しかし、復活の芽が残されていないわけではない。以前と同じような形では無理かもしれないが、その時の状況に対して適切に行動できれば、組織は再興しうるし、個人の立場も再生する可能性がある。
現代社会で見ても、運悪く会社を倒産させてしまっても、そこで人生が終わるわけではない。その実力を評価してくれる誰かがいれば、新しい職場を探すことは決して難しいことではないはずだ。
本章で紹介したのは、まさにそのような復活を遂げた大名たちの物語である。
そこで見えてきたのは、名声や本当の価値を積み上げることができていれば、危機はあっても乗り越えられる、ということなのではないか――。私にはそう感じられるのだが、皆さんはいかがだろうか。