お城造りでは、石垣をより高く積むために勾配(こうばい)と反り(そり)に工夫が凝らされました。
垂直な石垣ではあまり高く積むことができず、地震や台風などの自然災害にたいして崩れやすかったためです。
今回は石垣に工夫が凝らされた反りと勾配について学んでいきましょう。
石垣を高く積むための工夫
初期の頃の石垣はあまり高く積むことができませんでした。
またほとんど垂直に立てられていました。
その後、石垣をさらに高く積もうということで、ゆるい勾配ができるようになっていきました。
垂直な石垣ではあまり高く積むことができず、地震や台風などの自然災害に対して崩れやすかったためです。
一般的には石垣の勾配(こうばい)は関ヶ原の戦い(慶長5年、1600年)より前が緩やかであり、慶長期(1596年〜1615年)以降には急になっていく傾向があると言われています。
反りのある石垣
石垣の下の部分が緩やかな勾配で上にいくに従って急勾配になり、最後にはほぼ垂直になる勾配の石垣があります。
これを寺勾配(てらこうばい)または扇の勾配(おうぎのこうばい)と呼びます。
寺院建築の屋根に見立ててその呼び名がついたそうです。
寺勾配の石垣で有名なのは熊本城です。
加藤清正が築いたため清正流石垣(せいしょうりゅういしがき)とも呼ばれています。
石垣にソリをつける場合は、石垣の最下部から1/2までは緩やかな直線で残りの1/2にそれを入れるのが通常とされます。
なぜなら頂部だけ急にするのが目的だからです。
このような急勾配の石垣は登りにくく、武者返しや忍び返しの役割を果たします。
反りのない石垣
寺勾配(扇の勾配)とは対照的に、最後の垂直に立つ部分がない緩やかなままの勾配のことを宮勾配(みやこうばい)と呼びます。
石垣に反りがなく直線の勾配のものは、藤堂高虎が好んで使ったと言われています。
藤堂高虎は築城の名手と言われた一人です。
特に有名なのは伊賀上野城、今治城、津城などです。
急勾配をつけるよりも一直線で高く積んだ方が効率的とも考えられ、効率を重視した藤堂高虎の築城術の最たるものかもしれません。
まとめ
石垣を高く積むためには適度な勾配が必要となりました。
また防御力を高めるために反りを設けたり、急勾配で高石垣にしたりしていきました。
これらは築城の名手と言われた加藤清正や藤堂高虎のアイデアによるものです。
石垣の反りと勾配に注目してお城巡りをしても楽しいと思います。
ということで、石垣の反りと勾配についてのお話でした。
じゃあね🖐️
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